待春(たいしゅん)

2019年02月10日_013_ 花びら小びら。梅は開いても、まだ寒く、鳩は首を竦めている。春はまだかとカメラを持つ手を擦る。冷たい風に薄鈍(うすにび)の雲が流れて、線路脇に日が差した。気の早い菜の花が一本だけ咲いていた。 もうすぐだ。 濡羽色の機関車が乳白色の蒸気を噴いた。高い汽笛が空へと抜けた。
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