ある夜の思い出と、おばあちゃんたちの記録。
おばんです。仙台で写真を撮っているイタリーさとうです。今日もローカルな話し失礼します。
1年近く前のある夜のこと。ずっと気になってたお店に行ったときの話し。
ネットで調べても何も情報が出てこない。
そんな場所にこそ、大切な何かがあるような気がしている。
だからこそ私はそんな場所を求めて足を運ぶ。
入るか入るまいか、毎回葛藤と躊躇がないと言ったら嘘になる。
緊張と期待の狭間で揺らぐざわつく心。
そんなドキドキを抱きながら扉を開けた。
店内は小さなテーブル席とL字のカウンター席。
先にテーブル席でおばあちゃんたちが3人談笑していた。
私を見るなり物珍しそうな顔をしていた。
「いらっしゃ〜い」
お店のママがそう声をかけてくれると私はそのおばあちゃんたちの横のテーブルに案内された。
おばあちゃんたちはとても気さくに話しかけてくれた。
一緒にはじめましての乾杯。
こちらが来ていた常連のおばあちゃんたち。
酒もタバコも吸うクールなおばあちゃんだった。
バンダナのおばあちゃんはとにかくかっこいい。
写真撮ってもいい?と聞くと、快く「可愛く撮って」と言ってくれた。
ごめん、かっこよく撮りたくなる。
バンダナおばあちゃんのお世話役のおばあちゃん。
とてもお洒落な髪型で素敵だった。
自分の話し、おばあちゃんたちの話しやお店の話し。
あっという間に時間が流れ、気づけば瓶ビールがたくさん空いた。
(私は酒に強くないのでほとんどおばあちゃんたちが飲み干した笑)
お店のママは私を最初見た時に、たまに店にくるモンゴルの留学生かと思ったらしい。
「あたし、留学生かと思った〜」
「いいえ、はじめてですよ笑」
このやりとりは結局、お店にいる間に8回以上繰り返した。
お酒を飲むと同じことを何回も言う人はたくさん見てきたが、ちょっと別次元で繰り返された。
あれ、またこのセーブポイントからロードし始めた!と思いながら、それも面白かったからよし。
店内には、私と見間違えた留学生つながりでもらったモンゴルのお土産や、実際にモンゴルに旅行へ行ったときの写真などが飾られていた。
観光地で買う提灯。
私の祖父の家にもあったなぁ。
私が佐藤だと名乗った流れで、バンダナのおばあちゃんが
「佐藤斎藤いんのくそ高橋すずき踏んづけた」という奇天烈な言葉を教えてくれた。
いんのくそとは犬の糞。
犬の糞のようにありふれた名字だという言葉らしい(笑)
店内にはカラオケも置いてあった。
ブラウン管に荒い画質。
全てが素晴らしい。
「おばあちゃんの歌、1曲聞きたいな〜」とお願いしてみた。
言ってみるものだ。
昔の歌謡曲を歌ってくれた。
いつの時代のものかもわからなかったが、歌が上手でとにかくかっこよかった。
とにかく楽しいく心温まる夜の出来事だった。
私が今まで撮った写真の中でもこの1枚は特にお気に入りだ。
「また来よう」
そう思ってからしばらくの時が経った。
そして、先日。
そのお店は跡形もなくなっていた。
いつか行こうと思ってた場所に行けなかった後悔よりは、足を運べただけでもまだいいのかもしれない。
たが!だからといって!
また行こうと思ってた場所が知らぬ間になくなっていた後悔もきついじゃないか!
私はこんな後悔をあと何回繰りせばいいんだろう!
ネットに何一つ情報が転がっていない場所の
今後何一つ記録されることもない場所のこと
やりきれない思いの中書いた次第である。
楽しい夜をありがとう。
またどこかで!
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