『美女と野獣』 le title original : La Belle et La Bête
『美女と野獣』は 英語だとBeauty & Beast で B&B、フランス語だと Belle (美女)とBête (獣)でやっぱり B&B なんですね :)
その野獣を演じるのがヴァンサン・カッセルで、あなたよくこの時代にいましたね、っていうか、彼が脂が乗っている時によくもこの企画が持ち上がりましたね、っていうか、それぐらいぴったりというか、彼のための企画というか。『美女と野獣』はフランスのジャン・コクトー監督など何度も映画化されているのですが、やっぱりディズニーが有名にしてしまったこのお話を、「美女と野獣」の本家、フランスでもう一度やろうっていうのは、企画が先じゃなくてヴァンサン・カッセルがいたからこの企画ができたんじゃないかなあ、とまで思ってしまうのだ(モニカ・ベルッチと去年離婚しちゃったんですね。ヨーロッパのアンジー&ブラピっていうぐらいセクシーなカップルでしたが…っていうかふたりで『アレックス』に出ちゃうってもはや凡人には理解できない)。
ヴァンサンの作品で私が好きなのは『リード・マイ・リップス』。仕事できるんだけど聾唖でとじこもりがちの女性がむしょ帰りの粗野な男(←これがもちろんヴァンサン)をアシスタントとして雇う、という、生きるの下手な二人のお話でしたが、「かなりの高確率でムショ帰りの粗野な男」ってもうヴァンサンの十八番だったりするので、その彼が「野獣」を演じて、しかも「美女と野獣」って最後にその野獣が癒されるお話ですから、なんだかやれやれというか、ヴァンサン演じる長い長いサーガが完結したような気がしたのでした。
一方、「美女=ベル」の方なんですが……。これまたキャスティングにびっくり。『アデル、ブルーは熱い色』でボーイッシュな(それも相手を捨てちゃう)レスビアンを演じてたレア・セドゥ。もちろん俳優というのはどんな訳でもやるものだし、レアはかつてフェミニンな役もたくさんやっているのですが、これだけクラシカルなお姫様をあっぱれに演じていただくとそれはそれですごい。もっともベルって野獣に向かって毅然とした態度もとらないといけないので、美しさと強さも必要なのですが。
プレスに『美女と野獣はフランス文化のDNAの一部』って書いてあるのですが、『美女と野獣』というのはおとぎ話ですからいくつかのヴァージョンがあるのですが、今回の映画化はしかも1740年に初めて文字として出版されたヴィルヌーヴ夫人のヴァージョンが原作となっており、「なぜ野獣は野獣になっちゃったのか?」までが詳しく描きこまれています。こういう「獣と人間の結婚」の話を「異類婚姻譚」というそうなのですが、それは、「獣(自然)」と「人間(人工)」のマリアージュ(=調和)がうまくいかなったときの悲劇としてそうなる。たとえば今回も、ベルの父親が獣の庭園のバラ=自然の美を折ってしまったことで野獣が激怒したことからお話が始まります。しかし、野獣が野獣になってしまった背景には、さらに彼が人間だったとき、自然とうまく調和できなかったトラウマが描かれるのです。だからますます、彼の怒りと悲しみがとけ、ラスト・シーンで姿を表すとき、ほっとしちゃうのでした。
それにしても、とにかく衣装が美しくて美しくて……。
『美女と野獣』公式サイト http://beauty-beast.gaga.ne.jp/
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