後ろ生けをしながら発光している人に桜を手渡しました

後ろ生け、という生け方がある。
これは、生けている姿と花が現在進行形で生けられていく様子を人に見ていただくための生け方で、名前の通り後ろから花を生けていく。うーんうーんと悩みながらやるというよりは、短い時間の中で時には観客の方に話しかけたりするもので、できるようになると格好いいよなという羨望のまと。

いつぞやの日曜日、助手として生け花のワークショップに参加した。私の役割は、後ろ生けで花を生けていく先生に、桜やら梅やらを、はい!と手渡しするというものでとにかく夢中で任務を果たした。

生け花って、始まりは武士の嗜みだったそうなのですが、ご存知でしたか?先生が観客に声をかける。大きな桜の木が組み立てられる。梅の花を手渡し、ドラセナが差し込まれていく。子供が泣き喚き始める。周りを気にして出て行こうとする親子に先生が声をかける。大丈夫ですよ、もう少しですから最後まで見ていってください。

眩しい。私から桜を受け取っていくその手が、その手から作られていく造形物が、花を生けるその人そのものが、あまりに眩しくて私は一瞬立ち止まってしまう。作家さんの花器なのだけど不安定で心配なの、とはにかんでいたのに、そんなそぶりも見せずに。人間の上半身ほどの大きさの枝を花鋏で捌き、完成に勢い強く向かっていく。

発光してるやん…
そんなふうに思ってから急いで袖にはけて最後のバンダを手に取り先生に素早くお渡しする。
発光してた。


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