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未完のままの作品

物語は完結させてこそである。

……と聞くと、私も少し耳が痛いのですが、物語を書き始めると途中で止めてしまうという経験はないでしょうか? 私はあります。USBメモリに保存してあるフォルダを見たら、何年も前から設定や、途中までは書いてある物語が大量に出てきます。

それを見るたびに「これ完結させないとな……」と思っては、なかなか進みません。読めば「あ、面白いじゃん」となるんですけどね。その続きがどうしても思い浮かばない。

どうして書けないのかという理由は幾つかありますが、私の中で一番のそれは、書き始めた物語が、その当時夢中になっていたものに影響を受けたから。

何かを始める時に、感動や驚きは大事な要素です。それがパワーになって、創作をを捗らせてくれます。

けれど、その時は良いのですが、時間が経つとだんだん熱量が下がってきてしまうんです。これが放置した時の一番の問題なんですが、当時ほどの熱量を保てないから、物語の続きを書いてラストまで綴る事が出来ない。

プロットを組んであれば別ですが、影響を受けた勢いで書き始めたものって、一気に書き上げてしまわないと、その時の熱量を戻さなければラストまで走れないんです。

ならもう一度プロットを組んでみようとしても、どうもその時に「これだ!」と思った面白さが思い出せない。不思議なもので、自分の記憶と感情なのに、自分が一番拾えない。悶々とした気持ちで書きかけの作品が詰まったフォルダを見るだけになってしまいます。

ただ、でもね。こちらも不思議なものなんですが、そのフォルダを見ていくと確かに「面白い」んです。何でこんなに面白いんだってくらい、その書きかけの物語や設定が、今の自分が考えるものよりずっと面白いんですよ。

自分の好きと驚きと感動がきっかけで書き始めたものですから、そりゃ確かに自分にとってめちゃくちゃ面白いはずなんですよね。面白い話が書けない、苦しい、どうしたら。そういう感情を吹き飛ばしてくれるくらい夢中になって読みました。

同時に「あ、自分、最近こんなに心を動かされた事ないな……」とも思いました。もしかしたら感動したり、良い方に心を震わせる事が出来たら、この頃みたいに書けるんじゃないか、とも。

物語は完結させてこそ。自分の技量不足に悩むのはいつもの事ですが、自分の心が震えるような何かを探すのも、完結させるために大事な事なんでしょうね。

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