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気持ちよく仕事させろや

世の中、いろいろなハウツー本のようなものがあると思います。私はほぼ・・・というか、まったくそういう本を読むことがありません。ただこの記事、ちょっと目に留まったので覗いてみました

何だか、今の時代における組織のありようが見える気がして、面白く読まさせていただきました。

この記事で取り上げられているのは、例えば、会社の出張である展示会に行ってきたとして、上司に「展示会、どうだった?」と聞かれとき、最初にどう答えるべきか?というのがテーマです。

上司からの「どうだった?」と聞かれるのは、「きちんと報告しなさい」という意味なので、それをくみ取って、その上司が聞きたがっているポイントを押さえて報告すべきであるというのです。

けっして、「面白かった」とか、「楽しかった」などといった幼稚な答えをしてはならない、というのが序盤で語られることです。「ビジネスの場合、「君の個人的な感想は聞いていない」と、一瞬であきれられる恐れがある」と述べられています。

まぁ、分からないでもないです。

分からないでもないですが、はっきり言って、そんなやり取りで「君の個人的な感想は聞いていない」などとあきれる上司がいる組織なら、その組織はロクなものではないという気もします。

部下が出張に行ってきて、「面白かった」、「楽しかった」と帰ってきたら、それは上司も一緒に喜ぶべきところです。

そうか、面白かったかぁ。そりゃよかったなぁ。で、どう面白かったんだ?

その程度の会話ができない上司?あー、要らない、要らない(笑)。

もちろん、考慮すべき状況はあります。例えば、何人も集まっている会議室の中だったら、また違うでしょう。ほかの人たちも、私の答えを聞かないといけません。ほかの多くの人たちの時間をもらっているわけですから、彼らにとって最もふさわしい答えを簡潔にまとめて、発信しなければなりません。

メールで報告するような場合も然りです。上司などという人は、たいがい忙しい人です。そうでなくても、そう思っておく必要があります。したがって、とにかく簡潔に分かりやすく、要点を絞って伝える必要があります。

けれどもコレ、記事のタイトルにもあるように、会話ですよね?

仕事は、その組織のためだけにするものではありません。もちろん、組織のためにはやります。しかし同時に、自分の幸せのためにもやっているのです。そうでなかったら、いい仕事なんてできたもんじゃないです。

人間関係も大切です。人間関係を構築するうえで、普段からの会話が重要であることは、言うまでもありません。

そんな重要な会話において、部下が「面白かった」、「楽しかった」などという感想を入れてくれたとしたら、それこそ、その上司にとっては人間関係構築のための好機でもあります。それを活かせない上司、あるいは組織なんてものはロクでもないと思うのです。

上司も部下もなく、まずは互いに人間であるということ、人間は仕事をするための機械ではないということ、良好な人間関係があってこそ、良い仕事ができるし、良い組織になるし、良い社会になっていくということ・・・そう考えたとき、こんな内容がもっともらしい記事になるということに、ちょっとした社会の歪みを感じたのでした。

もちろん、この記事の中にある部下の立場として、やるべきことをやる、そのための努力は惜しまない点は、言うまでもないです。

「面白かった」、「楽しかった」だけではなく、その展示会で見聞きしたものについて、自分なりに整理し、報告できるようなかたちにきちんとまとめておく必要はあります。

そして、事前に上司の関心事について、想定しておいてもいいと思います。

けれども、せっかくの会話であれば、上司がどこに関心をもっているのか直接聞いて、その会話の中で、報告内容を適宜整理しなおしながら話す方がいいかもしれません。そっちの方が、人間関係を構築できますし、その場で上司の関心に沿った的確な報告ができます。

そしてまた、こちらの方が変幻自在なアウトプットが求められるわけですから、よっぽど「頭の良い人」の会話じゃないかという気すらします。

記事自体は面白いですし、無意味と切り捨てるつもりはありません。ただ、あまり真に受ける必要もないと思うのです。

ひとりひとりが気持ちよく仕事ができる社会、そうでなかったら、本当に幸せな社会なんて実現しません。

部下の気持ちを考えない上司に合わせる?それが本当に「頭の良い人」の会話なの?なんか違う気がするのです。

本当に一所懸命、努力しながら働いている人たちは、上司に向かって「気持ちよく仕事させろや」くらい、言ってやってもいいと思うのです。それが、より良い社会のためかもしれませんよ?


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