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試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第29節・鹿島アントラーズ戦)

 10月7日はカシマスタジアムで鹿島アントラーズ戦です。

 前日の6日、勝ち点差で並んでいた2位・サンフレッチェ広島が柏レイソルに敗れました。その結果を受けて、今節の川崎フロンターレは、勝つか引き分けるかの結果次第で、広島との勝ち点差を広げることができます。

 前節までの広島を追いかける立場から一転して、今度は広島を突き放せる状況になりました。ただそこに持ち込むのは簡単ではありません。今節、フロンターレの前に立ちふさがる相手は、難敵・鹿島アントラーズだからです。

 現在、ACLも並行して勝ち抜いている鹿島は、リーグ戦でも3位にまで浮上。公式戦は7連勝中というチーム状態です。

 ただ相手を圧倒し続けて勝っているわけではありません。むしろ一瞬の隙をついて、スコアを動かして差を広げて勝ちに持って行くような感じです。ここらへんの試合運びの巧さは相変わらずうまいですが、連戦で勝ち続けている間というのは、肉体的には消耗していても、逆に勝負所の感覚が研ぎ澄まされていたりしますからね。油断はできません。

 フロンターレとしても、先月のルヴァンカップ準々決勝2ndレグでの鹿島戦では、一瞬の隙を突かれてアウェイゴールを献上して、試合を苦しくしてしまいました。あの苦い負けを教訓にする必要がありますし、もっと言えば、前節のV・ファーレン長崎戦の試合終了間際の失点もそうです。谷口彰悟が気を引き締めます。

「長崎戦は顕著だったが、自分たちが緩めてしまうと相手に勢いが出てきてしまう。相手に自分たちから流れを与えてしまった感じはある。そこで最後の最後にやられてしまった。もうちょっと変えていかないといけない。隙を与えてはいけないし、そういう経験を生かしながら戦いたい」

 連覇のためには、乗り越えなくてはいけない難敵です。もっと言えば、これ以上、やりがいのある対戦相手はいないかもしれません。キャプテンの小林悠が、連覇に向けて力を込めます。

「どれだけタイトルを取りたいと思う選手が、どれだけ数多くピッチにいるか。僕たちは去年タイトルを取ったこともそうだし、タイトルを取りたいという選手も多い。それを信じて、強い気持ちを持ってやりたい」

 では、試合の見どころをディープに語っていきたいと思います。今回のラインナップはこちらです。

1.「一人いないと全然違うゲームになるというチームは優勝できない」(阿部浩之)。家長昭博の出場停止と守田英正の復帰。模索していた前線の組み合わせと、気になる予想スタメンは?

2.「自分たちがやりにいくという瞬間の出力は高い。そこは鹿島だなと思う」(中村憲剛)。やるべきことが変わらない相手だからこそ、警戒しなくてはいけない。隙を見せずに、隙を突くために。昨年の覇者として示したい、「したたかさ」。

3.「サイドからうまくローリングして、中からマークのズレを生んだりするのがうまい」(車屋紳太郎)、「縦ズレと横ズレに関しては、試合をイメージした練習はできた」(谷口彰悟)。鹿島攻撃陣が作り出してくる「ズレ」にどう対峙するか。川崎守備陣に求められる連携と、個の対応力とは?

4.「相手のセンターバックもそうですけど、サイドバックが気になるようなポジショニングを取りながらやりたい」(登里享平)、「ノボリのポジショニングとかタイミングの良さは、シン(車屋紳太郎)も見習ってほしいところ」(小林悠)。鹿島戦で鍵を握る両サイドハーフの機能性。小林悠がノボリを絶賛する理由。

 以上、4つのポイントで冒頭部分も含めて全部で約7000文字です。読み応えありますよ。よろしくどうぞ。

なお、前節のレビューはこちらです。➡️ボールを握り倒したダブルボランチが生み出した「絶対時間」。そして、首位奪還。(リーグ第28節・V・ファーレン長崎戦:2-1)

では、スタート!

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