「アイテムのジオタギングに基づく 観光スポットベースクロスドメイン推薦システム」を読んだ感想
この記事は、岩手県立大学 Advent Calendar 2017の11日目の記事です。
引き続き、アドベントカレンダーで穴が空いているところを最近読んだ論文の感想をなるべく平易な言葉で1000字以内で書いていこうと思います。
今回は、「アイテムのジオタギングに基づく 観光スポットベースクロスドメイン推薦システム」(北村ら, DEIM Forum 2017)です。
[あらまし] (論文より引用)
クロスドメイン推薦システムは映画や音楽,本などの異なったドメインに跨って,ユーザにアイテムを推薦するシステムである.異なったドメインにおいて,共通アイテムや共通ユーザを手掛かりに推薦アイテムを決定す
る.しかし,共通アイテムや共通ユーザが存在しない場合には,推薦アイテムの決定は困難である.本研究では,共通知識として位置情報に着目する.例えば,ある観光地が舞台になった小説や映画があった場合,その観光地を共通知識としてクロスドメイン推薦に活用できると考える.本研究では,クラウドソーシングにより映画,音楽,本の内容に関連する位置情報を収集した.収集したデータは各ドメイン 10,000 アイテムから構成される.このデータと観光スポットを対応付けて観光スポットを介したクロスドメイン推薦システムについて検討する.
感想
※解釈が間違っている可能性もあるので、正しくは原著を読んでね!
これまでの推薦システムは、あるひとつの分野の嗜好データにより、推薦を行うことが多かったが、複数の分野の嗜好データをもとに推薦を行う「クロスドメイン推薦」という考え方が注目されてきているようだ。このクロスドメイン推薦にも類型があり、図1 がわかりやすく、また「2. 関連研究」が読みやすく理解しやすかった。
この研究では、観光情報を推薦するのではなく、「興味のある地域内を探しているときに、そのスポットに関連するアイテム(小説、映画、楽曲)を推薦する」といったもので、ひらたくいえば「あなたの見ている地域を題材にしたアイテム」ということだろう。
実験結果は、このシステムによって推薦されたアイテムについて、このシステムによって初めて知り、そのアイテムの興味を持つようになる場合も多いようだ。また、逆自力発見性(このシステムを使わなければそのアイテムを知ることがなかったかどうか)については、他研究との比較がないため相対的にあるとはいい切れないものの、セレンディピティのある推薦となるように思えた。
実用化を目指した場合、複数の分野の商品を取り扱うジオベースのアドネットワークでは活用可能性があると感じたので、オンライン広告をはじめとする分野の関連研究や先端事例を参照したいところだ。
また、観光スポットを探しているときに関連商品を買おうというユースケースは頻度が少ないと個人的には思うので、その地域への理解や関心が深まった観光行動後に関連商品を推薦する場合のほうがよいのではと思った。
さらに、観光スポットに関連するアイテムへの興味から、さらに次の観光スポットを推薦できないかなとも思いました。
(約700文字)
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