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人生を決定する音楽

俺が「PUNK」という音楽に出会ったのは、小学校も終わるぐらいのときに、地元のとなりにある街に住んでいた先輩がバンドでデビューすると言う話を聞き、地元のちょっとでも悪いやつらの間では、聴かなければいけないような雰囲気になっていたバンドがあった。それがANARACHYというバンドだ。

直接は知らない先輩だったが、中学に入ると地元の先輩や不良達はこぞってANARACHYを聴き始めた。世の中は横浜銀蝿一色だったが、ウチの地元だけはANARACHYの方が断然人気があった。

ANARACHYの曲の中でも「東京イスバーニング」という曲には、サビの部分にブザーが入っていて歌詞が聴き取れない。

“何が日本の(ブザー音)だ!なんにもしねぇでふざけんな!”

このブザー部分が「象徴」だというのを知り、勉強なんかなにもせず、なんにも知らないガキの俺に「物事を調べる」というきっかけを与えてくれたのも、PUNKでありロックだった。それ以降、海外のバンドの歌詞を知りたいために英語の辞書をつかい勉強したのも、PUNKとロックのおかげだ。

音楽というものに触れたきっかけが、地元の不良からというのが時代を感じさせるかもしれないが、当時はみんなそんなもんじゃないかと思う。

俺より先輩の時代になると、表のキャロル、裏の外道と言われていたように、不良達の中ではキャロルと外道が人気を二分していたんじゃないだろうか。

当時は選択肢というものが無く、学校に馴染めない奴らは、暴走族かロックンローラーで原宿歩行者天国で踊るか、それぐらいしか無かったところに「PUNK」というものを知った俺は、どんどんのめり込んでいった。

きっかけなんて何でもいいんだ。

1980年代、日本の創世記のHARD CORE PUNKには歌詞云々ではなく、それをも超えた衝撃があった。それを観て夢中になった自分が、最初にバンドを始めたころは、実際歌詞なんかどうでもよく、ただ暴れられればそれだけで良かった。

しかし頭が悪いなりに、感激したバンドのことは忘れない。

10代の無軌道な怒りや不満をわかりやすく示してくれたANARCHYであったり、共産党というものが一体何なのか調べたきっかけはSTALINだった。

社会というものがどういうものか教えてくれたのがSEX PISTOLSやCLASHなどのPUNK ROCKであり、戦争が本当にいけないものだと教えてくれたのがCRASSやDISCHARGEなどのHARD CORE PUNKだった。

社会や世間や常識に対する意思表示の方法を、生き様で見せてくれたのがMASAMIさん(ex.GHOUL etc.)などの、日本の創世記のHARD CORE PUNKの先輩たちだった。

真剣にバンドをやり始めたときに「NO WAR!MAKE LOVE WITH YOU!」と唄い、一緒にライブやツアーをやっていたのがLIP CREAMだった。

自分を飾らずに、自分が思ったことを思ったまま、自由に話しをして伝えあい、認め合い、愛し合うのが当たり前だと教えてくれたのが、FOOLSであり伊藤耕さんだった。

生き方というものをPUNKとロックとライブハウスに教わった。

恐らく今の10代20代の子達は、HIP HOPが心をとらえる音楽の主流になっているのかな?

個人的にはHIP HOPに関してはほとんどわからず、ビースティーボーイズやアイスT、日本のJUZZY UPPER CUT、DEEP COUNT、BLUE HARBぐらいしか知らないので何ともいえないのだが、国会前の抗議行動のSEALDsの若者達のコールの素晴らしさは、HIP HOPのメッセージを伝える音楽としての素晴らしさの影響が大きいんじゃないかなと感じている。

デモや抗議のコールでグルーヴが出るなんて、素晴らしいにも程がある。それだけ強い思いは絶対に人に伝わる。そういうムーヴメントは止めることなど出来ないだろうし、止まることもないだろう。世の中が変わらない限り。

奇しくも腐った政治のためにロックやPUNKの本来の姿が、今、若者の間で起きている。

あの国会前の若者達のパワーがロックでありPUNKであり、その精神の本当の姿だと俺は思う。

世の中を作って行き、変えて行くのは政治家や一部の金持ちなんかじゃない。一般大衆の人間が変われば、世の中なんて勝手に変わるんだ。

PUNKなんて本当は無いほうがいい。そんな世の中を望みながら、俺はPUNKで生き続けている。

写真 左からZONE シバタ、俺、8000 太田 沼津のライブにて酒を買いに行く3人

*この記事は、当時国会前のデモでSEALDsという若者たちが、新しい形の音楽に乗せた抗議メッセージの伝え方をしていて、それが非常に素晴らしかったのでコラムの一部に使わせていただきました。

30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!