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【Tech Update】Samsung:Bumpy Road Ahead For The Throne

スマートフォン市場でトップを走るSamsungが、これまでにない険しい局面に立たされています。ジャパンタイムズの報道から見ていきましょう。

Samsung Electronics said Friday it expects operating profit to tumble 56 percent for the second quarter of this year in the face of a weakening chip market.

利益が半分以上も落ち込むというのは尋常な事態ではありません。

韓国の国内総生産は約100兆円ですが、そのうち約8割を財閥系企業が占めており、サムスングループは約20%の割合となっています。

このことを考えれば、サムスンの利益が半減したということがいかに危機的な状況下がおわかりになることでしょう。

では、これまで順調だったサムスンのビジネスがここまで落ち込んだ理由は何でしょうか?

それは、Samsungの主要製品である半導体(DRAM)価格の下落です。

みなさんもご存じの通り、半導体市場においてはSamsungとSK Hynixに代表される韓国製の半導体が世界で市場シェアをほぼ独占しています。

2019年第1四半期(4月~6月)のシェアはSamsungが42.7%、SK Hynixが29.9%。2社を合計すると、なんと70%を超えています。

こうした市場シェアを背景としてこれまでSamsungは好業績を続けてきましたが、ここにきて市場の変化やSamsung自身の問題が明らかになってきました。

■DRAMの落ち込み
Samsungの主力製品であるDRAMの価格が低迷し、25%~30%の大幅下落となっています。これは、2011年以来の大幅な落ち込みで、SamsungだけでなくSKHynix, Micronなどの他の半導体メーカーも同様の状況となっています。

IT業界の情報メディアであるTRENDFORCEの半導体部門、DRAMeXchangeの記事によれば、大部分のDRAM供給メーカーは現在、6週間分の在庫を抱えており、このまま需要が回復しなければさらなる価格調整が進むだろうと予測しています。

■日本による原材料輸出管理の強化
さらに、日本政府が8月から適用しようとしている半導体材料3品目の輸出管理厳格化が影を落としています。

この管理厳格化とは、具体的には次のような内容となっています。

1.これまで韓国への輸出においては一括許可を行っていたが、これを都度許可申請を出させ、個別に審査する。

2.外為法上の特例措置である「ホワイト国リスト」から韓国を外す。

韓国だけでなく日本の大半のマスメディアが「規制」「報復」という言葉を使っていますが、日経ビジネス記事における元経産省貿易管理部長の細川昌彦氏の説明でも明らかなとおり、単なる「国内ルールの変更」に過ぎません。

とはいえ、この厳格化により審査期間が平均90日もかかることになり、加えて実質的にはほぼ輸出許可が通ることはないと言われています。韓国半導体メーカーにとってはこれ以上の痛手はないでしょう。

■フランス子会社の「不名誉な噂」
中国の人権監視団体NGOの指摘によれば、Samsungは自社の工場において16歳未満の児童を就労させていた疑いがあるとのことです。

その実態は、長時間労働や劣悪な住環境・労働環境下での労働を強制されてているというもので、重大な人権侵害としてかなり大きな問題であるとJapan Timesは報道しています。

The firm’s French subsidiary, meanwhile, is facing charges of deceptive marketing over its corporate ethics pledges after activists complained that the smartphone giant’s practices in its overseas factories violate human rights. 

Based on information provided by other rights groups such as China Labor Watch, the nongovernmental organizations that filed the complaint allege that Samsung employs children under 16, subjects its employees to abusive working hours, and housing and labour conditions fail to meet basic standards and put workers in danger.

★★★

DRAMメーカーで約40%のシェアを握り、他の半導体主要メーカー(SKHynix/Micron)と比較しても48%という高い年平均成長率(CAGR)を誇ってきたSamsung。

その強者に立ちはだかる数々のハードルを、果たして克服することはできるのでしょうか。今後の日韓関係の経過と合わせて注目していきたいポイントです。


関西在住のWebライター/文筆家のタマゴです。私の書く文章があなたの人生を豊かにすることができていれば、ぜひサポートをお願いいたします。