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大好きな月組の、大好きなたまさくについて。

ついにやってきてしまった2021年8月15日。今日は宝塚歌劇団 第24代(Wikipediaより)月組トップスター、珠城りょうさんとその相手役美園さくらさんが宝塚歌劇団を卒業される日です。

宝塚を長く応援するファンには自分にとって親のような組というか作品というか、原点のような時代があると思います。私にとって、入口こそ違えど振り返って故郷のように思い出す組は珠城りょうさん、美園さくらさん(通称:たまさく)の2人が率いるこの月組なのだと今になって実感しています。物凄く寂しくてこれを書きながら泣いてしまいそうですが、今の気持ちを書き残したいので思うがままに綴ります。


珠城りょうさん

「月曇の皇子」っていう作品が物凄く良くて、主演の珠城さんって人が本当にいいんだよ…!真面目で可愛いんだよ!!と私を宝塚の世界に連れてきてくれた友人が力説してきたのが最初。ふーん、そうなのか注目しておこうと心の片隅に置いておいたらいつの間にかトップスター就任となっていました。そのニュースを知って例の友人におめでとう!と伝えると、喜んでいるのと同じくらい複雑そうだったことを覚えています。

今となってはその複雑な気持ちがとてもよく分かる。異例の速さでのトップスター就任は、こちらの想像以上に背負うものが多く重かったことと思います。色々な言葉を私も目にしました。でも私は、月組を観に行くと両手を広げて迎えてくれるような珠城さんが大好きでした。

私の大好きなショー「BADDY」の中詰で、珠城さん演じるバッディがセンターに立ち周りを組子が囲む場面。派手な振り付けでは無かったのにバッディがとても大きく見えて物凄くかっこよかった。そして散々盛り上がったあと、バッディが銀橋にひとり残って歌う場面。たったひとりで銀橋だけでなく劇場全体の空間を埋めるような存在感を放っていたことがとても印象的で、「あっ…こういう人がトップさんになれる人なんだな」と心から実感しました。

珠城さんが退団を発表されて会見の写真がネットに出た時、珠城さんは目を真っ赤にして泣いていました。私はそれを見て真っ先に「あぁ…泣けて良かったね」と思いました。ご本人も言っていたけど、背負っていた荷物を下ろし始めたのだろうと…こちらもなんだか安心しました。

私は2019年に退団された美弥るりかさんのファンで、当時劇場に足繁く通いました。最後の出待ちで美弥さんを待っていると、珠城さんがこちらに歩いてきて言葉をかけてくれました。あの時のはにかんだ表情と、優しい言葉が今でも忘れられません。「珠城さんが退団されるときには絶対に、千秋楽の楽屋入りを直接見届けよう」と思ったのですが、このご時世それは叶わぬ夢となってしまいました。それがとても残念です。

珠城さんの手にかかれば黄泉の帝王トート閣下だって温かみを持つ。私はそんな珠城さんの魅力が大好きです。最後のお役、楠木正行は観劇すればするほど、史実を知れば知るほど珠城さんそのもののような気がします。今回のショーで放つ「宝塚の男役」らしい美しさは唯一無二だと思っています。最後までご本人が楽しんで後悔のないよう舞台に立たれることを願います。

りょうちゃん、本当にありがとう。

美園さくらさん

バウ公演の「Arkadia」を映像で観て、この子…とってもイイ!と思ったのが第一印象。こんなにブロンドが似合って、声が素敵で、歌が上手くてそして脚が綺麗(笑)。そして一歩間違えば「イヤな女」になってしまいそうなダリアという女の子をこんなにチャーミングに演じることができるなんて…それ以来美園さくらちゃんは私にとって気になる娘役さんとなりました。

そんな「気になる娘役さん」が「好きな娘役さん」になったのは、別箱公演「雨に唄えば」を観劇した時です。私は元月組トップ娘役の愛希れいかさん(ちゃぴ)が大好きで、彼女がいたから月組を追っていたのですが、彼女はその年に退団することが決まっていました。そして、次期トップ娘役候補として「雨唄」のヒロインを演じていたのが美園さんだったと思います。

雨唄の劇中、美園さん演じるキャシーが大きな脚立の上に乗り、珠城さん演じるドンが下から見上げて脚立を回しながら歌う場面。もう私、「あぁ〜〜珠城さんの隣がちゃぴじゃないのがめちゃくちゃ寂しい〜!!!でも、悔しいけどめちゃくちゃ画になる〜!!!さくらちゃん物凄く良いじゃんか〜!!!」と心の中で小さく敗北宣言をしてしまいました。

その後迎えた美園さくらちゃんのトップ娘役お披露目公演は、美弥るりかさんの退団公演でもありました。どうしても美弥さんの退団に気持ちを持っていかれがちだった私ですが、劇中で初めて涙が出たのは美園さん演じるお通がせり上がりで登場して、歌い出したところです。美園さんの温かい歌声にほっとしたんだと思います。あの公演にはだいぶ通いましたが、観ればみるほど美園さんの新しい魅力にハマっていって…いつだって楽しそうに舞台に立つ姿に、何度救われたことか。千秋楽を迎える頃には、「好きな娘役さん」から「大好きな娘役さん」になっていました。

退団が近づくにつれ、雑誌やテレビ番組など数々の媒体の情報から察するに、どうやら美園さくらさんというトップ娘役さんは、一筋縄ではいかない娘役さんだったようで。多分、私、身近に美園さんみたいな人がいたらちょっとイラっとしちゃうタイプです(笑)  でもなんだか憎めないのはなんでだろう。不思議な素敵な娘役さんです。

どんな天才も、その才能を生かすのは自分自身。そしてどんなに周りが心を尽くして声をかけても、その言葉を素直に受け取り活かせるかはやはり自分自身。それって難しいことですよね。美園さくらさんはその実力と人柄で私の心をぐいぐい引っ張ってくれました。

さくらちゃん、劇団を辞めないでいてくれて、月組トップ娘役になってくれてありがとう。月組をもっと好きにさせてくれて、ありがとう。

さあ、あと2分で開演です。間違いなく宝塚歌劇の歴史に残る名作を、大好きなたまさくの月組で観られる幸せを噛み締めます。

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