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得点を量産し始めた夏男・小林悠と、確立され始めた夏場の勝利の方程式。(リーグ第17節・V・ファーレン長崎戦:1-0)

 等々力競技場のV・ファーレン長崎戦は、1-0の勝利。

 決勝弾とまったのは、小林悠の決めた先制点です。これで小林は、再開後はリーグ2試合連続ゴール。プレビューでも詳しく触れましたが、やっぱり彼は夏男ですね。試合後のミックスゾーンでも、報道陣から夏場に得点を量産できる理由を尋ねられていました。

「毎年そういう風になっているので、今年も『夏が来たぞー』という風に(気持ちが)なっている(笑)」と本人は笑っていましたが、この「夏が来たぞー」のコメントを聞いているとき、僕の頭の中では、大黒摩季さんの「夏が来る」が鳴り響いていたのは内緒です・笑。

 さて。

等々力競技場で観戦していた人ならばわかると思いますが、この試合は現地で観戦しているだけも蒸し風呂のような状態でしたね(僕は試合中だけで550mlのミネラルウォーターを2本飲み干しました)。

 前半は長崎が守備で施してきたフロンターレ対策を巧妙に外しながら攻めていたものの、ゴールが奪えず。後半になると我慢比べになりかけましたが、夏男・小林悠が決めて先制。その後は、鬼木監督の的確な采配もあり、ウノゼロ(1-0)で逃げ切りました。

 この試合を語る上で、暑さの影響は避けられない試合でしたが、ピッチ上での選手たちの踏ん張りからは、勝利への執念が伝わってきました。試合後の谷口彰悟は、そこの意地があったことを口にします。

「暑さに負けて、『これぐらいでいい』じゃなくて、『勝ち切るんだ』という強い気持ちを持ってやり切ること」

 では、そんな暑さに負けなかった長崎戦を読み解いていきたいと思います。ラインナップはこちらです。

1.「僕とエウソン(エウシーニョ)のところが空くのは、システム的にわかっていた。ただ前半は、中、中という攻撃が多かったですね」(車屋紳太郎)。前半の両サイドバックは、なぜ浮きやすかったのか。そして、そのアドバンテージを攻撃で生かし切れなかった理由。

2.「僕の立ち位置で、攻撃で中と外かが決まるようなところはあった。外に早く行き過ぎると、相手も楽になる」(家長昭博)。流動的なポジショニングを取る家長昭博が語る、中と外の崩しのメカニズム。

3.「相手も疲れてくる中で、一瞬の隙だったりを逃さないようにしている」(小林悠)。夏男・小林悠が語る、夏場にゴールを量産できる理由。

4.「今日ぐらい攻めることができると、攻め疲れも出てしまう。ちょっと向こうのボールのときに休むことができなかった」(中村憲剛)、「今日は縦に速い攻撃が多くて、ゆっくりボールを回す時間が少なかった」(車屋紳太郎)。チームの消耗を招いた「縦の攻め急ぎ」は、どこに原因があったのか。二つの問題点を検証する。

5.「交代で出てくる選手が、自分の役割を理解してくれている」(家長昭博)、「あれだけプレッシャーをかけてくれると、いろんなコースを限定できる。非常に守りやすかった」(谷口彰悟)。確立されつつある、夏場における勝利の方程式。鬼木流のゲームの終わらせ方を読み解く。

以上、5つのポイントで冒頭部分も含めて全部で約8500文字です。ボリュームたっぷり。読み見応えは十分だと思います。よろしくどうぞ。

なお、プレビューはこちらです。

では、スタート!

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