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ボールコントロールは次の部屋に入る鍵である。安定したビルドアップ力と、存在感を出し始めた右サイドの縦関係。(リーグ第28節・湘南ベルマーレ戦:5-0)

Shonan BMWスタジアム平塚での湘南ベルマーレ戦は、5-0で勝利。

 今季最多得点での勝利を飾りました。

久しぶりに、ゴールでお腹いっぱいになりましたね。どれも語り甲斐のある得点でしたが、圧巻だったのは、自陣から繋いで始まった4点目のカウンターでしょう。

 相手の攻撃をしのいだ後、右サイドバックの守田英正は、安直にクリアを選択するのではなく、自陣から相手を外しながら丁寧につないでいくことを選択しています。まずこの判断と技術を評価したいですね。守田本人もそこの使い分けは自信を持っていると言います。

「クリアで逃げるシーンと、一個かいくぐって繋ぐところ。そこの状況判断は、自分自身もそうだし、周りのサポートの仕方もうまく変えられるようになってきています」

そして配給で味方がダイレクトパスでかいくぐっていくと、ボールは右サイドを駆け上がっていた家長昭博に・・・・あっという間にカウンターとなりました。

 家長の前方にいる味方は、ワントップの小林悠のみです。ただ湘南のディフェンダーが二人いるので、小林は1対2の状況でした。そこで小林はファーサイドに流れる動きをして、左側にいる選手と勝負するような駆け引きをします。

「アキくんが突破したときに、自分は開いてボールを受けようかなと思った。ディフェンスが2人いたので、一人を引き付ければ間が空くと思ったので、動き直して」(小林悠)

ただこの場面までに、逆サイドから猛烈な勢いでスプリントしてくる選手がいました。

 左サイドハーフの阿部浩之です。
ここぞというタイミングで出すフリーランニングで小林をサポートし、2対2を作ります。

 これによってボールを運んでいる家長昭博には、二つの選択肢ができました。

小林悠に出すのか。それとも、阿部浩之に出すのか、です。

「どっちに出そうか迷ったんですけど、悠にマークを付いている選手が、阿部ちゃんの方に行ったので。悠が右に行って、阿部ちゃんが左に行って、ディフェンスがあべちゃんの方に行こうかなと思ったタイミングで、悠に出せました」(家長昭博)

もちろん、自分でシュートを打つという選択肢がなかったわけではないと思いますが、家長は湘南DFの背中を取った瞬間の小林に、絶妙なボールを出します。そして小林はそのパスを鮮やかに流し込みます。

スローで見てみると、GKの位置や動きを見ないで打っているように見えました。試合後の取材で「GKは見えていたんですか?」と尋ねると、こう答えてくれました。

「自分の走ってる位置と、角度であのコースで決まるのは分かってたので。あとは腰のひねりでしたね」

そして「アキくんのボールが絶妙だったので」と家長昭博のお膳立てに感謝していました。

自陣から丁寧に繋いだカウンターから始まり、阿部浩之による献身的なフリーランニング、そして出し手と受け手のイメージも共有で揺らした見事なゴールでした・・・・もう、前半だけでお腹いっぱいになりましたよ・笑。

ついつい冒頭部分が長くなりましたが、ここからがレビュー本文です。今回のラインナップはこちらです。

1.「今年も素晴らしいピッチで、僕らもストレスなくやれた。トラップも気を使わなくていいし、ルックアップの時間が長ければ、いろんな選手が見える」(中村憲剛)。なぜいつもよりボールスピードが速く、面白いようにパスワークを展開できたのか。あらためて感じた、相手を見てサッカーをするために必要なこと。

2.「前半から湘南らしく飛ばしてきて、球際もバチバチでファウルぐらいの勢いできていた。それに押された部分もあるが、セットプレー絡みで流れをもっていくことができた」(谷口彰悟)。失点の動揺を立て直せなかった湘南。そこを畳み掛けて4得点を奪った川崎。前半で勝敗が決まってしまった要因は?

3.「良いボールが入ってくると、前の選手は自ずとリズムに乗りやすい。その回数が多いければ多いほど、僕らもボールに触れる回数も増える」(家長昭博)、「これまで数試合は、一人、二人の関係でしかボールが回らなかったけど、今日はみんなが近くにいたし、ボールもよく回った」(中村憲剛)、「選手全員が顔を出すところであったり、ワンタッチでうまく逃げながら、アプローチをうまく剥がしながらというのが出来ていた。相手も掴みにくかったかなと思う」(登里享平)。自分たちの感覚と試合運びをもたらしたのは、安定したビルドアップ力にあり。

4.「エウソンだったらどうするやろ?と思っていて、あの時はまさにそうでした」(守田英正)、「90分出たかったですね。」(家長昭博)。存在感を出し始めた右サイドの縦関係。輝き出した彼らは、誰にも止められない。

以上、4つのポイントで冒頭部分も含めて全部で約9500文字です。念のため断っておきますと、この試合に関して言うと、前半に小林悠の決めた4点目が入った時点で、ほぼ勝敗が決まった試合だったと認識しています。なので、後半に関しては特に詳細な分析などはしていない内容になってます。あと守田英正と家長昭博のコメントは、試合後ではなく試合翌日に取材したものです。

なお、プレビューはこちら。スタメンを変えずに臨んだ背景や、試合にも反映された練習で取り組んでいたポイントなどは、こちらで触れています。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第28節・湘南ベルマーレ戦)

では、スタート!

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この続き:7,690文字

ボールコントロールは次の部屋に入る鍵である。安定したビルドアップ力と、存在感を出し始めた右サイドの縦関係。(リーグ第28節・湘南ベルマーレ戦:5-0)

いしかわごう

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いしかわごう

サッカーと将棋をコンテンツ化するフリーランスです。Number Webなどに寄稿。著書は「将棋でサッカーが面白くなる本」、「川崎フロンターレあるある1&2」など。「サッカー脳を育む」、「サッカー上達のためのマインドとメソッド」など中村憲剛の著書の構成も担当。
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