見出し画像

無言館

前から行きたかった戦没画学生慰霊美術館「無言館」に行ってきた。

入り口

声無き表現の強さに圧倒される。
林の中に無言館とオリーブの館がある。
この空間に入っただけで鎮魂の世界。

無言館設立の協力者名

中の作品は痛みが激しいため、撮影禁止。

最初に掲げられているのが、この建物を作るきっかけとなった日高安典の裸婦。
まず、この絵を見たかった。

本の中で紹介されている日高の裸婦像


「戦地から戻ってまたお前を描くんだ」という日高の圧倒的な力を感ずる。
裸婦のモデルは、日高を待って結婚もせず、70代になってからこの無言館でこの絵と再会したのだという。
釘付けにされる。

「無言館の青春」という窪島館主の書いた本の中にあった言葉、記憶に残っている。
館内に書かれていたのかTVで紹介された時の言葉だったか、強く印象に残っていた言葉。
「かれらの絵はけっしてコンクールに入賞したいとか、展覧会で注目をあびたいとか、評論家にほめられたいとかいった動機で描かれたものではない。そこには一点として、功名心や売名心で描かれた絵などありやしない。かれらはひたすら、その絵の完成だけを生きる希望の灯として生命の糧として絵筆を動かし続けたのだ」

画学生たちの残した絵の数に驚く。
どの遺族たちも戦後の苦しい生活の中でこれらの絵を大事に守ってきてのだ。
そのことに思いをはせるだけでも見ているのが苦しくなる。
一つ一つの絵に亡くなった彼らの生への思いと遺族たちのその絵を守ってきた思いが重なって伝わってくる。
この場から逃げ出したくなるような、それでいて惹きつける作品群。
結局、たっぷりと時間をかけて見てきた。

第二展示館とオリーブの読書室

建物と建物を包む雰囲気がすばらしい。
館主窪島誠一郎氏の世界観。
館主自ら受付におられて、チケットを売っていたので驚いた。

館主窪島誠一郎氏の詩と彫刻

館主から渡されたカードにはこんなメッセージが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?