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島と余裕と夏休み。

本を書いています。 Vol.30

先週、月曜日から金曜日まで休みを取って、家族で島に行きました。

島の名前は「飛島」。山形県酒田市にある小さな離島です。東京から車で約6時間半。酒田の港からフェリーで1時間ちょっとの距離です。

実は、もともと奄美大島に行くつもりで飛行機やフェリーや宿泊先などを予約していたのですが、どうやら台風が2つも来る予報になっていたので、出発2日前にすべての予定をキャンセルし、新たに飛島の宿泊先を予約したのです。そんな直前の予約でも取れるくらい人は少なく、のんびりとした雰囲気の島でした。

島はいい。

去年は佐渡島に行きました。今回も奄美大島の予定で島気分が抜けきれず、代案として島以外考えられなくなっていました。そこで、台風の来なさそうな東北で島を検索したら、たまたま出て来たのが飛島だったのです。

東京と陸続きでなく、海を渡って隔絶された場所に着いたときの「いやー来ちゃったなぁ」という感じが、なんとも言えず旅の気分を盛り上げてくれます。そして、小さな島ほど「この島にあるもの全部、本州から船で運んだんだろうなぁ」と思うとなんだかロマンも感じられます。

飛島にはレンタカーがありません。というか、そもそもそんなものは必要ないくらいの大きさだからです。移動の基本は自転車。なんと無料で借りることができます。当然コンビニもありません。自動販売機には何回もお世話になりました。でも、そんな何もない感じがたまらなく良いのです。

宿泊するのは民宿。ホテルなんてものはありません。一泊7,000〜8,000円程度で、おいしい海の幸を山ほど食べることができます。見たこともない魚や海藻がたくさん出てくる出てくる。山形は米どころだから、当然ご飯もおいしい。それだけでも最高です。

洗濯機もタダで貸してくれます。なんせ女将さんが優しくて親切。部屋の仕切りは襖か障子で、鍵なんてかけてもあまり意味がないのでかけません。そもそもウチともう一家族ぐらいしか泊まっていないし。ウチはそもそも民宿が好きなので、親戚の家に泊まっているような、まさに「ぼくの夏休み」のような感覚でした。

日中は最高にキレイな海水浴場(ほぼプライベートビーチ)で泳いだり、海釣り公園で釣りも楽しめます。海釣り公園は立派な桟橋がある施設なのですが、何と入場料も釣竿のレンタルも無料。

たっぷり3泊もしたから(本当は4泊するつもりだったのですが、台風の影響も鑑みて3泊に変更しました。というかさすがに4泊だとやることなかったかも…)、ヒマな時間は民宿の畳の上でゴロゴロしながら本でも読んだりします(今回のお供は浅生鴨さんの「うっかり失敬」)。

旅は、予定をギチギチに詰めたりしちゃあいけません。

それだと、普段より忙しくなって、ゆっくりしに行っている意味がない。その場の雰囲気や空気に身を任せながら、予定とも言えない予定を臨機応変に過ごすのがいいように思います。今回、特にそんなことを感じました。

やはり人生、余裕が大切なのです。

3泊目の夜。現地の情報で、どうやら「夜光虫」が見れるらしいと聞き、子どもたちと夜の海に繰り出しました。夜光虫というのは海洋性のプランクトンで、暗い海に向かって棒で叩いたり石を投げてみたりして刺激を与えると、青白くぼうっと光る様子を観察することができるのです。

これがなかなか神秘的な体験で、親である我々も初めての体験でした。棒や石がなくても、手で海の表面をなぞるようにかき回すと、手の周りが光っているように見えて、魔法のような体験ができます。子どもと一緒になって、ついついはしゃいでしまったことも、今となってはいい思い出です。

こうした体験も、親が「夜だからやめなさい」とか「危ないからやめなさい」とか言ってしまっていたら、絶対に得られないものです。そういうことをつい言ってしまうのは、これもまた「余裕」がないからなのだと思うのです。子育てにおいてもやはり「余裕」を持つことが、子どもにとっても親にとっても良いに違いありません。

うっかりSNSなんかを覗いてしまうと、なんとも辛辣な言葉を投げかけている輩がワンサカいます。ノリで言っていたり、大した考えもなく書き込んでいる人も多いのでしょうが、その実は、おそらく自分なりの「正義」を持ったつもりで発言している、極めて真面目な人も多いはずです。彼らもまた、「余裕」がないのだと思うのです。

では、「余裕」を持つにはどうすれば良いか。それについては拙著の中でもいくつか触れましたが、何のことはありません。ただの心の持ちようです。

今回ひとつ得た手段としては、「あの島のことを思い出す」というのもいいかもしれません。

足を謎の虫(たぶんヌカカ)に60ヶ所以上刺されて散々な目に会ったことだけは、思い出したくもありませんが…。

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上記の「余裕」を持つことの大切さについても触れている拙著『「面白い!」のつくり方』、方々からありがたい感想をたくさん頂いています。ありがとうございます。ありがとうございます。Amazonのレビューも(お手柔らかに)お願いします。Kindleもお得ですよ。

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