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5 大気の力学(38/38問)仮公開


1 令和5年度第2回(通算61回)問6

解法の確認

 このパターンの問題は、直方体の各面に流出入する空気量という形式が多いのですが、今回は円柱です。しかし、やることは変わりません

 覚えておくことは簡単で、「単位時間当たりの空気の流出入の合計は0になる」ということです。使った分だけ給料が振り込まれる、そんな世界があればいいのになあ。

 それでは流入量を求めてみましょう。

 円柱の側面に対し、30°の角度で20m/sの速度で空気が入り込んでいる(流入を正の速度とします)ので、

$$
2π(100\times10^3)\times10^3\times sin{30°}\times 20=2π\times10^9
$$

 同様に円柱の上面の流入量を$${v}$$とすると、

$$
π(100\times10^3)^2\times v=πv\times10^{10}
$$

 以上の和が等しいので、

$$
πv\times10^{10}+2π\times10^9=0
$$

 これを解いて、

$$
v=-2\times10^{-1}=-20cm/s
$$

 負の値なので、上昇流は20cm/sとなるので、「③」が正解です。


2 令和5年度第2回(通算61回)問7

解法の確認

 地衡風とは、気圧傾度力とコリオリ力のつり合いによって生じる風です。風速を求める場合は、これらの力のつり合いの式を利用すれば良いのです。

 気圧傾度力$${P_n}$$は以下の様に表されます(必ず覚える)。

$$
P_n=-\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}
$$

 $${Δn}$$は二点間の距離で、$${Δp}$$は気圧差です。符号は気にしなくても問題ありません。私は省略して使います。

 コリオリ力$${C_0}$$は以下の様に表されます(必ず覚える)。

$$
C_0=2ΩVsin{θ}
$$

 $${Ω}$$は地球の自転角速度、$${V}$$は風速、$${θ}$$は緯度です。

 地衡風は、これらの力が釣り合った状態の風で、以下のように表現されます。

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}=2ΩVsin{θ}
$$

 これを速度$${V}$$について解くと、

$$
V=\dfrac{1}{2Ωρsin{θ}}\dfrac{Δp}{Δn}
$$

 先ほど求めた式に代入しましょう。

$$
V=\dfrac{1}{2Ωρsin{30°}}\dfrac{2\times10^2}{100\times10^3}=\dfrac{1}{2Ωρ}4\times10^{-3}・・・(a)
$$

$$
V=\dfrac{1}{2Ωρsin{30°}}\dfrac{3\times10^2}{100\times10^3}=\dfrac{1}{2Ωρ}6\times10^{-3}・・・(b)
$$

$$
V=\dfrac{1}{2Ωρsin{45°}}\dfrac{2.9\times10^2}{100\times10^3}=\dfrac{1}{2Ωρ}2.9\times10^{-3}・・・(c)
$$

$$
V=\dfrac{1}{2Ωρsin{45°}}\dfrac{3\times10^2}{100\times10^3}=\dfrac{1}{2Ωρ}4.3\times10^{-3}・・・(d)
$$

 よって、(b)>(d)>(a)>(c)となるので「②」が正解です。


3 令和5年度第1回(通算60回)問6

知識事項の確認

 難問です。私の理解が正しいのか、正直自信がありません。

 最初に思い出していただきたいのは、気圧とはその地点より上にある空気の重さである、ということです。そうすると、もし鉛直方向に気圧の変化が大きい、つまり少し高度が上がっただけで気圧が大幅に低下したとしたら、それは何を意味しているのでしょうか。

 答えは、空気の密度が大きいということです。ほんの少し高度が上がっただけで、その地点より上にある空気の重さが大幅に減ったということは、その少し高度を上げた途中に重たい空気、つまり密度の高い空気があったということになります。

(a) の検討

 東側の方が鉛直方向に等圧線が込んでいるため、空気の密度が大きいことが分かります。よって、「正」となります。

(b) の検討

 気圧の谷の東側は南西風なので、北向きに密度の低い空気が輸送されていることになります。よって、「正」となります。

(c) の検討

 東側の方が密度が大きいということは、温度が低いということです。つまり、西側は温度が高いということになります。よって、「誤」となります。

(d) の検討

 気圧の谷の西側は北西風、東側は南西風です。つまり、西側は暖かい空気が南へ、東側は冷たい空気が北へ輸送されています。全体としてみると、南側へ熱輸送が生じています。よって、「誤」となります。

 以上より「②」が正解です。


4 令和5年度第1回(通算60回)問7

知識事項の確認

 傾度風は、気圧傾度力とコリオリ力、遠心力が釣り合った状態の風です。ただし、低気圧と高気圧で違いがあることに注意してください。

低気圧:気圧傾度力=コリオリ力+遠心力
高気圧:コリオリ力=気圧傾度力+遠心力

 詳細はお手元の参考書を参照してください。

(a) の検討

 低気圧の場合、

低気圧:気圧傾度力=コリオリ力+遠心力

となるので、「正」となります。

(b) の検討

 気圧差ときたら、その二点間の空気の密度、つまり温度で判断します。

 設問では地点Rの方が低温ですので、空気密度が高く気圧差も大きくなります。よって、「正」となります。

(c) の検討

 (b)より、Rの方が$${ΔP_R}$$が大きいので、中心との気圧差が上層ほど少なくなります。よって、「正」となります。

※イメージとしては以下の通りです。
O:980hPa(高度1000m)→950hPa(高度2000m) 30hPa減少
R:1000hPa(高度1000m)→960hPa(高度2000m) 40hPa減少
OとRの気圧差は、20hPaから10hPaに減少

(d) の検討

 上層ほど水平方向の気圧傾度が小さくなるので、風速も弱まります。よって、「正」となります。

 以上より「①」が正解です。


5 令和4年度第2回(通算59回)問6

解法の確認

 南北いずれの側が高気圧(低気圧)なのかが明示されていれば、一気に難易度が下がることに気付いてください。本文中では、相対渦度が正であるとありますが、これが手がかりです。

 相対渦度は左回りが正と定義されています。設問の図では、北側が等圧線密度が大きいので、ここで東西方向に強い風が吹いていることが分かります。そして、渦度が正であることから、図の北側に強い東の風が吹いている筈です。そうすると、北が高気圧で南が低気圧でなければなりません。

 ここまで来れば後は簡単です。地表付近では摩擦力により、等圧線に沿って風は吹かずに、低気圧側に30°ほど内側を向きます(台風が地上付近で収束する原理)ので、それに直交するコリオリ力を考えれば良いのです。よって、「①」が正解となります。

※何のことさっぱり分からない方は、参考書をきちんと読み直してください。まだ過去問に取り組める段階ではありません


6 令和4年度第2回(通算59回)問7

解法の確認

 絶対渦度保存則がテーマの定番の計算問題です。渦度の計算方法はお手元の参考書できちんと確認して頂くとして、念のために確認すると左回りが正となります。

(a) の検討

 空気塊の相対渦度を計算すると、

$$
\dfrac{0.5+0.5+0.5+0.5}{10\times10^3}=2.0\times10^{-4}/s
$$

(b) の検討

 先に北極点における空気塊の絶対渦度を計算します。絶対渦度の定義は、

 絶対渦度=惑星渦度+相対渦度

となります。よって、

$$
絶対渦度=1.46\times10^{-4}\times sin{90°}+2.0\times10^{-4}=3.46\times10^{-4}/s
$$

となります。そしてこの量が保存するのです。よって、

$$
3.46\times10^{-4}=(c)+1.46\times10^{-4}\times sin{30°}=(c)+0.73\times10^{-4}
$$

 これを解いて、

$$
(c)=2.73\times10^{-4}
$$

となります。

(c) の検討

 $${2.0\times10^{-4}/s}$$から$${2.73\times10^{-4}/s}$$に変化するので、「強まる」となります。

 以上より「④」が正解です。


7 令和4年度第1回(通算58回)問6

解法の確認

 温度風と寒気/暖気移流に関する問題です。これらの知識は、実技試験でも高頻度で問われることが多い内容なので、本問題は学習価値の高いと言えます。

 暖気移流の場では、下層から上層に至るにつれ風向が時計回りに変化し、寒気移流の場では反時計回りに変化します。

 また、既に何度か説明している通り、温度風は、北半球では高温域を右に見て吹き(南半球では左)ます。また、温度風とは上層と下層のそれぞれのベクトル差(上層の風ベクトルー下層の風ベクトル)として定義されています。あくまでも相対的な風ということに注意してください。

ア「寒気移流の場」の検討

 寒気移流の場なので、北半球では下層から上層にかけて風向が反時計回りに変化し、南半球では逆になります。これを満たすのは、(b)(c)(d)となります。

イ「平均気温が西側が高い」の検討

 本設問の図のように、各大気圧での風がベクトルで表現されている場合、温度風(のベクトル)は下層の風の矢印の先端から、上層の風の矢印の先端へ矢印を引けば求められます。そしてこの矢印の右手(南半球では左)が高温域となります。

 以上より、西側が高温域となるのは(a)(d)となります。

ウ「水平温度勾配が最も大きい」の検討

 温度風の大きさは温度勾配に比例します。厳密に説明するのは少々煩雑ですが、温度勾配がなければ気圧傾度も生じないということを考えれば、定性的には理解できるかと思います。

 以上より、温度勾配が最大となるのは(b)(d)となります。

 ア~ウより、「⑤」が正解となります。


8 令和4年度第1回(通算58回)問7

解法の確認

 大気の収束に伴う鉛直流と、渦度を求めさせる問題です。計算問題ですが中学数学で解けるので、義務教育を終えた方は必ず解けるようにしてください。

「底面の鉛直流」の検討

 直方体に入出流する空気の合計は0となります。そこで、流入する空気量を正として、底面の鉛直流速を$${x[m/s]}$$として式を立てると、

$$
100\times1+10\times1+10\times1-20\times1-20\times1+100\times x=0
$$

 これを解いて、

$$
x=-0.8 [m/s]
$$

 つまり、「下向き0.8m/s」となります。

「渦度の鉛直成分」の検討

 渦度は反時計回りに正ということに注意すると、

$$
\dfrac{2.0-4.0-2.0-1.0}{10\times10^3}=-5.0\times10^{-4}/s
$$

となります。

 以上より「⑤」が正解です。


9 令和3年度第2回(通算57回)問7

解法の確認

 大気の収束に伴う鉛直流に関する問題です。繰り返しになりますが、「直方体に入出流する空気の合計は0となる」ことをしっかりと覚えてください。

 流入する空気量を正として、上面の鉛直流速を$${x[m/s]}$$として式を立てると、

$$
0.5\times 10-1\times2-1\times2-0.5\times4+2\times x=0
$$

 これを解いて、

$$
x=0.5[m/s]
$$

 よって、「②」が正解です。


10 令和3年度第2回(通算57回)問8

解法の確認

 高校物理でお世話になる受験テクニック?である次元解析がテーマです。異色の問題ですし、恐らく二度と出題されないのでは思っています。

 気圧の物理量は$${力/面積}$$なので、

$$
MLT^{-2}/L^2=M^{1}L^{-1}T^{-2}
$$

となります。

 コリオリパラメータについては、コリオリ力が以下のように定義されることに注目します。

$$
C_0=2ΩVsin{θ}
$$

 これをコリオリパラメータを除き、MLTの形式で置き換えると、

$$
LT^{-2}=ΩLT^{-1}
$$

となるので、

$$
Ω=T^{-1}=M^{0}L^{0}T^{-1}
$$

であることが分かります。

 よって「④」が正解です。


11 令和3年度第1回(通算56回)問6

解法の確認

 地衡風について問われたら、気圧傾度力とコリオリ力のつり合いを考えるのが自然な発想です(と、言えるようになってください)。

 つり合いの式は以下の通りです。(「令和5年度第2回(通算61回)問7」を参考)

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}=2ΩVsin{θ}
$$

 これを速度$${V}$$について解くと、

$$
V=\dfrac{1}{2Ωρsin{θ}}\dfrac{Δp}{Δn}
$$

となります。

 さて、2つの地点ではともに風速が等しく東風となっています。つまり、南が高気圧で北が低気圧となり、設問の通り南北に気圧傾度が存在することが分かります。

 それでは2つの地点について式を立てましょう。

$$
V_{30}=\dfrac{1}{2Ωρsin{30°}}\dfrac{4\times10^2}{ΔY_{30}}=100[m/s]
$$

$$
V_{45}=\dfrac{1}{2Ωρsin{45°}}\dfrac{4\times10^2}{ΔY_{45}}=100[m/s]
$$

 この2つの式が等しいことから、$${ΔY_{30}/ΔY_{45}}$$を求めると、

$$
\dfrac{1}{2Ωρsin{30°}}\dfrac{4\times10^2}{ΔY_{30}}=\dfrac{1}{2Ωρsin{45°}}\dfrac{4\times10^2}{ΔY_{45}}
$$

$$
\dfrac{1}{sin{30°}}\dfrac{1}{ΔY_{30}}=\dfrac{1}{sin{45°}}\dfrac{1}{ΔY_{45}}
$$

$$
\dfrac{ΔY_{30}}{ΔY_{45}}=\dfrac{sin{45°}}{sin{30°}}=\dfrac{2}{1.4}=1.4
$$

 よって「④」が正解となります。


12 令和3年度第1回(通算56回)問7

解法の確認

 温度風について問われた問題です。

 本文中、「高度が高くなるにつれて西風成分が大きくなる」とは、単純に温度風が西風であるということです(温度風とは、上層と下層における水平風のベクトル差です)。

 さて、温度風の風向は、北半球では高温域を右に見て吹き、南半球では左に高音域を見て吹きます。これに注意して、各点の正負を考えます。

アの検討

 南半球であり、高温域は北(右)ですので、問題用紙の裏から表側へ、つまり西風の温度風が吹きます。よって「正」となります。

イの検討

 南半球であり、高温域は南(左)ですので、問題用紙の表から裏向き、つまり東風の温度風が吹きます。よって「負」となります。

ウの検討

 南半球であり、高温域は北(右)ですので、「ア」と同じとなります。よって「正」となります。

エの検討

 北半球であり、高温域は南(左)ですので、問題用紙の裏から表側へ、つまり西風の温度風が吹きます。よって「正」となります。

以上より「①」が正解となります。


13 令和2年度第2回(通算55回)問6

知識事項の確認

 空気塊に対して角運動量を与え、これが保存することを利用すると、空気塊が北上とともに東西方向の速度を持つ、ということが説明できます。面白い問題なので、しっかりと内容を理解してください。

 角運動量の定義は、

$$
角運動量=半径\times運動量
$$

となります。

(a)の検討

 緯度$${φ}$$における半径は、地球の半径Rから$${Rcos{φ}}$$となります。

 同様に、緯度$${φ}$$における自転速度は$${ΩRcos{φ}}$$であると分かります。これは、角速度$${Ω}$$と回転半径$${Rcos{φ}}$$の積が速度になるということを利用しています(分からない方は高校物理の力学の教科書を復習してください)。

 更に、ある地点の空気塊は、地表との相対速度$${U}$$を有しています。これは、先ほどの自転速度と加算すると、空気塊の速度$${ΩRcos{φ}+U}$$が求まります。これに空気塊の質量$${m}$$をかけると運動量ですね。

 以上より、角運動量$${L}$$は

$$
L=mRcos{φ}(ΩRcos{φ}+U)
$$

となります。

(a)の検討

 (a)の結果を用いて計算しましょう。

 まず、赤道上で地表に対し静止した空気塊の角運動量$${L_0}$$を計算します。

$$
L_0=mRcos{0°}(470+0)=470mR
$$

※$${ΩRcos{0°}=470 [m/s]}$$は角速度と半径の積

 同様に、東西風速を$${v}$$とした北緯30°の角運動量は、

$$
L_{30}=mRcos{30°}(470Rcos{30°}+v)
$$

 これが保存するので、

$$
mRcos{30°}(470Rcos{30°}+v)=470mR
$$

となり、これを$${v}$$について解くと、

$$
v=470(\dfrac{1}{cos{30°}}-cos{30°})=470(1.15-0.87)=131.6\risingdotseq130
$$

 以上より「⑤」が正解となります。


14 令和2年度第2回(通算55回)問7

知識事項の確認

 地衡風及び温度風の関係と寒気及び暖気移流の問題です。

(a) の検討

 それぞれの地点における850hPaの風のベクトル大きさを比較すると、最大となるのは地点Aとなります。地衡風の風速は水平気圧傾度に比例します。よって、「正」となります。

(b) の検討

 風向は上層にかけて反時計回りの変化をしています。つまり、寒気移流場です。よって、「誤」となります。

(c) の検討

 風向は上層にかけて反時計回りの変化(設問より、風向の変化は最大でも180°です)をしています。つまり、寒気移流場です。よって、「正」となります。

(d) の検討

 水平方向の温度傾度は、温度風の大きさに比例します(「令和4年度第1回(通算58回)問6」を参照してください)。そうすると、温度風が最大となるのは地点Cとなります。よって、「誤」となります。

 以上より「③」が正解となります。


15 令和2年度第1回(通算54回)問4

解法の確認

 温度風の関係の問題です。そろそろ温度風がどういう概念のものなのかいやでも分かってきたのではないかと思います。本問は基本的な問題なので、もしも全く分からないのであれば、参考書で温度風についてもう一度確認してください。

 まず、点Aにおける温度風を考えますと、850hPaでの矢印の先端から500hPaの矢印の先までを結んだ矢印になると思います。

 設問によると、点Bでは点Aの温度風と同じ向きの大きさ(長さ)が半分の温度風が見られる、となっています。そのような温度風(矢印)となるためには、「②」が500hPaの風になると良いことが分かるはずです。


16 令和2年度第1回(通算54回)問7

解法の確認

 風の収束についての問題です。見かけほど難しくはないので、必ず解けるようになりましょう。

 円柱の上面から流入する空気の量は、側面から周囲に発散する風の空気量と等しくなります。

 側面の風の速さを$${v}$$とすると、

$$
20\timesπ500^2=v\times2π\times1000\times50
$$

 これを解くと、

$$
v=50 [m/s]
$$

となります。

 以上より「③」が正解となります。


17 令和1年度第2回(通算53回)問7

知識事項の確認

 地衡風及びコリオリ力についての設問です。サービス問題なので、これが解けない方は、もう一度参考書の通読をしましょう。

 地衡風は気圧傾度力とコリオリ力の釣り合いで表現され、コリオリ力は緯度によって異なり、風速に比例します(下式参照)。これらの釣り合いに関しては、お手元の参考書の図をもとにしっかり理解してきてください。

$$
C_0=2ΩVsin{θ}
$$

(a) の検討

 地表付近で摩擦による影響を受けない限り、地衡風は気圧傾度力とコリオリ力の釣り合いにより等圧線と平行に吹きます。よって、「正」となります。

(b) の検討

 西から東に風が吹いているということは、北半球では低気圧が北側になります。コリオリ力は、気圧傾度力と反対向きに働くので、北から南に向かって働きます。よって、「誤」となります。

(c) の検討

 「令和5年度第2回(通算61回)問7」で示した通り、気圧傾度力とコリオリ力の釣り合いから風速$${V}$$について解くと、

$$
V=\dfrac{1}{2Ωρsin{θ}}\dfrac{Δp}{Δn}
$$

 となります。ここに緯度$${θ}$$を与えて考えると、緯度が低い方が風速が大きくなることが分かります。よって、「誤」となります。

 以上より「③」が正解となります。


18 令和1年度第2回(通算53回)問9

解法の確認

 地点Aは1時間でどれくらい気温が下がるか、という問題です。

 地点Bの気温18℃の空気塊は地点Cに秒速5m、つまり時速18kmで移動しています。そして地点Aは19℃となっています。

 地点Bの空気塊が地点Aに達するのは$${20/18\risingdotseq1}$$時間(強)後です。つまり、約1時間で地点Aは19℃から18℃に変化するので、「④」が正解となります。


19 令和元年度第1回(通算52回)問6

知識事項の確認

 地衡風と傾度風に関する問題です。両者の区別をしっかりできるようにしてください。そして一番大事なことですが、式で理解してください。

 まずは地衡風の式です。

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}=2ΩVsin{θ}
$$

 左辺が気圧傾度力、右辺がコリオリ力となっています。そして両辺の等圧線を挟んで逆方向になっており、地衡風は等圧線と平行に吹きます。

 次に傾度風の式ですが、これは低気圧と高気圧の場合で2パターンあります。

 低気圧の場合は、

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}=2ΩVsin{θ}+\dfrac{V^2}{r}
$$

 右辺の第2項は遠心力で、分母の$${r}$$は低気圧性循環としての傾度風の半径です。

 高気圧の場合は、

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}+\dfrac{V^2}{r}=2ΩVsin{θ}
$$

のように遠心力が逆の位置になります。これは、低気圧と高気圧で回転方向が逆となっているからです。

 以上が地衡風と傾度風です。本説明だけではなく、お手元の参考書でも改めて理解を確認してください。

(a) の検討

 地表付近で摩擦による影響を受けない限り、地衡風は気圧傾度力とコリオリ力の釣り合いにより等圧線と平行に吹きます。よって、「正」となります。

(b) の検討

 数式で比較しましょう。まず地衡風ですが、

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}=2ΩVsin{θ}
$$

となり、低気圧での傾度風は、

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}=2ΩVsin{θ}+\dfrac{V^2}{r}
$$

となります。

 もちろん、これらの式について速度を解くのも良いのですが、冷静に考えれば、左辺の気圧傾度力は一定ですので、遠心力の大きさだけコリオリ力が小さくなります。そして風速はコリオリ力に比例するため、小さくなります。以上より「誤」となります。

(c) の検討

 再度式で検討すると、

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}=2ΩVsin{θ}+\dfrac{V^2}{r}
$$

中心から離れるほど右辺の半径$${r}$$が大きくなり、遠心力は小さくなります。すると、(b)と同じ理屈で、左辺の気圧傾度力は一定なので、遠心力が小さくなればなるほどコリオリ力は大きくなり、風速は比例して大きくなります。よって、「誤」となります。

 以上より「③」が正解となります。


20 令和元年度第1回(通算52回)問7

知識事項の確認

 等圧線ではなく等高度線をもとに地衡風平衡を考える問題です。

 等高度線は、等圧線と同じように扱うことができます。ですので、普段通り考えれば良いのです。

(a) の検討

 南側ほど等高度線密度が高いため、気圧傾度は大きくなっています。つまり、風速も大きいと言えます。よって「正」となります。

(b) の検討

 850hPaでは西風が吹いていることが分かります。そしてより上層の500hPaでは、設問より南風となっています。そうすると、温度風は概ね南東風であることが分かります。そうすると、温暖域を右に見て温度風は吹くため、東側(北東)が温暖域になると分かります。よって、「正」となります。

(c) の検討

 (b)の議論の通り、温度風は概ね南東風ですので、北側(北東)の方が温暖域となります。よって、「正」となります。

(d) の検討

 繰り返しになりますが、850hPaでは西風が吹いていることが分かります。そしてより上層の500hPaでは、設問より南風となっています。つまり、上昇するにつれて風向が反時計回りに変化しているので、寒気移流の場となります。よって、「誤」となります。

 以上より「④」が正解となります。


21 平成30年度第2回(通算51回)問6

解法の確認

 大気の収束に関する問題です。これは、ある範囲に流入する空気量と流出する空気量の収支を求める問題です。例の「収入と支出」ですね。

Aの検討

 収支を計算します。流入を正とします。

$$
100\times2+200\times3-200\times2-100\times3=100
$$

B の検討

$$
100\times2-200\times3-200\times2+100\times3=-500
$$

C の検討

$$
-100\times2-200\times3+200\times2+100\times3=-100
$$

D の検討

$$
-100\times2+200\times3+200\times2-100\times3=500
$$

 流入する空気量が最大となるのは「D」となります。

 以上より「④」が正解となります。


22 平成30年度第2回(通算51回)問7

解法の確認

 相対渦度とは、端的に言えばベクトル解析の$${rot}$$に過ぎないのですが、今回はそういう背景をご存知でない方にも分かるように説明したいと思います。厳密な説明ではないのでご了承ください。

 相対渦度を考えるときは、その地点に歯が薄くて長い歯車(「+」←こういうのです)を置いてみれば良いのです。そうすると、その地点の空気の流れが板歯に当たって、回転する力が生じます。

 例えば、低気圧の中心ですと、歯に当たる空気は全て反時計回りなので、回転する力は正の向き(左回転=正)だとすぐに分かりますが、空気の流れ方によっては異なる回転方向への合力となる場合があります。そういう場合は、合計した時の回転方向を考えれば良いのです。

Aの検討

 渦上に左回転に風が吹いています。等圧線の感覚が等しいことから、風速は一定となっています。左右の歯に加わる力は、大きさは等しく向きは正反対なので釣り合います。しかし、上下の歯に加わる力はいずれも左回転ですので、全体としては左回転が勝っています。

 以上より、左向きに回転するので「正」となります。

B の検討

 全体として西風となっていますが、等圧線の間隔が狭い北側の方が風が強くなっています。つまり、右回転が卓越します。

 以上より、右向きに回転するので「負」となります。

C の検討

 全体として西風となっていますが、等圧線の間隔が狭い南側の方が風が強くなっています。つまり、左回転が卓越します。

 以上より、左向きに回転するので「正」となります。

 以上より「②」が正解となります。


23 平成30年度第1回(通算50回)問6

知識事項の確認

 地衡風に関する問題ですが、地表付近で生じる摩擦力も加味して考える問題です。地表付近では、風は等圧線と平行に吹かずに、30°ほど低気圧側に向きます。これは摩擦力が原因なのですが、これの理由について考える良い題材だと言えます。

(a) の検討

 空気塊に摩擦力が働くのは地表付近です。よって「正」となります。

(b) の検討

 気圧傾度力とコリオリ力に加わって、新たに摩擦力が働くことで釣り合いが生じます。結果、地衡風は高気圧側から低気圧側へ傾いて吹くことになります。よって、「正」となります。

(c) の検討

 台風は低気圧性の循環です。一定の気圧傾度力に対し、コリオリ力と遠心力の和が釣り合います。つまり、遠心力の分だけコリオリ力は小さくなり、これに比例する風速も小さくなります。よって、「正」となります。

 以上より「①」が正解となります。


24 平成30年度第1回(通算50回)問7

知識事項の確認

 地衡風による温度移流に関する説明です。見た目ほど難しくはありません。

(a) の検討

 温度移流が生じるために必要な条件には、当然ですが温度傾度があります。温度の差がなければ、どれだけ空気が移動しても、温度移流は生じません。よって「水平温度傾度」となります。

(b) の検討

 点Pで暖気移流となるためには、北側の方が気温が低いので、南から暖かい風が北へ吹く必要があります。1000hPaと1004hPaの等圧線から、南風が吹くためには北半球である必要があります。よって、「北半球」となります。

(c) の検討

 5m/sつまり18km/hの地衡風により、等温線に対し垂直に暖気が運ばれています。そして水平気圧傾度が0.3℃/10kmなので、0.54℃/18kmつまり0.54℃/hとなります。よって、「0.54」となります。

 以上より「④」が正解となります。


25 平成29年度第2回(通算49回)問6

知識事項の確認

 ロスビー数という気象予報士試験ではあまり見慣れない物理量に関する出題です。原則に反しますが、ロスビー数が必要性の薄い知識であることと出題者の意図を鑑み、消去法を用いて解答します。

※今後、解説の見直しや加筆によって変更するかも知れません

 本問では、ロスビー風についての知識がなくても解けるようになっていますので、設問の指示通り機械的に解答しましょう。

(a) の検討

 ロスビー数というのは、空気塊の加速度$${U^2/L}$$をコリオリ力$${f_0U}$$で割れば良いそうです。よって「$${U/f_0L}$$」が正解となります。

(b) の検討

 (a)の時点で、(c)の解答は地衡風平衡に絞り込まれています。ということは、対象となる空気塊は力の釣り合いにより加減速せず一定の風速のはずです。つまり、ロスビー数の分子となる空気塊の加速度はコリオリ力よりも無視できる程度に小さくある必要があります。よって、「小さい」となります。

(c) の検討

 消去法によって、「地衡風平衡」となります。

 以上より「⑤」が正解となります。


26 平成29年度第2回(通算49回)問7

解法の確認

 大気の収束に関する問題です。基本事項なので解けるようになりましょう。

 重要なのは、水平方向に収束した空気は、上昇流または下降流、あるいはその両方として、流入しただけ流出しなければなりません。もし収束が地上付近で生じた場合は、下降流としては逃げ場がないため、上昇流として流出します。これが、台風の中心付近、壁雲で上昇流が発生するメカニズムです。

 さて、今ある高度で風が水平方向に収束したのであれば、その上層で上昇流、またその下層で下降流という形で収束・流入した空気の分だけ流出しなければなりません。

 そのような条件を満たしているのは「④」となります。これが正解です。


27 平成29年度第1回(通算48回)問7

解法の確認

 温度風と暖気・寒気移流に関する問題です。そろそろ初見でも解けるようになったと思います。

 暖気移流の場合、北半球では上昇するにつれて風向が時計回りに変化し、南半球では上昇するにつれて風向が反時計回りに変化します。

 よって、「③」が正解となります。


28 平成28年度第2回(通算47回)問4

知識事項の確認

 ボイス・バロットの法則という気象予報士試験ではあまり見慣れない法則に関する出題です。設問を読めば問題なく解答できるのでご安心ください。

(a) の検討

 地衡風を思い出しましょう。風向と同じ向きに向くと、低気圧側を左に見て等圧線と平行向きになることが分かります。つまり、「背面」が正答です。

(b) の検討

 地衡風は気圧傾度力とコリオリ力の釣り合いです。つまり、北半球と南半球ではコリオリ力の向きが違うので、傾度風の向きと地衡風の向きも逆になります。よって、「では逆」が正答です。

(c) の検討

 既に説明した通り、これは「地衡風」の性質に関する説明となっています。

 以上より「③」が正解となります。


29 平成28年度第2回(通算47回)問7

知識事項の確認

 傾度風の性質に関する問題です。余計なことを考えずに、公式を思い出してみましょう。

 高気圧性循環の場合、傾度風は以下の様に表現されます。

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}+\dfrac{V^2}{r}=2ΩVsin{θ}
$$

 以降はこれをもとに判断します。

(a) の検討

 遠心力は半径に反比例します。両地点では風速が等しく半径が異なるのでしょうか、遠心力は異なります。よって、「誤」となります。

 少し先回りですが、きちんと数式で表現すると、両地点はそれぞれ以下の様になると考えられそうです。

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}+\dfrac{V^2}{R}=2ΩVsin{θ}
$$

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}+\dfrac{V^2}{2R}=2ΩVsin{θ}
$$

しかし、この2つの式が同時に成り立つことはありえないはずです。そうすると、何かがおかしいことになります。

 冷静に考えると、等圧線間隔が等しいのであって、気圧傾度力は一定だとは言われていません。そうなると、左辺の空気密度$${ρ}$$が両地点で異なることになります。つまり、正しくは以下の様になります。

$$
\dfrac{1}{ρ_A}\dfrac{Δp}{Δn}+\dfrac{V^2}{R}=2ΩVsin{θ}
$$

$$
\dfrac{1}{ρ_B}\dfrac{Δp}{Δn}+\dfrac{V^2}{2R}=2ΩVsin{θ}
$$

 そして、$${ρ_A>ρ_B}$$となり、高気圧の中心付近の方が空気密度が高くなります。実際、高気圧の中心付近は空気密度が高く、下降流となっています。

(b) の検討 

 (a)で先に説明しましたが、遠心力が両地点で異なるために、気圧傾度力も異なります。そして、中心に近い方が遠心力が大きいので、その分気圧傾度力は小さくなります。よって、「誤」が正答です。

(c) の検討

 コリオリ力は風速に比例します。よって、「正」となります。

 以上より「④」が正解となります。


30 平成28年度第1回(通算46回)問6

知識事項の確認

 図の存在により一見すると難しいように感じられますが、傾度風と温度風、大気圧について丁寧に考えれば解けます。

(a) の検討

 まず、高度$${Z_0}$$では地衡風が西から風に吹いていることに注目します。地衡風の風向は等圧線と平行なので、高度$${Z_0}$$では東西の気圧は等しく、北が低気圧側で南が高気圧側になります。

 ここまでの議論をまとめると、高度$${Z_0}$$における気圧は、

$$
領域Ⅰ=領域Ⅱ<領域Ⅲ=領域Ⅳ
$$

となっています。

 さて、$${Z_0}$$と$${Z_1}$$の間の平均気温は、東ほど高くなっています。ということは、空気密度は東の方が小さいのです。そして、大気圧とはその地点より上層にある空気の重さです。同じ高度のある2点間で気圧が等しい場合、空気の密度が大きい方が、高度の上昇に伴う気圧の低下が大きいのです。つまり、$${Z_0}$$と$${Z_1}$$の間の平均気温の関係から、東側の領域の方が$${Z_1}$$における気圧が高くなります。以上をまとめると、

$$
領域Ⅱ<領域Ⅰ<領域Ⅲ<領域Ⅳ
$$

または、

$$
領域Ⅱ<領域Ⅲ<領域Ⅰ<領域Ⅳ
$$

となります(ⅠとⅢの大小関係は不明)。

 いずれの場合でも、領域Ⅱは領域Ⅳ「より低い」ことになります。

(b)及び(c) の検討

 高度$${Z_1}$$での温度風は南から北に吹いています。そして、温度風の定義から、高度$${Z_0}$$における傾度風のベクトルに高度$${Z_1}$$での温度風のベクトルを足したものが、高度$${Z_1}$$での風のベクトルになります。よって「南から北」が正解となります。

 更に、高度$${Z_0}$$における傾度風のベクトルと高度$${Z_1}$$での温度風のベクトルの向きは直交しているので、ベクトル和はもとのいずれのベクトルよりも絶対値が大きくなります。よって「Uより大きい」が正解となります。

 以上より「④」が正解となります。


31 平成28年度第1回(通算46回)問7

知識事項の確認

 南半球における地衡風についての問題です。これまで解いてきた方なら、解けない訳がありません。

 ☆印の地点では、気圧傾度力とコリオリ力のみに注目すれば西風です。これに、地表付近の摩擦力が加わると、低気圧の中心方向に向きがずれます。よって「③」が正解です。


32 平成27年度第2回(通算45回)問6

知識事項の確認

 渦度についての直感的な理解は、歯車の回転でした。詳細は「平成30年度第2回(通算51回)問7」で再度確認してください。

 渦度の鉛直成分が最大となる中央付近が、歯車が最も強く反時計回りに回転する場所です。①~⑤のそれぞれの中央部分に歯車を置いてみると、「③」が条件に合うことが分かります。歯車の上部で強い東風が、下部では同じく強い西風が分布しています。

※練習のために他の選択肢の渦度を考えてみると、①、②、⑤は回転しないので渦度は0です。④は時計回りなので負の渦度になります


33 平成27年度第2回(通算45回)問7

解法の確認

 大気の収束に関する問題です。今更ですが、質量保存則とか連続方程式と呼ばれている原理が背景にあります。本解説では流入量と流出量が等しい、と説明しています。

 今回は、流出入する空気の密度が場所によって異なるので、それについても考慮する必要があります。

(a) の検討

 側面から流入する空気量$${M_m}$$は、

$$
M_m=4\timesρVL^2=4ρVL^2
$$

となります。

(b) の検討

 上面から流出する空気量$${M_u}$$は、空気密度が$${4/5ρ}$$になることに気を付けると、

$$
M_u=\dfrac{4}{5}ρV_uL^2
$$

となり、$${M_m=M_u}$$なので、

$$
4ρVL^2=\dfrac{4}{5}ρV_uL^2
$$

 これを$${V_u}$$について解いて、

$$
V_u=5V
$$

となります。

 以上より「④」が正解となります。


34 平成27年度第1回(通算44回)問6

解法の確認

 温度風に関する基本的な問題です。いい加減飽きてきましたが、無心で解きましょう。

 北半球において反時計回りの循環であり、上層ほど風速が小さくなっています。つまり、温度風は時計回りであるということが分かります。理由は、温度風とは下層と上層の風の差によって定義されるからです。

 さて、北半球では温度風は高温域を右手に見て吹きます。つまり、中心が高温域であれば、設問の様な温度風の分布を説明できます。

 以上より「②」が正解となります。


35 平成27年度第1回(通算44回)問7

解法の確認

 渦度の垂直成分に関する計算問題です。四の五の言わず、さっさと計算しましょう。

(a) の検討

$$
\dfrac{-2+5+3-1}{2}=2.5[s^{-1}]
$$

(b) の検討

$$
\dfrac{2+5-3-5}{2}=-0.5[s^{-1}]
$$

(c) の検討

$$
\dfrac{2+1+2+1}{2}=3.0[s^{-1}]
$$

 以上より「④」が正解となります。


36 平成26年度第2回(通算43回)問6

解法の確認

 角運動量保存則がテーマの定番の計算問題です。既に類似の問題(「令和2年度第2回(通算55回)問6」)を解いていると思いますので、復習を兼ねて解きましょう。

 赤道における空気塊の角運動量$${L_0}$$は、

$$
L_0=R\times m\times460=460mR
$$

 この空気塊が南緯60°移動したときの角運動量L_{60}を、地面との相対速度速度$${v}$$を用いて表すと、

$$
L_{60}=Rcos{60°}\times m \times (460cos{60°}+v)
$$

 上記の運動量は保存するので、

$$
R\times m\times460=460mR=Rcos{60°}\times m \times (460cos{60°}+v)
$$

 これを解いて、

$$
v = 690 [m/s]
$$

 以上より「④」が正解となります。


37 平成26年度第2回(通算43回)問7

解法の確認

 傾度風に関する定性的な性質の理解を問う問題です。基本問題なので、必ず解けるようになってください。

(a) の検討

 摩擦力は地上付近の場合(地上風)を考えるものなので含まれません。よって「誤」となります。

(b) の検討

 地衡風は等圧線と平行に吹きます。よって「誤」となります。

(c) の検討

 傾度風は、以下の様な釣り合いの結果です。

 低気圧:気圧傾度力=コリオリ力+遠心力

 気圧傾度力が一定である以上、地衡風の釣り合いに加わった遠心力の分だけコリオリ力は小さくなります。そしてコリオリ力は風速に比例するので、傾度風は地衡風よりも風速が小さくなります。よって「誤」となります。

(d) の検討

 試験時間中に厳密に示すのは難しいので、結果を覚えておきましょう。

 高気圧の場合の傾度風の式を速度$${V}$$について解いてみます。

$$
\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}+\dfrac{V^2}{r}=2ΩVsin{θ}
$$

$$
V=\dfrac{-2Ωrsin{θ}+\sqrt[]{(2Ωrsin{θ})^2-4r\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}}}{2}
$$

 根号の中に注目すると、2項目の気圧傾度力が大きくなりすぎると、根号の中が負の値になってしまうので、

$$
(2Ωrsin{θ})^2\geqq 4r\dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}
$$

つまり、

$$
Ω^2rsin^2{θ}\geqq \dfrac{1}{ρ}\dfrac{Δp}{Δn}
$$

を満たす必要があります。つまり、高気圧の場合は等圧線の間隔が低気圧よりも広くなるのです。よって「正」となります。

 以上より「⑤」が正解となります。

※解説で求めた高気圧の場合の気圧傾度力の不等式について少し考えてみると、高緯度地域の方が等圧線の間隔が小さくなるるということが分かります。シベリア高気圧が太平洋高気圧よりも発達する理由かも知れません。これは少し面白いですね


38 平成26年度第1回(通算42回)問6

解法の確認

 温度風に関する基礎的な問題です。もう楽に解けると思います。

 300hPaと700hPaの風のベクトルの差から、温度風は南東風であると分かります。そして北半球では高温域を右に見て温度風が吹くので、「①」のような温度分布になると分かります。


 本解説で使用した問題の著作権は一般財団法人気象業務支援センターに帰属します。本問題に対する解説は同センターから許可を受けた上で作成した筆者独自のものであり、同センターのものではありませんのでご了承ください。

 また、本解説は筆者個人の理解に基づいて制作したものであり、その科学的妥当性を保証されたものではないことをご了承ください。


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