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両さん

 私はその人のことを「両さん」と呼んでいます。
 両さんは「どうして僕のことを両さんって呼ぶの?」と聞くので、私は「眉毛が繋がりそうだからです」と答えました。
 嘘です。

 両さんはそのことをすっかり気にしてしまって、眉毛をきれいに揃えて直しました。
 しかし相変わらず私は両さんのことを両さんと呼びます。
 両さんは「もう眉毛は繋がりそうにないのに、どうしてまだ僕のことを両さんって呼ぶの?」と私に訊ねます。
 私は「シティハンターの冴羽獠みたいにいつも股間をもっこりさせているからです」
 と答えました。

「それは君が悪いんじゃないか。君が魅力的でセクシーだから、もっこりしちゃうんじゃないか。君が悪いんだ。君のせいで僕は狼になってしまうんだ」
 と両さんは私に責任転嫁するのです。

「いいんですよ。両さんは両さんのままで。自分らしく生きてください」
 と私が言うと、両さんは渋々納得しました。

 嘘です。
 あなたが自分らしく生きることを私は好ましく思っていません。
 あなたはくだらない内容のない記事を量産して毎日noteに投稿しているからです。
 あなたの記事は薄めすぎたカルピスみたいに味がなくてまずいのです。
 私は濃いめのカルピスが好きなのです。
 いえ本当は恋人のカルピスが好きです。

 量産、嫌い。


おわり。

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