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「チームにとって苦しいところに居られるようにしたいと思っていた」(阿部浩之)。進化のための再確認。目の揃った11人で取り戻した勝ち方。(リーグ第5節・松本山雅戦:2-0)

 サンプロ アルウィンでの松本山雅FC戦は2-0で勝利。リーグ初勝利となりましたが、試合内容と結果がリンクした「完勝」と表現してよい試合だったと思います。

「得点するチャンスをできるだけ多く作り出し、諦めるチャンスの数をできるだけ減らす」

これは1974年、ヨハン・クライフ要する「トータルフットボール」で世界にセンセーショナルを巻き起こしたオランダ代表の指揮官、リヌス・ミケルスの言葉です。

 少し大げさかもしれませんが、この松本山雅戦に関していば、そういう戦い方ができていたとも思います。

 ボールを握り倒して攻め続け、失った後の切り替えも早くする。特に後半はほぼ相手陣地でサッカーをし続けました。我慢できずにカウンターを浴びるというピンチもほとんどなく(ロスタイムに、エドァルドに作られた場面ぐらいでしょうか)、90分を通じて勝つための試合運びができていました。

プレビューも書きましたが、試合前の鬼木監督は、この試合に向けて「進化のための再確認」と話していました。チームは生き物ですから、毎試合、右肩上がりでは強くなるわけではありません。ときには、自分たちの立ち位置をニュートラルなポジションにセットして、もう一回、前に進んでいく時期も必要です。この松本山雅戦はそういう試合だったと感じています。

では、試合を詳しく振り返っていきたいと思います。ラインナップはこちらです。


1.「松本のプレッシャーのところも当然スピード感はありました。ただその中で自分達の距離感が良くなかった」(鬼木監督)。「相手はうまくパッキングとか死角からプレスバックするような形で、思ったよりも守備に力をかけてきた」(守田英正)。リズムを生み出しにくかった立ち上がりの時間帯。松本山雅のプレスで「自分たちの距離感」を調節できなかった原因は?

2.「中と外の使い分け。ただ掴みながら進めていた感じもあった。こういう感じかなとは思っていた」(谷口彰悟)、「窮屈ではなかったですが、自分のところで相手の(守備の)スイッチを入れられていたので、そこはポジショニングが悪かったと思います」(鈴木雄斗)。ボールの奪いどころにされた右サイドの攻防と、その狙いを逆手にとった「ラインを飛ばすボール」を配給した奈良竜樹の機転。先制点を巡る攻防戦を読み解く。

3.「90分通してのプランニングは良かったと思います」(守田英正)。まさに進化のための再確認。松本山雅ブロック攻略のために、我慢強くやり続けた「下ごしらえ」。万能型FW知念慶の「使い方」と、目の揃った11人で取り戻した「勝ち方」。

4.「チームにとって苦しいところに居られるようにしたいと思っていた」(阿部浩之)、阿部ちゃんも自分も楽をしたいタイプ。関西人なので(笑)。要領よく、効率よく試合を運べたと思う」(登里享平)。これぞ阿部浩之!使う側と使われる側の両方になれるその凄みをあらためて考えてみる。

※5:「相手を見ているし、あとはみんなが動いてくれるので」(家長昭博)。阿部浩之のゴラッソをアシストした、家長昭博の「時間を止めるプレー」。あの「2.25秒」で何を考えていたのか、本人に聞いてみた。(※追記:4月4日)

以上、5つのポイントで冒頭部分も含めて全部で約1000文字です(※4月4日に、ポイント5を追記しました)。読み応えありますから、よろしくどうぞ。

なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第5節・松本山雅戦)

では、スタート!

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