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DXが遅れそうな「あの」証明書について、当事者が勝手にDX化をイメージする

自己紹介

 
CivicTech & GovTech Advent Calendar 3日目です。
本日は、一般社団法人イトナブ石巻のPenが記事を書いていきます。

自己紹介をどこまでするか、最近よく迷うのですが、今回は一通り書いてみます。ご存知の方は、次のセクションに飛ばしてください


私は、宮城県石巻市にあります、一般社団法人イトナブ石巻という団体で、ITと障害福祉という観点で、動いておりました。代表的なプロジェクトは、「みんなのトイレマップ」というプロジェクトで、石巻市内にあります公共の建物や店舗にある多目的トイレを可視化することによって、多目的トイレを利用したい車椅子ユーザーの方や、お子さんと一緒にお手洗いを利用されたい方、ストーマを私用されたいオストメイトの方に、自分に合った多目的トイレを選んでもらうための、サイトを作っております。
私自身も、出産の障害によって脳性麻痺という病気を抱えており、手足や言語に障害を抱えて生きております。実際に、車椅子は利用してはいないのですが、子供の頃から周りには車椅子を利用する人たちに囲まれて生活していましたので、こうした経験を持って「みんなのトイレマップ」というサイトを作っております。

自分にとって、今すぐにでもDXして欲しいもの

今回の記事は、自分が抱えている問題を提起する記事となっています。後半では、その問題をデジタルを使うことでどのように進展させられるか、当事者の目線で書かせていただきました。
さて、今年私は自分が持っている身体障害者手帳を更新する出来事がありました。どうして更新が必要になったかと言いますと、電話のリレーサービスを利用するにあたり、私の今までの手帳ですと身体のみしか認定されていないので、言語障害者が、利用する電話リレーサービスは利用できないという何とも言えない問題が生じたのである。
私のLTやセッションをご覧になったことがある方は、この何とも言えない気持ちを理解してくださるでしょう。
それで、そのサービスを利用するために病院に行き、障害の認定の資料を作り、今まで持っていた身体障害者手帳に、たった1行含めるためだけなのに、私の身体障害者手帳が更新されたのです。
前回の更新は90年代の後半、近頃になって、手帳に貼ってあった10代の写真を二度見されなくなるのは助かるのであるが、令和の身体障害者手帳どうなるんだろう、期待もしていなかったがやっぱりだった。

「紙ベース」

いつもの独自に紙に印刷され、プラスチックのケースにいられて、たった1行「言語障害5級」と新たに書き加えられた新しい身体障害者手帳を渡されたのである。


こちらは、自分の障害者手帳の表面である。裏には、顔写真や、障害の等級が記録されている。ちなみに、このカバーケースの色や手帳の形は、交付する県によって異なる。つまり、他県でこれを見せても一回では認識されないケースも生じている。

なぜ、私はこれを持ち歩いて生活しなきゃ行けないのだろう

そもそも、どうして障害者手帳が必要なんだろうか?私は高校生くらいから、出掛ける際には携帯するように親に教えられたので、いつも持っていることが当然のようになっておりますが、この証明書をどうして持ち歩く必要があるのだろうか。まず、改めて厚労省にある障害者手帳の定義を調べて見た。

障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称した一般的な呼称です。
制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なりますが、いずれの手帳をお持ちの場合でも、障害者総合支援法の対象となり、様々な支援策が講じられています。
また、自治体や事業者が独自に提供するサービスを受けられることもあります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html 引用)

この定義を見るならば、つまり自分が障害認定を受けていることを証明するために、必要な証明書である。確かに見えない、見えづらい障害もありますので認定を受けていることを示す必要は生じてくるのであるが、それが紙ベースの証明書である必要があるのだろうか。

「障害」を個人個人が、どう受け止めているか少し考えて欲しいのである。私は、ご存知の方もおられると思うが、前向きな性格であっても、「障害」は、ネガティブな事であると思うときがある。負い目を感じるときもあるし、自分の障害によって迷惑を掛けては行けないと考えるときもある。こういう気持ちを感じるものに、証明や認定や証明書がいる社会であれば、当然住みにくい社会になると私は正直感じるのである。

我流、「デジタル版障害者手帳」

一方で、何らかの障害を抱えている方を保護することも必要である。
そこで、ポイントとなることが障害者手帳のデジタル化である。障害者手帳をデジタル化することによって、まず携帯しやすい証明書としていくことが大切である。障害者手帳を忘れただけで、本来受けられる割引きやサービスが受けられないという話もある。社会において常に確認が必要なものであるなら、より携帯しやすいように、備える必要があるのではないだろうか。たまに、荷物を両手に持ってるときにバスで下車する前に、障害者割引きを適用するので、手帳を見せるように、求められるときもある。「自分、身体が障害なんだけどな」私の心の声はそっと呟くが、こういう社会なってる以上示しやすい書を作るべきではないだろうか。
加えて、このデジタル化をすることに決済機能をぜひ加えて欲しい。障害者割引きを適用させるために、電子的にやり取りができる時代にわざわざサービスカウンターに出向かなければ行けない。近年の労働者不足も関係しているのか、こうした手続きを面倒に感じるご担当者もおられる。交通などの決済はIC可が主流になってきた。ではそのIC決済時に自動で割引きが適用されたらどうだろうか。こうした仕組みを作るのであれば、お互いに良い関係を作り上げ、どんな人もより出掛けやすい社会、それは多様性に富む社会を作ることができるのではないかと私は思うのである。さらに、マイナンバーに紐付けするならどうだろうか?個別の情報を一元で管理することができて、福祉に関する助成金や、福祉サービスの利用履歴、職歴などが一元で管理することによって、意思を伝えるのに困難な人であっても、データを持って相談や次の支援に繋げることができるのではないだろうか。

私の望む社会

日本は、福祉の面で後進国である。今回私が書いたことを実装される日はまだまだ遠い話になるのであろうと、私は考える。後進国であることを認めるのであれば、ぜひ当事者の意見を聞きDXかに取り組んでいただきたいのが本音であるが、きっと一番最後にDX化されるのが福祉の分野になるのであろう。この国において障害者の社会進出が進まないのは、こうした無関心から始まっている。だからこそ、当事者としてできることは的確に、必要な発信を行い、何が必要であるかを明文化することであると、私は考え得るのである。

本日12/3は、国際障害者ディーです。日本ではあまり報じられていない国際ディーではあるが、そんな日だからこそこうしたテーマを考えてみるのはいかがでしょうか。
最後まで、お読みいだだいたことに深く感謝いたします。

余談

近年、障害者手帳をスマホに取り込めるサービスも実装されているが、これは公の証明書であるので、アプリの中で、障害者割引きの情報などと一緒に扱われることに、私自身はすこし違和感を覚える。さらに、アプリに手帳類を読み込ませる段階で、正しく写さないと読み込まれない仕組みは、身体に障害がある人にとって不利である。
こうしたサービスを実装するときに、当事者の目線をどこまで取り入れていけるかが、大切なキーとなるのではないだろうか。

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