7月22日(金)外務省に突撃! 『維新と興亜』抗議街宣。

【巻頭言】北米局長に問う「それでもあなたは日本人なのか」(『維新と興亜』第13号)

 日本の主権を踏みにじり、日本人の誇りを傷つけている日米地位協定の抜本改定を、本誌は一貫して主張してきた。今回の特集においても、議席獲得を目指す保守政党全てが地位協定の抜本改定に賛成であることが明らかになった。しかし、地位協定改定は一ミリも動かない。なぜか。外務省がそれを阻んでいるからだ。
 日米安保体制とは、米軍に絶対的な特権が与えられる占領体制の継続にほかならない。しかし、米軍特権を日米安全保障条約や日米地位協定に書き込めば、当然日本人の反発を招くことになる。そこで、米軍特権は日米合同委員会で結ばれる密約によって決められているのである。合同委員会での合意事項は日米双方に拘束力を持つが、日米双方の合意がなければ公表されない。
 合同委員会のアメリカ側トップが在日米軍司令部副司令官であり、日本側トップが外務省北米局長だ。つまり、日本国民を欺いて米軍特権を守っているのが、北米局長ということになる。合同委員会の米側トップは、いわばイギリスが植民地支配のために置いた総督のような存在であり、総督から直接指示を受けるのが北米局長という構図だ。現在北米局長を務めているのが、「自由で開かれたインド太平洋」の発案者として知られる市川恵一氏である。
 北米局長は、外務省の中でも特別な地位にある。歴代北米局長には、人事面から外務省を統制している人事課の課長、課長補佐歴任者が多い。立命館大学大学院助教の竹本信介氏は、「継続的に人事課長歴任者が北米局長に就任することで、地域局内のヒエラルキー構造は北米局を中心としたものとなり、特にこの主流派に属する外務官僚の行動様式には、その体制維持に努めることが期待されている」と指摘している。
 「体制維持」とは、占領体制の維持なのではあるまいか。北米局長は、占領体制を守るために、日本国の総理の決断さえ葬り去ることができる。
 二〇〇九年九月、鳩山由紀夫氏は米軍普天間飛行場の移設先について、「最低でも県外」を掲げ政権交代を実現した。しかし、外務省はこの鳩山総理の方針を葬ったのである。二〇一〇年春、鳩山総理は徳之島移設案を打ち出した。ところが四月十九日、「極秘」と押印された外務省文書が鳩山総理のもとに届けられた。
 その文書には、〈米軍マニュアルにはヘリ基地と訓練場との距離は「六十五カイリ(約百二十キロ)以内」との基準が明記されており、徳之島にヘリ基地を移設しても訓練場のある沖縄本島との距離は最低でも百四カイリ(百九十二キロ)となり、一時間の訓練のため四時間の飛行が必要となるなど、持続可能ではない〉と書かれていた。この瞬間、鳩山総理は県外移設を断念したのだ。ところが、不思議なことに米軍は「そのようなマニュアルは存在しない」と述べ、外務省の「極秘文書の管理簿」にもこの文書は記載されていない。アメリカの意向を受けた北米局が公文書を偽造したということなのか。倉重篤郎氏は、「彼ら官僚たちの忠誠心の向かう先が、時の政権の新方針ではなく米国の意向のほうにあった」と指摘している(『サンデー毎日』二〇一七年二月五日号)。
 三月十六日の衆議院外務委員会では、民主党政権時代に外相を務めた岡田克也氏が、二〇〇一年に施行された情報公開法、二〇一一年に施行された公文書管理法よりも、「外務省の局長と在日米軍の副司令官レベルの人とが合意したことが優先してしまっている」と批判している。米軍特権を維持するために占領体制を守ることが、外務省北米局の使命であっていいのか。
 いま、心ある日本人はアメリカからの真の自立を熱望している。日本人としての誇りがあるからだ。市川恵一北米局長に問いたい。いつまで占領軍のために働き続けるのか。あなたには日本人としての誇りはないのか。それでもあなたは日本人なのか。

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