やせたらカースト上位の女の子が突然優しくなった

来週2月23日(土)の「からだのシューレ」では、摂食障害の元当事者2人をお招きして、摂食障害の”作り方”を考えます。”作り方”といっても、当然”なる”ことを奨励しているわけではなく、”どうやったらならないか”を考えるために、作り方を考えるというのがこのイベントの主旨です。

登壇者のおひとりである助産師の大貫詩織さんから、すでに「大貫詩織の摂食障害ができるまで」を送ってもらっているのですが、その中のエピソードのひとつが、タイトルにあるものでした。

大貫さんは、中学生のときに半年で8キロのダイエットに成功します。

するとカースト上位の女の子が突然自分に優しくしてくるようになりました。

大貫さんはそれがとても嬉しかったそうです。

自信のなかった大貫さんに、クラスの中で一番キラキラしている女の子たちが突然優しく接してくる。

嬉しくないわけありません。

アクセサリーとしての友達

やせたら突然彼氏ができた、やせたら突然周りの女子が優しくなったというのは、これまでもしばしば耳にしてきました。

女子がやせることと彼氏の関係については、すでに話はなされているので、ここでは後者に絞ってみましょう。

大貫さんがやせたとたん、突然やさしくなったカースト上位の女の子たち。彼女たちがなぜやさしくなったのか。

それは、大貫さんをグループに加えても、彼女たちグループのステータスは下がらない、むしろ「上がる」という判断がなされたからでしょう。

8キロやせる前の大貫さんは、そのように判断されていませんでした。ですがやせたことで大貫さんはその資格を得たのです。

その意味で大貫さんはアクセサリーです。

以前、ある学部生のクラスで「かわいい女の子が彼女になれば、それは同性の友人への自慢になる」と素直に答えてくれた男子学生がいました。これも同じロジックですね。

ただ、このアクセサリー的友だちが厄介なのは言うまでもありません、何かでその資格がなくなったら、あっという間に「友だち認定」から外され、また元に戻るからです。

格付けし合うにんげん

女子同士がこのように比べあうことは、よく「女の性質」として揶揄されるます。以前、「格付けし合う女たち」というコーナーを持つテレビ番組が人気になったこともありました。

ただ私がこれまで生きてきて感じるのは、このような格付けは別に女に限ったものではなく、残念ながら社会のいたるところで起こっているということです。

たとえば、研究者の世界でも「この人と一緒のネットワークに入れば、自分も名が知れるだろう」とか、「この人と一緒にいると自分の価値も下がるかもしれない」とかいう判断が、1人の人間のふるまいに大きな影響を与えることはよくあります。(もちろんそんなことを表立っては誰も口にしませんが)

そしてこんなことは研究者の世界だけではなく、そこらじゅうで起こっている人間模様でしょう。

もちろんこういう判断は、「研究者(ビジネスパーソン)がすべき政治的な判断」といった形で語られるはずなので、そこにいやらしさが感じられることはあまりないかもしれません。むしろ処世術として肯定的に語られることもあります。

ですがそこで起こっていることは、やせた大貫さんに突然優しくなった、カースト上位の女子のふるまいと同じです。

このような個々人に対する値踏みは、生きていく上で避けがたい現象で、人それぞれが、このようなことをやったり、やられたりする中で生きている。

それが世界の実情でしょう。

23日のシューレでは、このような人間のどうしようもない側面にも、目を向けならがディスカッションができればと思っています。


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