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読みたいことを、書けばいい。~随筆

 僕はブログをもう何年も書いています。もう10年以上だな。このnoteはまだ始めたばかりですがこれまでいろんなブログサービスを利用してきました。そして、文章が上手くなりたくてこれまでいろんな「文章」に関する本も何冊か買って読みたました。結果、読んでも上手くれれるわけもなく、特にハウツー本はホント効果ない。そんな中、この本をきっかけは先輩のツイッターで「サイコーな本だ」と紹介していたので買って読んだが本当に「サイコー」だった。

書き手が嘘をついている

はじめの方のページに編集者である今野さんが著者の田中泰延さんに初めてメールした文面が掲載されてある。僕はそれがとても共感した。
「文章が伝わらない」と悩む人が多く、原因のひとつは「書き手が嘘をついていること」。嘘とは悪意のあるものではなく、「本当に思っていないことを書く」「他人から借りてきた言葉を書く」・・・などと。だから田中さんに本を書いてもらい、「正直な書き手が増える」ことを実現したい。とメールをしている。

書き手が嘘をついている・・・

特にSNSが普及してから「盛る」(「誇張する」「美化する」)というのがある。人からよく見られたいという心理から起こる。自撮りして写真画像する「盛る」のではなく、文章の「盛る」だ。今野さんが言っていた「本当に思っていないことを書く」こともあるだろう。インターネットで検索すれば簡単に情報は手に入る。だから簡単に借りてきた言葉を書けるのだ。僕も時々やる(笑)。いい言葉があるとちょっと知的に見られたいのでつい。。。

著者の田中泰延(ひろのぶ)さんは元電通のコピーライターの方で歳は僕と同い年。バブル期が弾けて就活が氷河期に入るギリギリだ。そんな中の電通入社。本にも書かれている彼の履歴書を見れば頷ける。そりゃ僕は中堅広告代理店でも落ちるわなと今さらながらに思うのだった。


正直にスカッと。そして、クスッと小さな嘘

田中さんの文章はスカッとして気持ちがいい。これは編集者の今野さんもメールに書いており僕もそう思った。電通のコピーライターをやっていたからなのか短文でズバッとくる。

こんなエピソードがあった。僕がこの本が届いたときツイートしたら友人のヨーコがこんな返信をした。

そして、彼女はこうもツイートした。

彼女は著者が田中泰延さんとは知らずに、田中泰延さんがTwitterでオススメしていたので気になっていたと。。。
それをエゴサーチしたであろう田中泰延さんは彼女にこう返信したのだ。


やや著者です

吹いた。
やや著者って・・・
ややどころか思いっきり著者なのだ。
この天然ボケに対してクスッと笑える嘘なら書いてみたいが、こういうのはセンスなのだ。この本にもクスッと言うか大笑いする文章が多々ある。僕は新幹線の中で読んだので笑うのを我慢したのだった。

ネットで読まれる文章を書く

この本にはネットで読まれる文章の9割は「随筆」であるといい。
随筆の定義とは
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」と書かれてある。

これについてはちょっとだけ僕がやってきたことに似てる。こんな知的な文章ではないけど。

ジェームズ・W・ヤングの「アイデアのつくり方」にこう書かれてある

アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ

これをブログに当てはめていた。
「ある出来事とある自己体験の組み合わせ」
それに自分の思考や想いなどを加えていた。そうすれば、日常にあふれているちょっとした出来事でもブログネタにできる。文章が上手い下手は置いておいて随筆となっているのだと思った。まあ、随筆だとこれまで意識すらなかったが。。。

物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛

ネットで検索すれば簡単に情報が見つかるが、それが本当かどうかはわからない。誤報もフェイクもいっぱいある。知りたい、読みたいと思う事象を調べるのだ。
そして、「調べる」は一次資料に当たること
と書かれてある。

本当の事実を知るのは一次資料と書かれてあって思い出すのは、僕がスイーツバイヤーだった頃だ。僕は通販のバイヤーをやっていた。スイーツ担当だったり、惣菜や水産、農産も担当していた。長く担当していると商品トラブルがある。食品の場合、口に入るので危害クレームなったり、回収になる危険性もある。だから早期対応し、即改善しないといけない。だから、なにかトラブルやクレームが発生したら即現場に行くのだ。製造メーカーだったり農産現場だったり。まだ新人の頃、製造メーカーの場所がかなり遠い場所だったので電話やメールで対処した。当時お客さんは企業でその担当者から言われたのだ
「現場に見に行ったのか?」と。
自分で原因を見て、自分で解決策を行ったのか?とめちゃ怒られた。真実は現場にあり、それを自分で確認する。この本で言う一次資料は「現場」である。相手の報告書や電話で全ての情報は調べられない。そういう経験をしてきたのでよく分かる。ネットで現場に行かなくても情報は手に入るがその情報は結構薄っぺらい事が多い。現場には見えなかったコト、気づかなかったコトが発見できる可能性が高いのだ。

ちょうど先日、田中さんのツイートでいい事例があった。田中さんが大学生に個人的に課題を出し、メールで提出する大学生の作法がダメだというツーとに対し、作家である山本一郎氏がこんな記事を書いてTwitterではちょっと盛り上がっていた。

山本氏は、大学の非常勤講師と勘違いしたりた憶測の記事であり、物書きが「調べない」とこうなるといういい見本だった。
※後日、田中さん本人から聞き(一次資料)追記・修正している。

昔、NHKだったと思うが「サルと人間の違いは想像するチカラを持っているか」と言っていた。人は未来を想像することができるので希望をもったり、不安をもったりするが、サルは未来を想像できないので何も感じない。

Twitterなんて140文字までの情報で憶測してしまう。そう考えると怖い。

でも、こんな事は今や日常茶飯事だ。一次資料も調べもせず、真実を知らずに少しの情報で憶測して正義感を振りかざす人たちが多い。しかもSNSだと匿名で。おー怖っ! そして、自分もそうならないよう気をつけよう。


自分のために書き、そこから誰かと巡り合う喜びを体験しよう

アウトプットは重要だ。本を読んでインプットしただけでは何も身につかない。アウトプットすることで自分のために調べ、自分のために考える。そこから学びがあり、インプットしたことが活かされる。だからこの本の感想をブログで書こうと思ったが、結構時間がかかった。ある人からみれば時間かけてコレかという人もいるだろうがこれが今の実力だ。仕方ない。
これからこの本で得たことを忘れずに書き続けるしかないのだ。
こうやってブログやSNSで発信すると思いがけない人と巡り合うのは僕もこれまでいろいろ体験している。個人がメディアとして発信できるから起きる出来事だ。だから書いて発信することはすごく面白い。

この本は文章術のハウツー本ではない。本人もビジネス本ではないと言っている。
しかし、この本は文章を書く事の真理、原理原則を教えてくれるのだ。言葉の葉っぱではなく根っこの部分。根をしっかりさせればあとは自分で葉を広げればいい。
ちょっとでも気になったらこの本を是非買ってみてください。



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