「旅行者にとっての混雑問題に対話的に取り組む旅行計画支援」を読んだ感想

この記事は、岩手県立大学 Advent Calendar 2017の5日目の記事です。

世間のアドベントカレンダーブーム(?)も一段落したのか、近年、穴が目立ってきたので、せっかくなので埋めていこうと思います。

埋めるにはなにかシリーズネタがあると楽なので、今回は、最近読んだ論文の感想をなるべく平易な言葉で1000字以内で書いていこうと思います。

1回目の今日は、「旅行者にとっての混雑問題に対話的に取り組む旅行計画支援」(青池ら, 観光情報学会第16回研究発表会 講演論文集, 2017)です。

[概要] (論文より引用)
旅行者は、時間的・予算的制約の中で観光を楽しみ、旅行の計画をすることで旅行の満足感を高める。人混みは旅行者にとって旅行を良くも悪くもする要因であるため、人混みを考慮した旅行計画支援が必要である。本稿では、「混む」ということをマイナスの要因として捉え、人ごと・スポットごとに異なる混雑への意識を、三段階のステップで対話的に汲み、旅行計画に組み込む手法を提案する。また、浅草における実行例を通じて、複数のスポットに続けて対話を行う際の問題点と、それに対する方策を示す。

感想

※解釈が間違っている可能性もあるので、正しくは原著を読んでね!

著者らは、CT-Planner という旅行計画支援ツールを長年にわたって研究・開発している研究チームです。このCT-Planner は、旅行者の観光嗜好に基づき、観光スポットの評価値を計算し、選択式巡回セールスマン問題を遺伝的アルゴリズムで解き、プランを導出しているツールです。

このツールに、「混雑」という概念を取り込んだのが今回の論文の内容です。

その手法は、ひらたくいえば「混んでてもそのスポットに行きたいですか?」ということを利用者に問い、利用者は「空いていたら訪れる」「混んでいても訪れたい」のいずれかを回答し、プラン導出の一変数として加味するというものです。

また、ツール側は混雑の度合いについて時間帯別の情報をもっており、それをもとに代替プランも提示できる。その代替プランと、元のプランとは推定効用(旅行者の観光嗜好と観光スポットの合致度を「推定効用」と呼んでいる)の和が同じになるそうだ。

実際にサービスへの適用を考えると、時間帯、曜日別の混雑データを持っていないいけないので、自前でデータを揃えるのは骨が折れそうですね。Google Place API ではやく混雑データが解放されるといいなと思います。

この論文には直接関係ないけど、CT-Planner は、単に情報を「検索」「推薦」しているのではなくて「対話」を意識しているところがおもしろいですよね。Google の検索をはじめ、コンピュータは結果をただ並べることが多いなか、対話するように結果を修正していくので、その根拠が利用者にもなんとなく伝わるし、このパラメタをいじるならこのスポットかーという感じで人間同士で旅計画たてるときに近いです。

大学院で遺伝的アルゴリズムについて講義で少し学んで以来、どこかで実装して試してみたいと思い続けて5年くらい経ちました。2018年こそは、、、、。

(約770文字)

おわりに

アドベントカレンダー明日も穴があいてますね。。。


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