コラム第9回:テーマ 現場の声が改善の力になる。 導入企業の実例 Part2

前回に続き、石川県庁の渡辺課長と(株)小松電業所(石川県・小松市)の塚林社長との鼎談の後編をお届けします。

【目指すのは、IoTの浸透・拡散】

渡辺 (第8回コラムで)塗装ラインについて伺いましたが、それ以外にも、IoT導入支援を経験されたことで、目に見えて改善したと感じられたことや、事業に生きたと思われていることはありますか。

塚林 実は石川県さんの補助金を使って、溶接ロボットのIoTにも取り組んでいます。そのフローを構築していく中で、iSTCさんのシステムがそうであるように、いつでもどこでも、パスワードを知っている人ならデータを見られるようにしないと意味がないという結論になったんです。iSTCさんのシステムを知ってしまって以降は、バッチ処理データだけではもう飽き足らなくなっていて「見たいときにいつでも・どこでも見られるというのはすごく使い勝手がいい」「いつでも見られるようにしないと意味がない」という志向性に社内がなっているのを強く実感しました。

渡辺 IoT実践道場でiSTCさんの知見にふれ、それによって得たものが県の補助金事業にも役立っているという声を聞けたのはうれしいです。

塚林 当社の溶接ロボットの場合、25品番くらいの切り替えが生じる多品種生産です。iSTCさんのシステムはシンプルで分かりやすく、非常に使い勝手がいいんですが、切り替えが多いものについては転用が難しいと考え、自社で取り組むことにしました。ただ、「分かりやすく、使い勝手よく」という点は常に参考にしなければいけないと思っています。

木村 我々も、多彩で多様なお客さまのありとあらゆるニーズにお応えするのは難しいと思っていて、ベースとなる当社のシステムや考え方を把握してもらうことにより、小松電業所さんのように、自社に合ったシステムを独自に構築していってもらうことは可能だと考えています。ベースの考え方を分かった上で、活用してもらえるのは歓迎です。

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【導入がもたらした現場の変化】
木村 (第8回コラムで)当社のシステム導入によって塗装ラインの作業が全部ガラス張りで見えてしまうようになり、現場によい意味の緊張感が出たと伺いました。しかし、やはり当初は抵抗感があったのではないかと推察します。

塚林 ただそれは当初だけで、目に見えて改善が実感され、生産性などの数字も上がり、次の目標が具体的に見えて来たことで「面白さ」が現場に伝わり、やる気やバイタリティーにつながっていったのを感じました。IoT実践道場に参加した3カ月間で、「やらなければ」と思っていた改善が促進してくれた感じです。システムを導入した塗装ラインは4分強のサイクルで回っているので、一時間で14回、一晩2直で回した場合,翌日にはだいたい240サイクル分のデータが取れるわけです。効果が見えるまでは不安だったようですが、導入により翌日にはある程度の傾向をデータで見ることができる。改善をやったらやっただけ結果を早く見られるわけで、「見える化は現場の改善に役に立つ」とすぐに実感できたようです。さらに、現場の管理職が月単位 でPDCAを回してくれるようになりました。前月までの結果がこう、今月途中までがこうなっている、それに対して実行したのはこれで、次はこれをやる、としっかり考えて実践してくれています。これは予想外の成果で、すごくありがたいと感じています。iSTCさんのシステムで改善を実感できたことが、管理職の成長にも結びついたかなと思います。

木村 現場に置かれた ホワイトボードに「こういう改善をしましょう」と 書いてあったのを拝見しました。同じデータ・同じボードを見ながら議論をすることで 風通 しがよくなり、課題や改善を通じて現場の関係性が自然に向上していっているのではないでしょうか。カンでこうじゃないかと話していたかつてに比べ ると、現場の要望は実現されやすくなっているし、やらない場合もやらない理由が明確になって、前に進み結果が付いてくるようになっているのを、皆さんが実感されているのでしょうね。

渡辺 生産面への効果はどうですか?

塚林 IoT実践道場で取り組んだ改善の結果、コー キングやマスキングをしていたスタッフの夜勤が不要になりました。それまでこの職場は2直で作業を組んでいたんですが、見える化によってモノ の流れを把握できるようになり、1直( 昼間)の終業時までに後工程の夜勤分までを終わらせれば、遅滞なく進むと分かったからです。また、2直から1直にできたことで、コーキングやマスキング職場の定着率もぐんと上がっています。

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【見える化を生かす独自の工夫】

木村 先ほど拝見したところ、塗装ラインに独自にカメラ(ドライブレコーダー)を導入されていましたね。

塚林 iSTCさんのシステムを入れたことで、サイクルタイムを何回オーバーした、どこでラインがチョコ停したかというのはすぐに分かるようになりました。そこで次は、なぜ止まってしまったのか、例えばトイレに行って現場を離れたといった作業由来なのか、製品由来だったのかを知りたいとなったわけです。停止したという結果と原因を紐付けて解消するには、そこの見える化が必要ですが、塗装ラインは2直で回しているので、夜中に起こったことを把握するためにカメラ(ドライブレコーダー)を自社でつけました。

木村 当社のシステムでチョコ停の時刻は特定できているわけですから、自社で工夫して画像を見られるようにして、理由を紐付けられるようにされたのですね。先ほども話題 に出ましたが、当社のシステムを上手に使いこなしてくださっていると思います。

渡辺 今年度 のIoT道場に手を挙げ てきた企業さんの中には「塚林さんに刺激されて」という声がありました。自分としてもこの施策をさらにアピ ールして、もっと小規模の企業さんにもどんどん積極的に前に出てきてもらいたいと思っています。先輩企業の好事例として、工場見学などもぜひ受け入れてもらいたいと思います。

塚林 当社の知名度はあまり高くなく、今まで工場見学の希望は多くはありませんでした。見学していただくとなったら掃除も徹底 して(笑)、お客さまに見せる努力をしないといけないですね。

木村 実はそういうことも、改善の推進や人材育成のいいきっかけになるんです。必然的に現場の整理整頓が進むなど刺激になっていいと思いますよ。
全員本日は長時間にわたり、ありがとうございました。

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合計3回に渡り、AIやIoTを県内企業に浸透させるためのプログラムとして当社サービスを採用してくださった石川県庁との対談や、実企業様を訪問した様子をお伝え致しました。

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