7袋のポテトチップス- 食べるを語る、胃袋の戦後史

サザエさんにはよくつまみ食いのシーンがでてくる。

いったいなぜだろう?

サザエさんに多くの食べるシーンが登場するのは、サザエさんが食糧難の時代に始まった漫画だから。

近代日本のありふれた人々の食を描いた骨太の力作、『胃袋の近代』に続き、戦後から現代の日本の食を描いた『7袋のポテトチップスー食べるを語る、胃袋の戦後史』が、晶文社より先週発売された。

著者は歴史地理学者の湯澤規子さん。からだと食べ物について社会との繋がりから考えるワークショップ、『からだのシューレ』の人気講師でもある。

アンパンマン、サザエさん、そして筆者自身の人生といった、入り込みやすいストーリーに惹きつけられて読み出すと、そこには戦前から現代まで綿々と引き継がれ、でも時に分断も経験する、どこにでもいる人々の食の風景が広がる。

そして、そんな人々の食の履歴書は、筆者が地道かつ丁寧に集めた膨大な資料とつなげられ、戦前からいまに続く、日本のあゆみと接合される。

やさしく、抑制された筆致の中に、食を通じて”共に在る”ことが難しくなり、むしろ食が孤独と繋がる、現代の食への警告が響く。

ダイエットのことが頭から離れない人、食べることに難しさを感じる人、そして食に関わる全ての人、ぜひ手にとってほしい。

表題の「7袋のポテトチップス」は本著のテーマをつらぬく大事なシンボルだが、これが何を意味するかは、ぜひ本文で知ってほしいので伏せておく。

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