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新装再編版「スラムダンク」を語る〜第3巻:陵南戦の湘北ベンチには、7人の1年生がいた。

どうも、いしかわごうです。

新装再編版「スラムダンク」を語る。今回は第3巻のレビューです。

表紙:赤木剛憲

表紙はゴリこと赤木剛憲。イラストのゴリラダンクは、試合中のシーンではなく、練習時のシーンですね。ゴリが着ているシャツは白ですが、パンツは赤なので、もしかしたら陵南戦の本編で描かれていなかった、アップ中の一コマなのかもしれませんな。

帯カバーのコメント:「でたあああっ!! ゴリラダーーンク!!」

本編中の陵南戦でのチーム初得点で、(おそらく)湘北ベンチの誰かが叫んだときのセリフです。

第3巻のタイトルは「初試合・陵南戦1」。収録されているのは、♯25 因縁の二人から♯36 田岡の誤算 までの11話分です。

本編の話題にいきますが、陵南に向かう電車車内に、「英会話 授講料90億ドル」という広告がありますね(9ページ)・・・90億ドルって・笑。

陵南の試合前のアップ中、客席を見た相田彦一が「新聞記者風の人まできとるやないか」と言っています。小さいコマですが、風貌からすると週刊バスケットボール編集部・相田弥生っぽく見えなくもないんですが・・・・それだったら、自分の姉ちゃんじゃねーか、というね・笑。

 実際、インターハイ出場校予想の特集で、県予選前に陵南高校の仙道彰を絶賛する記事を書いていたわけで(彦一が大阪・豊玉高校の岸本と対面した場面)、この湘北との練習試合を取材して書いた記事の可能性もあるんじゃないでしょうか。

 スタメン発表では、ユニフォームを巡って花道と流川が一悶着。
メガネくんの提案で花道が10番、流川が11番となりますが、15番までしかないため、1年生のユニフォームが一人分足りなくなってしまう事態に。結局、15番をもらうはずだった佐々岡智(と思われる1年生)がガムテープで16番になるわけですが、この段階で1年生は、全部で7人いたとわかります。

 他に確認できる範囲だと、13番を桑田登紀(と思われる1年生)がつけていますね。1年生トリオにはもう一人、メガネの石井健太郎がいて(このときの背番号は不明)、それに花道と流川で5人です。

 じゃあ、1年生にいたはずの残りの二人はどうなったかというと、後日の石井の証言もあり、そのどちらかか、あるいは二人ともが陵南との練習試合中に逃げ出したことがわかっています(陵南戦で14番と15番をつけていた選手だと思われます)。練習試合中に逃亡するとは、なかなかすごいですね。

ちなみにインターハイの本大会では佐々岡が13番、桑田が15番で登録されています(12番は石井健太郎、14番は三井寿)。

 そんなこんなで陵南との練習試合が始まります。

リアルタイムで少年ジャンプを読んでいた感覚でいうと、この陵南戦ぐらいからスラムダンクの人気が爆発的になってきて、常に上位に掲載されていた覚えがあります。

 スポーツ漫画としてバスケットボールの面白さを描きつつ、ちゃんと合間にギャグの盛り込まれていて、テンポよくグイグイ読めます。なのでスラムダンクを読んだことのない人にコミックスを貸すと、だいたいこの陵南との練習試合からガッツリハマり出しますね。

 試合としては、立ち上がりは魚住のブロック3連発から始まり、天才・仙道の片鱗とともに、陵南の強さを印象付けています。序盤でワンサイドゲームになりかけたところを図太い・流川のパスカットから流れを変えて、ゴリラダンクが炸裂して湘北にもエンジンがかかり始める。なかなか燃える展開です。

 
前半は素人・花道をベンチに置いて試合を見学させる役割をさせることで、バスケットのルールに詳しくない大多数の読者に対しても、素人目戦での視点と解説で描かれているのが親切ですよね。花道をスタメンで起用しないのも、たぶんそれを狙ったものでしょう。

 シリアスな試合中でも笑いがたくさんあるのも、この時期のテイストです。出番のない花道が、反撃のゴリラダンクで「今のは10点ぐらいあるだろう」とスコアめくりにでしゃばったり、3秒のオーバータイムで味方が喜んでから「おーっし!」って喜ぶ描写が面白いです。アップで光速でボールハンドリングするシーンは何度見ても爆笑しますし、フンフンディフェンスが作中に登場するのも、まだ本格派バスケ漫画ではないからこそ、ですね。

・・・にしても天才プレイヤー・仙道彰が、なぜプレーもみていない花道を試合前からあんなに買っていたのは謎ですが。

では、また次回4巻でお会いしましょう。

<過去のレビューはこちらです>

幻のイベント「スラムダンク、あれから10日後」の思い出を振り返ってみた。

新装再編版「スラムダンク」を語る〜第1巻レビュー:流川楓の名前の由来を、君は知っているか?

新装再編版「スラムダンク」を語る〜第2巻レビュー:表紙の流川楓は、陵南との練習試合の集合場所に向かっている説。

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