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先制後の中村憲剛が行っていた巧妙なビルドアップと、米本拓司を動かすことで生じる「穴」を執拗に狙って積み重ねた、必然の追加点。(ルヴァンカップ準々決勝2ndレグ・FC東京戦:5-1)

 味の素スタジアムでのルヴァンカップ準々決勝第2戦は5-1で勝利。

第1戦(2-0)の結果を踏まえると、トータルスコア7-1で、ベスト4に進みました。

 ゴールを決めたのは、阿部浩之とエウシーニョの二人です。
阿部浩之はプロ初となるハットトリック、エウシーニョも貫禄の2ゴールを挙げました。ちなみに両者は1989年生まれの同級生(?)だったりします。

 エウソンは、多摩川クラシコで点を取るイメージがありますよね。味スタで言えば、今年のリーグ戦ではケガで欠場しましたが、去年はリーグと天皇杯でゴールしています。試合後のミックスゾーンでそれを伝えると、「いま、言われて思い出しました・笑。これからも得点を取れれば良いですね」と笑っておりました。

 彼の1点目のゴールは、まさに「そこにエウソン」でした。
板倉滉がフリーで抜け出して放ったシュートのこぼれ球に、ウィングバックの彼はしっかりと詰めていました。普通だったら、GKがこぼすとは予想できないでしょうし、つい慌ててしまいそうです。

 こういうときに嗅覚と冷静なフィニッシュを発揮できる選手は何が違うのか。昔、元日本代表の大黒将志にそういう感覚について聞いてみたことがあるのですが、彼はゴール前に詰めているとき、「ミスしろー!ミスしろー!」と、DFやGKに向かって念じながら走っていると話していました・笑。

 では、エウソンはどういう感覚なのか。ミックスゾーンで聞いてみると、「本当はあのシーンは、後ろ(自分)にパスを要求していました。ただ、(板倉滉が)ゴールに向かっていたので、転がってきたら良いなというふうに思いながらあそこに行きましたね」と話していました。

 ゴンさん(中山通訳)も訳すニュアンスが難しかったと思いますが、「転がってきたら良いな」というのは、相手がこぼすのも期待して走り込んでいるということなのだと思います・・・やはりストライカーの嗅覚ですね・笑。

 さてレビューですが、前半を中心に掘り下げています。特に2点目と3点目ですね。実はとても巧妙なビルドアップから相手の守備組織の穴を突いて攻略した形でした。そこの狙いをたっぷりと語っています。

 後半に関していえば、その戦い方が今後に向けた鬼木監督の示すヒントが垣間見れた時間だったと思っています。そこらへんを文字数を割いて考察してますので、ぜひ読んでみてください。

では、今回のラインナップはこちらです。

1.「蹴って、大雑把な感じにはなったが、ストレスを抱えていたわけではない。耐える時は耐えるということ」(奈良竜樹)。「押し込まれる時間帯が長かったが、チームとしてリスクをかけずにやれていたのは、想定内でもある」(阿部浩之)。前傾姿勢で奪いにきたFC東京の圧力を受けた序盤。ピッチ内で行われていた意思統一とは?

2.まるで2014年のナビスコカップ準決勝の再現!?3分間でアウェイゴール2発で、相手チームの心を折った阿部浩之のしたたかさ。

3.これぞ「相手を見てサッカーをする」ということ。米本拓司を動かすことで生じる「穴」を執拗に狙い続けて決めた、必然の追加点。先制後の中村憲剛が行っていた、巧妙すぎるビルドアップとは?

4.「自分でゴールを決めてやろうと思っていました。ただショートがめっちゃ下手だった(笑)。結果的にゴールにつながってよかったですね」(板倉滉)。なぜ右CB・板倉滉がフリーで抜け出してシュートを放ち、右WBのエウシーニョが詰めていたのか。不思議だった右サイドの崩しを読み解く。

5.「頭を切り替えるのは大変だった。久しぶりで緊張したし、刺激的だった」。試合後の中村憲剛が、安堵の表情を見せた理由。そしてルヴァンカップでのダブルボランチから垣間見れる、シーズン終盤に向けたチームマネジメントとは?

 以上、5つのポイントで冒頭部分も含めて全部で約9000文字です。大ボリュームですし、かなり読み応えあると思います。

なおプレビューはこちらです→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(ルヴァンカップ準々決勝2ndレグ・FC東京戦)

1stレグのレビューはこちらです。→鬼木フロンターレ対策として定番化してきた〔5-3-2〕システム。指揮官が打ち出した「対策の対策」とは?(ルヴァンカップ準々決勝1stレグ・FC東京戦:2-0)

では、スタート!

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