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先制点を呼び込んだ板倉滉の「運ぶ」という決断の背景にあったもの。止める、蹴る、そして「運ぶ」の重要性を、あえて読み解く。(天皇杯4回戦・清水エスパルス戦:4-1)

 天皇杯4回戦清水エスパルス戦は4-1で勝利。

同じ相手と続けざまに2回対戦するということで、組みにくさはあったと思います。リーグ戦でも先発した長谷川竜也にそのへんの意識について聞くと、やりにくさがあったことを踏まえた上で、「気持ちで上回ろうという話が監督からありました。今日は気持ちの勝負だったと思うし、気持ちで上回れたと思います」と勝因を語ってくれました。

どちらも4得点での快勝ですから、チームとして強い気持ちを出せた結果でもあるのだと思います。

森本貴幸のハットトリックを含めた4ゴール、どれも素晴らしいのですが、個人的に印象強いのは、2点目のゴールです。板倉滉がフリーで上げたクロスと森本貴幸の豪快なヘディング弾。

フロンターレはゴール前で運んで緻密な崩しを狙うチームですから、低い位置からゴール前にクロスを上げて、それを頭でドカンという形は珍しいパターンとも言えます。自陣のゴール前から見ていたGK新井章太は、こんな勘違いをしていたと言います。

「コウ(板倉滉)がクロスをあげるシーンは見たことがなかった(笑)。あげたのがタッピー(田坂祐介)だと思っていて、『ナイス、タッピー!』って思っていたら、『板倉が2アシスト』って書いてあってビックリした」

 さて試合について振り返りたいと思います。今回は得点シーンを中心に掘り下げてみました。今回のラインナップはこちらです。

1.「自分がボールを持ったときに、デューク選手が外を切ってきた。なのでチャンスがあれば中に運んでいこうと思っていました」。先制点を呼び込んだ板倉滉の「運ぶ」という決断の背景にあったもの。止める、蹴る、そして「運ぶ」の重要性を、あえて読み解く。

2.先制後にゲームコントロール力を失い、天皇杯で初失点。「今出ているスタメン組は、それをやりますよね?」。新井章太が指摘した、改善すべき試合の進め方とは?

3.なぜ板倉滉はフリーで森本貴幸にクロスを上げることができたのか。「自分が中に入った時に、前の選手が後ろを食いつかせていたことで、コウがどフリーだった」(長谷川竜也)、「自分が中に入ったときは、コウにサイドに出てくれと言っていた。そこを怖がらずにやってくれたと思います」(田坂祐介)。彼を生かした両ウィングバックの献身性。

4.「マークのつき方、ラインの雑さがあった」(長谷川竜也)。付け入る隙があった清水のブラジル人CBコンビ。川崎攻撃陣はどう破壊したのか?

5.「ストライカー以外ないですよ。頼もしい」と鬼木監督が評する、マグロ漁船の漁師・森本貴幸。試合後も、まさに規格外だった。

以上、5つのポイントで冒頭も含めて全部で約7000文字です。ちょっとしたプレーの判断や技術が得点を生み出し、そして勝敗も分けるのだと感じてもらえれば幸いです。

なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(天皇杯4回戦・清水エスパルス戦)

では、スタート!

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