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朝におすすめのプレイリスト 「Shibuya Morning Mixtape」

友人から「朝におすすめのプレイリスト」が欲しいとの相談を受けた。音楽を選曲するのがとても好きな僕は、二つ返事でその依頼を引き受けた。フリーランスの写真家でもある彼女から届いたリクエストは以下のようなものだった。

テーマ
朝、1日のはじまりに聴く音楽。
お家やアトリエで聴くイメージです。

好きな音楽
・Bill Evans
・Billy Collins' SwinginParis
・Chara
・キリンジ
・スピッツ
・安藤裕子
・大橋トリオ
・星野源

『この人たちの曲、全然入っていなくても大丈夫です!テイストとして好きなものを入れてみました。窓からの心地良い風を感じながら掃除したり、本読んだり、そういう時に聞ける音楽だとうれしいです』

腕のなるオーダーである。さすがはアーティスト、音楽の鳴っている空間のイメージが明確にあるので、選ぶ方としてもぴったりのものが選曲しやすい。ちょうど本人が代々木公園の近辺にアトリエを構えたタイミングだったので、渋谷の空気感を封じ込めたような選曲にした。キーワードは「ナチュラル」「アコースティック」「疾走感」で全16曲、58分です。



君がいるなら / スカート
パンチのあるルックスと、爽やかな音楽性で忘れられないシンガーソングライター。青さと疾走感、抜群のメロディーセンス。代々木の小さな部屋で目覚めた朝、飼っているうさぎに「君がいるなら」と歌いかけるところが浮かんで、このプレイリストのイメージが定まったと思う。


Tell Me If You Wanna Go Home / Keira Knightley
ニューヨークを舞台にした映画、Begin Againのサントラから。夢を追いかけるヒロインがルーフトップでゲリラライブするシーンは、自由の象徴。その時に演奏した曲。

Parachute / トクマルシューゴ
アコースティックな編成で疾走感のあるスリリングなアンサンブルが魅力の曲。真っ逆さまに落ちる土壇場のシーンのことを歌った曲なのに、だからこそか開き直って底抜けに明るい。

This Life / Vampire Weekend
ブルックリン一番の人気インディーバンド、2019年の新作から。日本でブルックリンが話題になる前、彼らの音からその空気を感じた人も多かった。曲調に反して、タイトルは「This Life」と重い。

逢引 / 折坂悠太
平成生まれのシンガーソングライターの、その名も「平成」というアルバムから。スウィングするリズムが心地よい。雰囲気はジャズではないけれど、かなりジャズ的な曲。

I Want You / Bob Dylan
「君が欲しい」というのは、ストレートで強い感情だと思う。僕らが誰かの写真を撮るとき、どこかで君が欲しいと思っているんじゃないか。そんなことをこの曲を聞きながら考えた。

なにもかもがうまくいかない日の歌 / 曽我部恵一
ボブ・ディランの後に続く曲ということで選んだ曲。ブルースというのは、ダメダメな日常を受け入れることで乗り越える音楽だと思う。その意味で、とてもブルース的。

Want You Back / Haim
三姉妹でバントを組み、活躍する彼女たちの曲からは強さをとても感じる。三人の息のあったコーラスも最高。無敵感。

Orphans / cero
音楽がただただ好きだった人達が、集まって自分達の好きな音楽を作っている。ただそれだけが最高の結果に結びついている感じ。僕と同級生でもある彼らは、渋谷の空気もかなりの量吸って吐いている。

The Drifter / Roger Nichols & The Small Circle of Friends
渋谷系という音楽が90年代初頭に誕生した時、その参照点としてバイブルのような扱いを受けていたのが彼らだった。古くて新しい名曲。

風をあつめて / はっぴいえんど
日本の古くて新しい名曲といえば、これ。松本隆と細野晴臣はその後、数々のアイドルソングを手がけることになるのだけれど、この曲からは全く想像できない。それでも、結局この曲は一度も古びなかった。

Nobody / Mac DeMarco
細野晴臣の影響も公言しているアメリカのシンガーソングライターの、ゆったりとした曲。優しい歌声は孤独を抱えているのがわかるけど、だから聴く人に寄り添って聴こえる。

致死量の自由 / 日食なつこ
最近ラジオで聴いて、耳を奪われたアーティスト。パッションがある。けっこうヘビーな事を歌っているのに、軽やかに跳ねている。はねのけた不安は、輝いて全方位に飛び散っている。

Something for Your M.I.N.D / Superorganism
イギリスで活動するクリエイティブグループ。衣食住を共にし、作曲からパフォーマンス、映像まで自分達で手がける。ボーカルのオロノは日本人。Chaiとも仲良し。

アコースティックス / 蓮沼執太
ニューヨークを活動の拠点とするサウンドクリエイター。ポップな曲調は彼の特徴の一部分ではあるけれど、J-WAVEの番組テーマ曲に歌詞を付けたサウンドは、やはりというか、どこか東京的。

I Shall Be Released / The Band
多くのアーティストに影響を与えたアメリカのバンド。ボブ・ディランが作詞作曲したこの曲は永遠の名曲だけど、歌詞の「I see my light come shining From the west unto the east」の部分を、東から西へ活動拠点を移した彼女に贈りたい。


すてきな相談をしてくれた、写真家の友人に感謝します。
プレイリストを聴いた彼女は、アルバムジャケットにぴったりの写真を送ってくれました。
このミックステープが、誰かの朝をほんの少し彩ることができたら嬉しく思います。


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