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DX戦略の立案は泥臭い

こんばんは。it-daxです。

あっという間に年末ですね。今年の最後にDX戦略の立て方を記事にしようと思います。
数社のDX戦略を立案してきて、どんな企業でも同じ方法で戦略立案ができるということに気づきました。

アジェンダレベルでまとめると以下のようになります。


どのような企業、業態、規模でも上記の項目を整理することでDX戦略を立案することが可能です。

1. スコープの設定

戦略の対象となるスコープを設定します。
「全社」「部署」「特定の人」「業務」など様々な切り口が考えられます。

スコープの設定をせずに戦略立案は不可能です。
おそらくですが、背景として「なにかしらの課題を認識しており、対策しなければいけない」という考えがあるはずです。

課題が経営的な視点なのか、現場から上がってきている声なのか、世間の流れなのかは様々です。
「いつ」「だれが」「どのような課題を」「なぜ抱えている」「だからどうしたい」
最初にこれらを明確にしてスコープを設定します。

例:直近3年間、コンサルティング部署では売上が累計30%下がっている。理由としては新規顧客の獲得が出来ず既存の継続案件だけが売上の柱となっており、3年間の継続案件が8割を占めているからだ。売上拡大のために新規顧客や案件の獲得・拡大をしたい。

2.課題の分析

設定されたスコープに潜む課題を分析します。
見えている課題が真の課題とは限りません。
スコープ内の業務やシステム、人も含めて全て分析します。

まずはエンタープライズアーキテクチャと呼ばれる手法を活用し、「業務」「データ」「システム」「技術」の観点で分析します。
こちらについては高い専門性が必要となりますので、コンサルタントを活用して分析するのが良いでしょう。

次に一般的なコンサルティング会社では実施しないですが「人」の分析を行います。
「役職」「職種」「年齢」「性別」「勤続年数」など様々な分類で分析を実施します。
方法はアンケート、インタビュー、モニタリングを実施することが一般的です。
「人」視点で課題の傾向・特徴を捉えることで、課題にダイレクトアタックできます。

また、「人」にフォーカスを当てることで従業員の一体感や共感を得ることができます。経営層の独断だ!面倒臭い!よくわからない!といった負の感情を生まれにくくする効果を期待できます。

課題の分析で重要なのは、全体を捉えて具体化していくことです。
業務分析といいながらいきなり業務フローを書くコンサルがいたらすぐにクビにしましょう。
その時点で全体を捉えられていませんからね。

3.業界の調査

社内の分析だけでなく、社外へも目を向けてみましょう。
業界全体でどのような課題をもっているのか、ライバル会社はどのような課題をもっているのか、すでに解決されているのであればどのようなアプローチを取ったのか、最新の技術動向や業界動向を調査します。

4. 目的・目標の設定

これまで整理した課題をもとに目的と目標を設定します。

課題をカテゴライズし、細かい課題を目的や目標として捉えやすい粒度まで荒くします。
そして対応すべき課題カテゴリと課題を選定します。
一般的には数字に影響が大きい課題カテゴリと課題を優先して目的や目標として設定します。


目的:3年後の売上を今年度数字の200%まで成長させる、5年後までに残業時間や働き方といった労働環境を改善する、3年後までに全社のシステム運用費用を50%削減する

目標:来年度の売上目標を今年度130%UPにする、来年度の平均残業時間を20時間以内にする、来年度までに全社のシステム構想と具体的な要件を定義する

端的な単語ではなく、具体的に記述しましょう。

5. 解決策の立案

設定した目的・目標に紐づく課題に対する解決策を立案します。

システムだけでなく、組織構成、業務の仕組み、ワークフロー、教育などあらゆる観点で解決策を模索しましょう。
その結果デジタルをどのように活用し、どのように人と紐づくのか検討します。

具体化はできる限りしたほうが良いです。
例えば紙芝居を作ってみたり、イメージ画像を作ってみたり、デモ動画を撮ってみたり。
文字や簡単な図だけで表現するのは避けましょう。
(※ここまで検討された解決策については、事項から「施策」と表現します)

最終的にシステム全体がどのようになるか検討する際は、「SoE」「SoI」「SoR」の概念をベースに検討しましょう。現在最もスタンダードな構成となっています。

6. 費用対効果の算出

あくまで予想の数字となります。
しかしここでおおまかにでも数字を計算しておかないと承認の判断が得られません。

費用対効果の効果はお金に関することをだけではありません。
最終的にお金で換算されるだけですのでお気をつけください。

費用:
人件費、開発費、研究費など施策を実施する際にかかる費用。
システムなどの専門的な知識が必要な項目はコンサルタントへ依頼するなどが必要です。

効果:
例えば「業務を見直して無駄な業務を削減した」「面倒な作業を効率化した」「特定の業務を省人化した」といった施策を立案した際、なにに影響があるのかを整理します。
「人件費」「施設費」「システム運用費」「材料費」といった支出が減るから「年間xx円の費用削減が可能」といったように、施策に対する影響を論理立てて整理したうえで結論として効果を数字で表現します。

7. スケジュールの策定

施策を実行する際のアクションの整理、実施期間、マイルストーンを整理します。

「マスタースケジュール」と「WBS」を用意する必要があります。
「マスタースケジュール」は全体を俯瞰したスケジュールのことです。
「WBS」は「マスタースケジュール」に記載されているアクションやマイルストーンを達成するために必要なタスクを詳細化したものです。

「マスタースケジュール」の整理に際して、それぞれのアクションに対しマイルストーンごとに「なぜやるのか」「いくらかかるのか」を明確にしておきましょう。
前項の費用対効果の算出で全体の金額やそれぞれの施策に対する金額は出せていますが、さらに細かく時系列的にいくらかかってくるのか予想でも出しておくことが納得感につながります。

8. ネクストアクションの策定

直近のスケジュールをより詳細な粒度で整理します。

3ヶ月〜6ヶ月程度のスケジュールをより具体的に明記し、「誰が」「いつまでに」「なにを」「どこまで」「どうやるのか」を明確にします。

もし分からない場合は、外部の助力も得ながら策定しましょう。
これがないと、「で、これからどうするの?」で終わってしまいます。

そしてスケジュールと同様に重要となってくるのが「なぜやるのか」「いくらかかるのか」です。
なぜ直近このようなアクションを実行しなければいけないのか。それにはいくらかかるのか。
これがないと走り始めることができません。

おわり

さて、いかがだったでしょうか。
はぁー、単純作業ばっかでつまんねぇな って感じですかね。(令和ロマンのネタです)

いままでDXコンサルとして提案してきた私が大変と感じたのは、「課題の分析」と「対応策の立案」です。
いろんな人と話をしたり、実際の現場に赴いたり、データと睨めっこしたり…。
単純作業ばっかでつまんねぇな って感じでした。(令和ロマンのネタです2回目)

進め方を整理してみると結構やることはシンプルで一般的なことなので、是非一度DX担当者の方はチャレンジしてみてください。
ダメだったーという方はTwitterに連絡ください。
メールでも構いません。

it.dax.cs@gmail.com

それでは、良い年末をお過ごしください。

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