『研究熱心だが勝負弱い。マリノス内定のモンベール監督の実像に迫る。日本への適応性は?』を読んで。

フットボールチャンネルに本日アップされたこちらの記事。

研究熱心だが勝負弱い。マリノス内定のモンベール監督の実像に迫る。日本への適応性は?
http://www.footballchannel.jp/2014/12/15/post60915/

横浜の新監督に就任すると噂されているフランス人監督、エリック・モンベール氏について書かれたコラムを転載しつつ、思うこと。

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「モンベール氏は、1955年4月21日生まれの59歳。
選手時代は、屈強なフィジカルを武器にしたミッドフィルダーだったが、プロクラブでプレーしたのは1シーズンのみ(ランス)で、29歳で指導者の資格を取得すると、早くからコーチ業のキャリアをスタートさせた。」

「モンベールは、体育教員の資格も持つ傍ら、戦術研究にも熱心で、戦術本もこれまで3冊出版している。また、地方の強化委員を務めた経歴もあり、若いタレントを発掘する才には長けている。
 よって、フランスでは、『指揮官』というより『研究者』『育成者』としての評価が高い。」

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プロキャリアに置ける名声がないからこそ、より研究に熱を入れ、論理的にフットボールを分析し、その戦術や分析をもって結果を残しキャリアアップしていく、ってのはよくある話。

能動的にアクションを起こしつつ、攻守両面で主導権を奪うサッカーの継続というテーマの元、更に高いレベルへと昇華することが彼のタスクとなるわけだけど、「研究者」だからこそ様々なフットボールを知っているはず。それを具現化する術を持っているとすれば、横浜のレベルアップに大きく貢献してくれるのでは。

ただ、巷で話題にもなっているけど、Jのトッププレーヤーですら「本当」のゾーンディフェンスを「触れず」に育ってきている側面など、戦術的なフットボールへの慣れがないという要素もあったり。当然、横浜においても例外ではなく、高いレベルの戦術を消化し、表現できるかどうかは別問題。絵に描いた餅となる可能性も否定出来ない。これは横浜の選手の戦術理解力との兼ね合いか(不安)

又、育成面での評価の高さは非常に魅力的。クラブとして育成に力を入れたいという志向、才能ある選手を抱えながらも伸び悩みも見られる現状を考えると、様々なキャリアの中で培われたメソッドが刺激となり、殻を破るような形となれば万々歳か。
また、タレントを見る目があるということだけに、そのお眼鏡に叶うようなタレントの獲得が出来ればチーム力の向上につながるのかな、と。

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「当時は3部(ナシオナル)に所属していたが、1シーズンでリーグ2に昇格させると、翌年にはリーグ1にステップアップと、2シーズン連続で昇格を実現し、02-03シーズンには年間最優秀監督にも選出されている。」

「トゥールーズをリーグ1で3シーズン率いたあとは、フランスサッカー協会に引き抜かれ、U-18監督を1年、U-21監督を3年務めた。そして2012年12月からは、先日まで籍を置いていたル・アーブルの監督、というのがここまでの略歴だ。」

「2009年大会予選時には、現A代表の主将でGKのロリスや、マテュイディ、キャバイエ、シソコ、レミーらがいた。2011年大会予選のメンバーも、マンガラ、カプー、ゴナロン、ヤンガエムビワ等、タレントには不足していなかった。」

「そしてプレーオフで出場を逃した2013年大会予選のメンバーは、バラン、カベラ、グリーズマン、ラカゼットなど、来年のユーロで活躍するであろう現代表の精鋭たち…と、これだけの逸材が揃っていた、ある意味黄金世代だったにも関わらず、欧州選手権出場を逃したのは、フランスユースサッカー史の七不思議とさえ言われている。」

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キャリアの光と影…
チームとしての完成度の高さを示す2年連続の昇格、指導力を評価され、レ・ブルーへ栄転、まさにシンデレラ・ストーリー。

しかし、この先にキャリアの落とし穴。現在A代表の主力となっている才能あるタレントを数多く抱えながら、結果を残せず。彼のキャリアが地に落ち、指導力・勝負強さという点で疑問視される大きな要因となっている模様。山本昌邦みたいなもんか。昌邦さんは五輪には出たけれど。

またタレントをまとめる厳しさやカリスマ性といったリーダーとしての威厳を示せず、悪事を許してしまったという一件も…
ま、こういうのは日本人選手が大半のチームでは早々ありえないとは思うけれど…強いパーソナリティを持つリーダーではないのかも。

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【まとめ】

この記事では具体的にどのようなサッカーをするのか、というのは見えてこないけれど、指揮官となる人間がどのようなキャリアを歩んできたのかが分かった。

異なる言葉を操り、異なる文化を持つ人間が、異なる文化の中で新しいチャレンジをするわけだから、簡単なことではない。正直なところ日本のサッカーへのフィットは未知数であり、不安も大きい。
ただ、彼の英知と経験がクラブの発展に大きく寄与し、新たなステージに進める可能性もある。違う文化を取り入れる、そんな化学変化を求めたからこそ、彼に白羽の矢を立てたはずだから。

何にせよ、今出来ることは彼が横浜に馴染み、いい仕事をしてくれることを願うことだけ。

最後に、この記事を書いてくれた小川由紀子さんに感謝。

確か、footballistaとかに寄稿している方だよね。

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