消えない炎

(火に関わる話なのでトラウマある方は読まないでください)

怖い夢を見た。

きっかけはとても小さなこと。

ほんのすこしのたばこの消し忘れから、紙に引火してめらめらと火が立つ。音もしないし熱さも感じないレベルの状態だ。その部屋には何人か人がいるが、そのことにはだれも気付かない。少々焦げくさいにおいがしはじめているが、どこかでバーベキューでもやってるだけだと思い込んでいるのだろうか。

知らぬ間に火は燃え広がり、次から次へと引火していつのまにか大きな火炎に変わっていた。そこにいたはずの皆はすでにその場を離れ、遊びに出かけたようだ。しかし、ひとりだけはなぜだかまだ部屋に残っていた。

気づいたときにはすでに遅かった。残された者は他の皆に連絡をしようと試みるが、手が止まった。なんで出るときに自分も声をかけてくれなかったのか、そもそも炎が立ち込める中どうやって外に出たのか。苛立ちが芽生え、連絡に踏み出せない。

そんなことしてる間に、火は広がっている。

どんどん燃え広がる炎を目の当たりに、身動きがとれなくなっていく。手で振り払ったり、逃げ場を探したりするも、体が弱ってあまり効果に繋がらないし、だいいちもう助からないんじゃないかと半ば諦めている。

早く消防を呼べばいいものを、誰かが呼んでくれているはずだと他力本願。できる努力もせず、ただただ呆然と燃え上がる炎を見ている。

窓の外を見ていると消防が放水を開始し、火を消し止めようとしてくれている。また、レスキュー隊が取り残された人がどこにいるかを探しにきてくれている。それでも、助かることはないだろうと思っているから、声を上げることもなく手を伸ばすこともなく、ただただ炎を見つめている。

しょうがないよ、タバコを消し忘れたの自分だもん。

でも、がんばらなくてもいつか助かるだろう。ただただそう願っているだけだった。

夢はまだ醒めない。

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