地方で車なし生活をはじめて1年経った
詳しくは「引っ越しをした」 にまとめてありますが、1年前に盛岡駅徒歩10分程度のところにある「盛岡市材木町」に引っ越ししました。
この引っ越しに伴い「車」を捨てて生活しています。ちょうど1年経ちましたので、「本当に地方は車がないと住みづらいのか?」という疑問に対しての回答をまとめたいと思います。
「地方生活に車は必要なのか?」
さっそくですが、結論を箇条書きすると次のとおりです。
- 車はなくても不自由なく暮らすことができる
- 車所有の有無による経済的なコストは変わらない
- 都市中心部に住むことにより「交わり」「癒やし」「働く」「住みやすさ」の面では向上したが、「遊び」の面では低下した。
以下では、このような結論に至った理由を述べていきます。
経済的にお得なのか?
車を捨てることによって、経済的にお得になるのでしょうか。
生活コスト
1年前の記事にでは次のように評価基準を定めました。
車生活の場合の年間費用50万円と仮定すると、カーシェアリングの従量課金と交通機関の運賃の合計が25万円を上回るかがひとつの指標となることがわかった。
さて、1年間を終えて実際どれくらい使ったのでしょうか。以下の図はカーシェアリングの利用明細です。
カーシェアリングの年間利用料金は3.2万円でした。思ったより必要としなかったです。カーシェアリングを使わない月も半分くらいあり、使った内容も実は旅行先で使ったものも含まれていて、カーシェアリングはなくても問題ないです。
次にタクシー、バスですが、家族合計で年間1.5万円程度でした。
帰省などで中距離移動するときは新幹線でした。年間で5回ほど帰省し、合計5万円程度です。
以上を合計すると、約10万円になり、損益分岐点の25万円を大幅に下回りました。
抜けていた観点
ただし、抜けていた観点があります。
上で述べたのは、生活コストのなかでも移動コストの面のみでした。食費の面での考慮が欠けていました。
同じ盛岡でも、市街地のスーパーと郊外のスーパーでは金額が変わります。例えば滅多に利用しませんが駅地下、百貨店地下などのスーパーはそこそこな価格設定なんですよね。またネットスーパーを頼むこともあってやや割高です。
さらに食材以外にも、自宅は外食にもすぐ行ける立地ですし、住んでいる材木町は春から秋の間毎週「よ市」というイベントがあったりとお金を使う機会が増えています。
正確には把握していませんが感覚的には食費が年間10〜15万円程度増えていると思います。これを考慮すると実のところ損益分岐点付近になってしまいます。僕は消費が増えてしまいましたが、この辺は自分でコントロールできる部分ですしうまくやれば経済的な効果も認められそうです。
生活の質は高まったか?
ここまでは金額ベースの評価でしたが、お金に換算しにくい質的な面での評価をまとめたいと思います。
それぞれの面ごとに、評価がわかりやすいように次の矢印をつけてみました。
↑ : 引っ越して良い方向に変わった
→ : あまり変わらない or 一長一短
↓:引っ越して悪い方向に変わった
交わり(↑)
交友関係が大幅に変わることはありませんでした。いわゆる人的なネットワークが拡大したかという面では、拡大しにくいというデメリットがあるのでは?という疑問もでるかもしれません。これについては、個人の意思の問題であって車無し生活と因果関係はないと考えています。
また普段の業務は完全リモートワークのチームということもあって日中のリアルな場での交友関係は普段からほぼなく、ほとんどが知人との飲み会なので、その飲み会にいきやすくなったのはメリットでした。(これまでは繁華街まで車以外の方法で向かうのが面倒だった)
学ぶ(→)
車の移動時間が減った分、学びにつかえる時間が増えたと感じています。
詳しくは後述しますが、ジムに通うようになりました。ジム中は、Kindle を音声で流して聴くこともできるので、今年は本を24冊読む(聴く)ことができました。
まあこれは車でも同じことはできるのですが、ちょっとしたことをメモしたり、読み返したりとジムならばスマホをすぐ操作できるので車よりは柔軟です
アイーナで開催されているIPU情報システム塾に徒歩で参加できるのは楽でした。JavaScript(ES2015) と機械学習に関するコースを受講しました。
文化施設や県立図書館や大型書店が徒歩圏にあるので、学習はしやすい環境になったと思いますがそこまで活用していないです。
また、知人が多い 岩手県立大学 / イノベーションセンター あたりに行く機会が少なくなり疎遠になりがち / イベントに参加しにくい、というデメリットがありました。
これらを踏まえると、変化はあるもののそこまで大きな変化ではないかなと考えています。
遊び(↓)
家庭菜園ができないことが僕のなかではデメリットでした。趣味の実現のために車が必要な人は考慮したほうがいいですね。
また「ぶらり温泉にいく」というような車を使ったぶらりおでかけができなくなりました。一方で、ぶらり街中に歩きに行くということはしやすくなったので、遊び先が「自然」から「街」に変わったという考え方もありますね。
癒やし(↑)
病院や美容院などはすべて徒歩圏で揃っていて不便はないです。夏に子供が生まれましたが、徒歩圏だったのでとても楽でした。
健康診断するところがバスが必要で、朝早いバスに乗らないと間に合わなかったのがちょっと大変でしたが、まあ年1回なので我慢することにしました。
2月からジムに通っています。出張がなければ基本的には月火木金に行ってます。ジムでシャワー浴びるので家の浴室を使わない日も増えてガス代節約できている気がしています。徒歩圏だからこれくらいいけるわけで、車だとめんどくさくて続かなかったと思います。
ちなみに筋肉量は少し増えたみたいなのですが、見た目や体重はまったく変わりません。目的は痩せることではなくて心身共に健康になることということで。。。
働く(↑)
日常業務
普段は、自宅かその辺のカフェで仕事をしています。カフェが徒歩圏に相当数ある環境になったので選択肢が増えました。
前の家は、夕方になると外で遊ぶ子供の声が響き渡っていたのですが、マンションに変わって静かな環境になりました。
出張
盛岡駅に近いのでさくっと東京まで行けるようになったこともメリットです。月1回ペースで東京にいくのですが、出張時は駅までの移動に車を使わないのでバスや徒歩で30分くらいかけて駅にいっていたのが徒歩10分で新幹線にのれるのはいいですね。
事業運営
個人事業主と法人で事業を進めていますが、行政系の手続きではまだまだ対面で処理したり紙ベースのやりとりが多いので、銀行、市役所、県庁、法務局、税務署、郵便局などに赴く必要があります。今住んでいるところはほぼすべて1km圏内にありとても便利です。
これまではわざわざ1枚の書類提出に車で往復3,40分かけていました。
その他
今年は、トラベルワークにも挑戦できてとても満足しています。詳しくは以下の記事からどうぞ!
住みやすさ(↑)
住居費が2万上がった分、立地・住居の品質があがり、だいぶ住みやすい環境になりました。
・24時間365日、ゴミの種類に関係なくゴミを出すことができる
・鉄筋のマンションになったので防音性、断熱性が高い
・上階になったので風通しがよい
・部屋から岩手山が見えて景色良い
・徒歩圏にあらゆる生活に必要なお店がある(飲食店、スーパー、コンビニ...)
・ガソリンスタンド徒歩1分
足りないものがあれば、物質的なものは Amazon さえあれば手に入りますね。
服も買うところが少ないですが、こだわりがほとんどないのでユニクロの通販や近くにある数少ないショップで間に合います。
気に掛けて選んだわけではないのですがガソリンスタンドが徒歩圏というのは意外と大事な要素で、これがないと灯油宅配サービスと契約する必要があります。宅配サービスを使ったことがないので便利かどうかはまだわかりません。
考察
生活コストはほとんど変わることはないため、金銭的にお得になるということはないようです。
「交わり」「癒やし」「働く」「住みやすさ」の観点では、従来よりも環境がよくなったと感じました。
一方で「遊び」の面では、従来よりも環境は悪くなったと思います。
さらに、「学び」の面では、大きく変わることはありませんでした。
以上を踏まえれば、「『遊び』の面でデメリットがあるが、全体的には環境がよくなる。経済コストは変わらない。」という結果になりました。
最後に、これらの1年間の経験を踏まえて、車なし生活をするには必ず達成しなければできない条件をまとめます。
もし「車なし生活をしてみたい」と思うならば次の条件は達成するよう計画する必要があります。
地方で車なし生活をするための条件
絶対に達成しないと車を捨てられない条件を「MUST」、達成したほうがよりよいよという条件を「SHOULD」に分けてみました。
MUST
リモートワークあるいは職場が徒歩圏にあること
起きている時間の半分を費やす「仕事」はとても影響します。車でなければ通勤できないような場所が勤務地だと車を捨てるべきではないです。
この条件を満たすには、個人で努力できる面とできない面があります。
もし車なし生活を目指すならば、立地条件の良い職場を探すよりは、自分のスキルにあったリモートワークの仕事を獲得できるスキルを構築していくほうが努力しやすいです。クラウドソーシングはもちろん、最近ではリモートワーク可の会社も増えてきているので、探しましょう。
とはいえ、僕自身は様々な方との縁と理解のうえでこのような生活ができていて、正直なところ運や巡り合わせの要素も多いので個人の努力はしにくいことも多いですね。この点についてはより一般化してリモートワークの仕事を獲得できるよう実践と研究を続けたいです。
徒歩3分以内にスーパー/コンビニがあること
なんだかんだであるとないでは利便性が全然違います。物件選びでは重視しましょう。
SHOULD
駅ビルあるいはある程度の規模の商店街が徒歩圏にあること
移動手段の前提が徒歩になるので、徒歩圏に生活するうえで最低限必要なものがすべて揃っているべきです。物件選びでは重視しましょう。
交通のハブとなるところが徒歩圏にあること
上と同じく移動手段の前提は徒歩なので、少し遠くに行こうとした場合、電車やバスを使うことになります。そのハブとなる拠点が近くにあったほうがよいです。僕の場合は、盛岡駅 & 駅前バスターミナルでした。
車を必要としない趣味であること
趣味をおこなうにあたって車が必要な場合は、大きく制限されます。自身の趣味が車が必要であるならば車を捨てるべきではないです。
カーシェアリングが近くにあること
精神的には安心しますのでオススメです。が、実際はあればベター程度です。
ガソリンスタンドが近くにあること(雪国限定。代替手段あるかも)
車がないのにガソリン?と思われるかもしれませんが、雪国には灯油が必要です。宅配サービスもあるので代替できるとは思うのですが、未経験なのでまだ不確実な状態です。すくなくともいまは近くにガソスタあってよかったと思っています。
まとめ
「地方生活に車は必要なのか?」という疑問のもと、車を利用しない生活を計画し、2016年1月から12月までの1年間、岩手県盛岡市において車のない生活を送ってみた。その結果、経済コストを変えずに「交わり」「癒やし」「働く」「住みやすさ」の観点で質的評価を高めることができたが「遊び」の面では下がり、総合的には「車はなくても不自由なく暮らせる」ということがわかった。
また、実体験をベースに、「地方で車なし生活をするための条件」をまとめ紹介した。
おわりに
もし、地方での車なし生活に興味のある方で迷っている方がいらっしゃればいつでもご連絡ください!
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