「押し込ませ方、引き込み方をもっとうまくやる必要がある」。もっと盤石な試合運びのために、奈良竜樹が語ったこと。(リーグ第5節・ベガルタ仙台戦:2-0)


リーグ第5節のベガルタ仙台戦は2-0で勝利。

苦しい台所事情でしたが、連敗することなく勝ち点3を積み上げることができました。

 2週間のインターバルがあったとはいえ、前節はFC東京相手に3失点しての初黒星だったため、少し心配はありました。あのときのミックスゾーンで、とりわけ悔しさを表現していたのが、センターバックの奈良竜樹。劣勢になった終盤の時間帯だったとはいえ、耐えられずに決壊。ミックスゾーンでは悔しさをかみしめるように言葉を絞り出していたんです。

「後ろがもっと・・・これでは頼りない。こうやって点を取れない試合もある。一か八かの試合運びでは上位に行くことはできない。点を取れなくても後ろは踏ん張らないと。後半、こういう形で崩れてしまった。ちょっとした隙であったり、一人一人の甘さから、力のあるチームは点を取ってくる。もっと危機感を持ってやらないといけない。自分はセンターバックなので、強く責任を感じなくてはならないし、まだまだ力不足だと思います」

 そのため、インターバルを終えて迎えたこの仙台戦には、特に強い気持ちを持って望んでいたようでした。そして無失点で勝ち点3を獲得。改めて仙台戦の感想を聞くと、やはりとても大事な勝利だったと口にします。

「まずはしっかりゼロで抑えた。その前の東京戦でDF陣がふがいない試合をした中で、もう一回自信を取り戻すための大事な試合でした。攻撃においても守備においても、前を向いていける内容だったと思います」

 この仙台戦でこれまでと違う収穫を上げるのならば、チームとして、ボールを回すだけではなく、相手をおびき出してカウンターで速い攻撃をする形も見せたことだと思います。

「ボールを保持するフロンターレ。そしてしっかり構えてそこから、少し相手をおびき出してカウンターを出す。二つの顔を出したと思う」と奈良竜樹は言います。

 では、なぜその二つの顔を出せるようになったのか。今回のレビューではそのへんを掘り下げてみました。ラインナップはこちらです。

1.長谷川竜也というピースが、面白いようにハマったのには理由がある。「3バックということで、CBとCBにできるスペースが4バックの2センターバックに比べると空いていると思っていました。3バックのラインさえ下げてしまえば、バイタルのところで絶対にウチが勝てると思っていました」(長谷川竜也)。

2.「後ろは余っている。でも誰も行けない。地味な真骨頂ですよ(笑)」(中村憲剛)。先制点の崩しで注目すべき「掴まらないケンゴ」の動きを読み解く。

3.勝敗に直結していた、ミラーゲームにおける両サイドの攻防と、光っていたハイネルの献身性。

4.「CKまで与えてしまうと、『押し込ませている』というよりも、『押し込まれている』というような心理状態になってしまう。押し込ませ方、引き込み方をもっとうまくやる必要がある」(奈良竜樹)。もっと盤石な試合運びのために、奈良竜樹が語ったこと。

 以上、今回は4つのポイントで約6000文字です。ひとつひとつのポイントをじっくりと掘り下げてみました。よろしくどうぞ。

なお、プレビューはこちらです。→「最後のところの冷静さ、丁寧さ、正確性というところが大事になる」(中村憲剛)。4試合中3試合で無失点。堅牢な守備ブロック崩しに必要な、二つの大きなポイントとは? / 試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第5節・ベガルタ仙台戦)

では、スタート!


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