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縦に急ぎ過ぎた後半のサッカーは、なぜ起きた?そして試合翌日の小林悠が語った「中央を堅く閉められたときの打開策」とは?(ACL第1節:水原三星戦:1-1)

等々力競技場でのAFCチャンピオンズリーグ2017グループステージ水原三星戦は1-1のドロー。

 鹿島アントラーズと浦和レッズはゼロックス、ガンバ大阪もACLプレーオフで公式戦をすでに経験してますが、フロンターレはこれが初戦となりました。

 公式戦初戦というのは、どうしても自分たちが新しく取り組んできた内容を表現したくなります。特に前半はそうなりがちで、そういう意味では、それが正直に出た試合内容だったようにも思います。

 例えば鬼木監督になってからのチームとしての取り組みに、前線が守備のスイッチを入れて、そこからショートカウンターという形があります。

試合開始10分には、早くもそれが結実。いうまでもなく、小林悠のゴールの場面です。

 この場面、高い位置で中村憲剛がスイッチ役となって、前線からプレッシングの網にかけます。彼が3バックの一角に圧力をかけていくタイミングに、ネットと大島僚太も連動。ネットがうまくパスミスを誘ったボールを、大島がダイレクトでナナメにつけます。

 これが相手選手に当たって、中村憲剛の前に転がったわけですが、大島のパス自体は家長昭博にパスを出したように見えました。意図を聞くと「とりあえず、あのへんに人がいたので、誰かに、という感じでした」(大島僚太)とのこと。

このボールに対して、相手の背後に抜け出す格好になった中村憲剛は、様々なプレー選択肢があった中で、左足のダイレクトで中央に折り返します。

「最初の時点で、相手の陣形、配置を見ていた。(自分が)右のセンターバックにいってて、リョウタがボランチをみて、ネットが行って・・・・ということは、真ん中は1対1だな、と。打とうかなと思ったけど、左足だったし、決められる自信もなかったので、ユウに出したほうがいいかな。けっこう絶妙だったと思う」(中村憲剛)

 中村憲剛のダイレクトでの折り返しは、DFとGKの間を通す絶妙なボールに。GKは、逆を突かれた格好になっており、その先にいたのは小林悠。ガラ空きだったとなったゴールに、珍しく胸で流し込みました。

「高さ的に胸でしたね。頭だと難しかった。こうやったときに(胸で押し込む格好)、レフェリーにハンド取られたらどうしようと、一瞬だけ思いましたけど。全然、胸だったんですけどね。ケンゴさんからはくるかなと思っていた。僕はオフサイドにならないことだけを気をつけて入って行きました。触るだけでよかったです」(小林悠)

 この前線からのプレッシングからショートカウンターという形は、前半はよく機能していたと思います。中村憲剛も「ああいうショートカウンターは、去年もあったけど、今年はもっと意図的にやっている」と話していますし、今年の取り組みに手応えを感じた時間帯とも言えるでしょう。

 もちろん「勝てばなお良し」なのは言うまでもないですが、そうは簡単にはいきません。そういう意味では、90分を通じてみると、収穫も課題もクッキリと出た試合になったと思います。レビューではそこのポイントを中心に執筆しております。

では、今回のラインアップはこちらです。


1.「攻撃陣が2点目、3点目を取らないといけない試合だった」(小林悠)、「あれは決めないといけない。あれでゲームを難しくしてしまった」(阿部浩之)。取れなかった追加点と、その代償で引き起こされた前と後ろの選手間に意識のズレとは?

2.「1失点目に関しては、連続のミス」(舞行龍ジェームズ)。オウンゴール自体は事故。だが失点を防ぐための改善策には目を向けるべき理由がある。


3.「奪ってからすぐに攻めようとして、奪われてまた守備という形で、攻撃と守備がすぐに入れ替わるシーンが多かった。そこはもう少し、自分たちでボールを持って主導権を握らないといけなかった。少し急ぎすぎたかな」。縦に急ぎ過ぎた後半のサッカーはなぜ起きた?

4.試合翌日の小林悠が語った「中央を堅く閉められたときの打開策」とは?

5.「一歩踏み出せたという喜びは感じる。また等々力でサッカーできたというのは幸せなこと」力強い守備で、チームの攻撃を活性化した奈良竜樹。完全復活の兆し。


以上5つのポイントで、冒頭も含めると全部で約7000文字です。

なお試合のプレビューはこちらです→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(ACL第1節:水原三星戦)

では、よろしくお願いします。

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