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ARMの2024年Q3決算の振り返り。

2024年2月7日にARMの第三四半期決算が発表されました。

予想($)EPS0.25
実積($)EPS0.29⭕

予想($)売上高761.62M
実積($)売上高824M(+13.8%)⭕


◆NEXT Quarter(来期)のガイダンス◆

※ガイダンス上方修正⇧

予想($)EPS0.21
提示($)EPS0.28~0.32⭕

予想($)売上高780.31M
提示($)売上高850M~900M⭕


◆Full Year(今年通年)のガイダンス◆

※ガイダンス上方修正⇧

予想($)EPS1.07
提示($)EPS1.20~1.24⭕

予想($)売上高3.05B
提示($)売上高3.155B~3.205B⭕


カンファレスコールの説明【要約】

●業績

記録的な収益を達成し、ガイダンスのレンジ上限を超え、全体として非常に満足できる結果→ガイダンス上方修正

ロイヤリティ収入は、v8製品からv9製品への移行と、スマートフォン以外での市場シェア拡大により前年同期比30%以上増加

ライセンス収入も好調で、前四半期比ほぼ記録的な水準に

第4四半期も記録的な四半期を予想し、ガイダンスを引き上げ

成長要因

Armv9製品の普及:v8製品の2倍のロイヤリティ率

スマートフォン以外での市場シェア拡大:ロイヤリティ収入の65%がモバイル以外

AI関連の需要:あらゆるAIにエネルギー効率の高いコンピューティングが必要→今後、高価なNVDAチップ以外の必要性。

コンピュート・サブシステム:設計の検証と製品化時間を短縮

●戦略

v9製品への移行を加速

スマートフォン以外での市場シェア拡大

AI関連の需要に対応

コンピュート・サブシステムの提供

●見通し

長期的かつ持続的な成長を期待

カンファレスコールの要約①


ここでは、Harlan Sur氏とGary Mobley氏がArmの業績、特にライセンス収入と中国事業について質問しています。

質問の要旨

  • 近年のライセンス収入増加の背景は?AI特化IPの採用、またはより強力なコアへのニーズがあるのか?今後のライセンス収入の勢いは続くのか?

  • Arm中国の好調の要因は?中国以外で10%以上の売り上げを占める顧客はいたか?

  • ロイヤリティ単価の上昇はArmv9によるものか?今後も上昇傾向は続くのか?

回答の要旨

  • Rene Haas氏、Jason Child氏

    • AI関連のニーズによるArmの幅広い技術への需要増がライセンス収入の増加をもたらしている。

    • ライセンスについては今後の動向を見守る必要があるが、ロイヤリティ収入については安定傾向。

  • Rene Haas氏、Jason Child氏

    • Arm Chinaの好調は、自動車・インフラ向けの市場におけるシェア拡大によるもの。中国市場はグローバルの動向に沿った動きが見られる。

    • Arm China は全体の売り上げの25%を占め、これは関連会社の売り上げ全体の約30%のうち最も大きな割合。

  • Rene Haas氏

    • ロイヤリティ単価の上昇は主にArmv9への移行による。さらに、デバイス内のv8とv9の比率もv9優勢へと変化しており、より高度な技術が求められている。これは複合的な効果でさらなる成長につながっている。

カンファレスコールの要約②


ここでは、Thomas O'Malley 氏がArmv9の採用状況と業績への影響について尋ねています。

質問の要旨

  • Armv9の成長はどの分野が牽引役か?特にAIの役割は?スマートフォンとデータセンターのどちらで採用が伸びているのか?今後の浸透率の見通しについて。

  • 決算期末にかけて好調だった背景、および次四半期の見通しは?特に6月のスマートフォン市場の低迷がArmにとってどのような影響を与えるか?

回答の要旨 (Rene Haas氏)

  • Armv9の採用はデータセンター、エッジデバイス(スマートフォンなど)双方で増加している。AIワークロードの増加がArm製品の優位性(性能、電力効率)と合致して需要を拡大している。

  • Armは業界の特定分野に依存した企業ではない。非常に幅広い市場での採用や、v8からv9への移行に伴うロイヤリティ率の向上といった独自の成長要因を備えている。具体的な次四半期の展望は提示できないが、こうした背景は理解してほしい。

カンファレスコールの要約③


Vivek Arya氏の質問は、Armv9の浸透度の指標についてです。
質問の要旨

  • v9が占めるロイヤルティ収入の10%~15%という数字は、顧客数・チップ数・それとも実際の売上によるものか?また、四半期ごとのv9搭載スマートフォン出荷台数を把握・比較することは、v9採用状況を追う上で有効な方法か?

回答の要旨(Rene Haas氏)

  • 10%~15%という数字はArmのロイヤルティ収入全体に対するv9の割合。

  • 四半期ごとのv9搭載スマホの具体的な出荷台数は明らかにできない。

  • しかし、ほぼ全てのプレミアムスマホがv9を採用しており、このセグメントは他のセグメントと比べて好調なので、v9のロイヤルティ収入に対する影響力が見て取れる。

  • 一般的に、プレミアム端末で採用された技術は、時間の経過とともにハイエンド、ミドルレンジといった他のクラスにも普及していく傾向がある

カンファレスコールの要約④


Mehdi Hosseini氏は、市場セグメント毎のArmv9採用率と、それによる市場シェアの変化について質問しています。

質問の要旨

  • スマートフォンとデータセンターなどの市場セグメントごとのv9採用割合は?

  • 2023年末にデータセンター向け10%、ネットワーキング向け26%だったArmの市場シェアは、2024年末にどのように変化していると予想しているか?

回答の要旨

  • Rene Haas氏

    • プレミアムスマホはほぼ全てv9。ハイエンドなデータセンター向けチップもv9が主流。

  • Jason Child氏

    • ロイヤルティ収入ベースでは現時点ではスマートフォン向けのv9ウェイトが高い。これはスマートフォンの更新サイクルの短さが理由。今後他の分野でも採用は拡大していくと予想される。

  • Rene Haas氏

    • 具体的な市場シェア数の提示は現時点ではできないが、シェア拡大の方向性は好調であり、AIの台頭がそれをさらに加速している。

カンファレスコールの要約⑤


Vijay Rakesh氏はクラウドコンピューティングとモバイル分野におけるArmの成長見通しについて質問しています。

質問の要旨

  • クラウドコンピューティング分野で、名だたる顧客(GH20、Graviton、Cobalt100)を抱えるArmの2024年の成長見通しは?

  • プレミアムスマートフォン分野におけるArmv9の浸透率はどの程度か?今後どのように拡大していく見込みか?

回答の要旨

  • Jason Child氏

    • クラウド分野を含む市場シェアのアップデートは今後90日以内に提供する予定。

  • Rene Haas氏、Ian Thornton氏

    • プレミアムスマートフォンはほぼ全てがv9に移行済み。他のセグメントへの浸透はより緩やかだが、プレミアムセグメントは高性能コアを多く搭載するため、ロイヤリティ収入に大きく貢献している。

    • v8からv7への移行を参考にすると、スマホ全体へのv9の浸透には3~4年程度かかると予想される。

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