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補助輪なしで30分で自転車に乗る方法と、それが示唆する大事なこと

自転車の練習は補助輪がなくても本当にすぐに乗れます。もう20年も前の話ですが、後半では娘が30分で乗り始めたときの写真と合わせてご紹介します。

そもそも補助輪はすぐに不要になるのでもったいないです。また補助輪があると車体も身体も傾かないので、かえって走行しにくいし、平衡感覚も体得しにくいと思います。

自転車に乗るためにいちばん重要なことは、平衡感覚を活かすことです。平衡感覚は普通に歩けるようになっていれば、自然に身についていますし、一本橋みたいなところを渡れるのならもう備わっています。

個人差はあると思いますが、体力的には3歳くらいなら自転車には乗れると思います。ただし、実際の公道に出て他の車や歩行者を避けるためには別の能力と体力が必要なので、「自転車に乗れる」ことと「自転車に乗ってもいい」のは別の話です。ここで書いているのは「乗れるようにする」話です。

では私が2人の子どもたちに実践した方法です。初めて自転車に乗った日からたったの30分でもうスイスイ乗り始めます。ポイントを箇条書きにしておきます。

(1)芝生や校庭のような転んでも怪我が少ない場所を選ぶ
(2)ヘルメットを着用する
(3)ペダルの漕ぎ方を覚える
(4)ブレーキの使い方と停止、カーブの仕方を覚える
(5)下を見ないで前を見る
(6)親が支えながら走行練習
(7)いつの間にか手を離すと、ハイ、乗れました!

ではそれぞれ順番に説明します。

(1)芝生のような転んでも怪我が少ない場所を選ぶ
これは転んだときにできるだけ衝撃が少ない、怪我が少ない場所を選びます。芝生はその状態によっては走りにくいことが多いので、校庭とかグランドの方がいいかもしれないです。石ころなどがないことが一番重要です。

(2)ヘルメットを着用する
これはあった方がいいですね。20年前は自転車にヘルメットという発想がほとんどなくて私は使いませんでした。もし最初からヘルメットを付けさせるのであれば、少し前からヘルメット自体に慣れさせたほうがいいと思います。あと服装はズボンの方が怪我は少ないかもしれないですけど、普段の遊び着でいいと思います。怪我が気になる方は、念のためにキズテープや消毒液を持って行って下さい。でもかすり傷くらいで大騒ぎするのもどうかとは個人的には思います。傷口から雑菌が侵入して、それへの耐性をつけていくくらいではないと。この先無菌室で生きていくわけではないですから。

(3)ペダルの漕ぎ方を覚える
これが案外、子供にとっては最初は難しいです。特に年齢が小さければ小さいほどです。自転車をスタンドとかで固定した状態で、ペダルだけ漕ぐ練習を少しだけやっておきます。これは当日10分もやればいいくらいです。

(4)ブレーキの使い方と停止、カーブの仕方を覚える
ブレーキの使い方はあくまでも理屈ですけど、教えないわけにもいきませんのでやります。緊急非常時にブレーキを使うというのは、それなりに慣れてこないと実際には操作できません。ペダル漕ぎのときに一緒に教えていきます。

また停止方法の方が運転方法よりもずっと難易度が高いです。当然ですが、両足が地面につく高さにサドルの高さを調整してあると思いますので、足をつけばいいだけのことなんですけど、これはやっぱり理屈なんです。身を持って覚えさせるしかないです。

カーブするためにはハンドルを動かす事も教えます。これも最初はちょっとむず難しいです。

(5)下を見ないで前を見る
どうしても下、それも真下を見てしまいます。そうするとバランスが取りにくくなります。前を見るように教えてあげましょう。

(6)親が支えながら走行練習
ここまでの(1)から(4)までは事前準備、座学、ウオーミングアップです。ここからがいよいよ本番です。方法は簡単で、親が自転車の後ろの荷台部分を手で押さえながら一緒に走るんです。最初はゆっくりと、すぐに慣れて来るので徐々にスピードを上げていきます。

荷台がなければサドルか泥除けで支えます。ここで決して身体を持ってはダメです。それでは支えがなくなったことがわかるからです。

おわかりのように、自転車は速度が遅いと安定しませんが、ある程度スピードが出ると安定しますよね。ここがポイントです。

(7)いつの間にか手を離すと、ハイ、乗れました!
(3)から(5)までを走りながら教えます。走り方は最初はランダムな方向でいいですが、しばらくしたら時計方向または反時計方向で大きめの円を描くようにします。小さな円だと低速ではバランスを崩して転びます。

だいたい10分くらいしたら、大人が軽く走るのと同じくらいの速度まで、押す力を上げていきます。

しばらくするとスピードと足の動き、つまり漕ぎ方が合ってくるので、そうなったら黙って手を離しちゃいます。このとき手を離していること子供に言ってはいけません。それによって恐怖感が先行してしまうことがあるからです。気がついたら一人で乗れたという状況に持っていくのです。

支える、離すを繰り返して、そろそろ安定してきたなと思ったらいよいよその時です。親は走るのをやめて、ひとりで乗らせます。そして「すごいすごい、できたできた!」と、ひとりで自転車に乗っていることを大きな声で伝えてあげます。本人はものすごい達成感を感じているはずです。

やや不安定っぽいようであれば、転倒を回避またはすぐに補助できるように、親が並走してあげてもいいです。

実は子供用の小さな自転車の後部を押さえるには、大人はかなり背を曲げることになります。その状態で2、30分走り続けるのは、子供よりも親のほうが体力が必要です。下手をすると腰を痛めます。なので十分な準備運動をしてください。

ではうちの娘の写真です。

練習開始。ちょっと緊張気味です
さあ、本人やる気が出ました
しばらくして黙って手を離したところ
このあたりで「一人で乗れた!」と声をかけます
結構遠くまで行きました
まだゆらゆらはしていますが
数分も経過すると余裕が出てきます。ちょっとサドルが低過ぎるんですけど、これくらいの方が本人は安心すると思います
もう絶好調ですね

このときは一度だけ停止時にうまくいかなくて軽く転びましたが、足をちゃんとつけたので怪我にはなりませんでした。

個人差はあると思いますが、娘はこの時も今も、全然運動神経が良いタイプではないので、きっと多くの子供さんができるんじゃないかと思います。

そしてこの話って、結構奥が深い、示唆的なことだなあと今でも思っています。

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