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#新婚旅行でニューヨークに行った話 〜写真編〜 no.6「相席文化」

あるひとときを一緒に過ごす他人との時間を楽しむこと。相席文化は僕と妻が今回の旅で最も感銘を受けたことのひとつ。現地での食事中、僕らは隣り合わせになった席の人たちに、何度となく話しかけられた。ある時はベーカリーで、ある時はタコス屋で。

ブルックリンのタコス屋で注文をしようと周りの店員を見渡してばかりいてなかなか呼べないでいたら、隣の長髪の男性から「ここでは店員を呼ぶボタンがないから呼ばなきゃいけないんだぜ、君たちの国ではボタンで注文するんだろ」みたいな冗談を言われて、そこから2年前に渋谷に行ったこと、居酒屋が面白かったことなどを話してくれた(多分)。

老舗ジャズクラブ、ブルーノートに行った時はもっとすごくて、少し長くなるけれど、そこであったことについては書いておきたい。

その日はBill Frisellのトリオ編成で、意気込んだ僕らは予約してあるにもかかわらず開場前に並び、最前列の席に座った。隣ひとつ席を空けて、既に若い男性が一人で座っていた。徐々に客が入り、その男性の前にもう一人同じくらいの歳の男性が座った。すると彼らはすぐに挨拶を済ませ、飲み物を注文して好きなアーティストのことなんかを話し始めた。
そうしているうちに今度は僕らの隣に、向かい合わせで夫婦が座った。(座席間はどこも肩が触れるくらい詰まっている。)奥さんの方はやけにノリが軽くて、席に着くか着かないかというくらいから早々に隣の二人の男性に話しかけ、会話の輪はすぐさま4人に広がった。

この時点で只事ではないと感じていた僕らだったが、その夫婦のほとばしる社交性は隣に座る僕らにも向けられることとなった。

まず、妻がトイレに立とうとした時。映画館の席より狭いようなスペースで容易に出られないと思ったのでステージ側から無理矢理脱け出ようとしていたら「I can help you! I can help you!」と凄い勢いで心配された。さらに妻がくしゃみをしようものなら、すかさず「Bless you!」とお大事にされる始末。でも、そんなやりとりから自然と僕らにも笑顔が溢れ、気付けばさらに通路側の男性も話の輪に加わって、オンステージ前の僕らのテーブルはとても愉快な雰囲気になっていたのだった。

Blue Note New York
131 W 3rd St, New York, NY 10012, USA


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