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ジョブズの話を読みながら、自分の留学時代にお世話になった方を思い出す

スティーブ・ジョブズが亡くなったあとにでた、彼の追悼本的な中でもちょっと異色だった彼がよく通っていた鮨屋の大将の話。たしかにスティーブ・ジョブズが愛用した店ではあるようですが、シリコンバレーで鮨屋を営んだ男性の物語ですね。これ読みながらアメリカにいた頃にご縁があった鮨屋の大将を思い出しました。

留学時代、海外生活をはじめたけど日本食が恋しくなった時に、安く食べられる回転寿司店には助けられました。ポートランドの隣町のビーバートンには日系「マリンポリス」って店があり、自分も時々行っていたし、お店としても繁盛していました。(たしか当時は1皿安いものは1ドルだったんですよね、いまGoogle Mapで調べたらもう閉業してましたが。)

その後・・・大学を出てから、ローカルのバイリンガル新聞社で記事書いたり、広告をデザインしたりしていたのですが、ある時ボスから、「マリンポリスの広告取れたらボーナスあげる」、と言われました。

この回転寿司の店長兼板長さんはちょっと強面だったし、言葉尻をややキツく、あとは広告をなかなか買ってくれないことで有名でした。ドキドキしながら営業にいき、紆余曲折はありましたが運良く広告は買ってもらえました。後日「お前のとこに広告出したら人が来すぎて、セール企画だったから余計に損したよ。」と笑いながら言われたのを覚えています。

この頃、大学は出たものの定職にはついていなかったので、ライターの他にもあれこれ仕事をしていました。収入源として大きかったのは日本食料理店のウェイター業だったのですが、店がオーナーチェンジすることになり、その店の経営者になったのは↑の回転鮨屋の店長さん一家でした。

一緒に働くようになって聞いてみると、この方も日本の大手鮨店での修行を経て、海外赴任という形でオレゴンに住むようになり、と波瀾万丈な人生模様だったようです。家族経営で店を運営していたこともあり、たぶん一緒に働いたのは1年くらいだったと思いますが、本当によくしてもらいました。ちなみに、今もお店はビーバートンにあり、当時は高校生だった息子さんが立派な鮨職人となって、お店を継いで経営されています。

この本を読みながら、たしかに90年代半ばから鮨がちょっと変わった日本食から、オシャレな食べ物に変わっていき・・大学教授やIT系の高給取りな方の間で、箸がちゃんと使えることと、良い鮨屋を知っていることは、ちょっとしたステータスになってたことを思い出しました。そういえば・・うまい鮨屋を教えるとクラスでの評価点に+をくれる、っていう噂のある教授もいたなぁ・・とか。

ちなみに、ジョブズの横顔を知るって感じではファンの方には面白い本でした。エッセイ的な感じ楽しむにはいいと思います。

ジョブズの料理人(2013年、日経BP社)


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