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大学生が、島でみかんを収穫した話

少し肌寒いのは、冬の訪れか、それとも海風のせいか。ここは松山の海岸沿い。広島や九州と結ぶ松山観光港の少し外れにある、高浜港。古びた木造駅舎が目印の伊予鉄高浜駅の正面にある小さな港に、私はいた。私は港から海を、そしてその先にある島を眺めていた。興居島。私が朝早くにここにいる理由。それこそがこの島であり、私はここに向かおうとしていた。
一言で言えば、バイトである。私は先輩のツテからLINEで簡単に応募できる農業バイトを紹介してもらい、それならいっちょ、と言った感覚で使ってみたのである。

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瀬戸内海は少し、荒れていた。
小さな港だが、いつしかそこには男たちが集まっていた。恐らく、私と同じみかんの収穫を目的に征くのだろう。男たちはお互い顔見知りのようで、互いに挨拶を交わし、寒さに縮こまりながら煙草をふかしている。
吸えない私は、自販機で暖かいコーヒーを買った。タブを引き、飲みながら男たちの話に耳を傾ける。他愛もない話だ。政治がどうだとか、今年のみかんはどうだとか。
港から伸びる桟橋には、船が着こうとしていた。

未だ見ぬ土地で、互いに知り得ぬ人のもとで、どんな業務を行うのか。不安はあったが、私はそれよりも、目の前のこれから起こりうるだろう新たな出会いと体験に心踊らせた。コーヒーはもう冷めてしまったが、私の心は前を向いていた。

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桟橋には船が着こうとしていた。

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と、言うわけで、どうも皆さんこんにちは。和製クリス・ハートこと、 #塩顔男子絶対殺すマン です。
タイトルにもあります通り、この前みかん獲ってきました。使用したのが「Alagri」というシステムで、なんとLINEで簡単に申し込める。めちゃくちゃお手軽やけど、実際どんなもんなのか?!ってのを体験したかったのと、我が愛媛県をみかん県にするために支えるみかん農家さんに単純に興味があったから、やってきました。

バイトの内容はみかんの収穫と、選別のお手伝い。収穫したのは今一番アツい「紅まどんな」です。野球ボール、物によっては馬の睾丸並みに大きな、とっても立派なおみかんでした。

収穫したらキャリーに入れて、ある程度溜まったらトラックに積んで、の繰り返し。紅まどんなはデリケートなので、雑に扱えないんだとか。一個一個丁寧に手で回収します。地道にやればできるもので、半日でトラック一台分は収穫出来ました。収穫していても、ハウスの中のオレンジ色が消えて行き、代わりにみかんの葉の深緑が目立ってくるのを見るのは達成感を感じさせてくれます。

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午前中の3時間くらいで収穫した量。キャリーは3段積み重なってます。達成感。

お昼ご飯は、自分が買ってきたコンビニ飯。農家さんのお宅にお邪魔して、一緒にいただきます。お昼のワイドショーを見ながら、「娘が3人おるんよ。君らと一緒くらいかなぁ」と教えてくれました。1時間くらい楽しくお話をすると、午後からは別の作業に移ります。

午後からは選別作業のお手伝い。
小屋の中で、紅まどんなについた汚れを一つ一つ手で落として行きます。
実は、「紅まどんな」という名前。正確にはこれは品種名ではありません。正確な品種名は「愛媛果試第28号」。この中からいろんな基準で分類され、それぞれ値段が付きます。つまり、同じ木から出来たみかんでも、中には紅まどんなを名乗ることすらできない種類もいるのです。それを分ける作業です。
紅まどんなを拭き、ケースに分けて、いっぱいになったら積み上げて、倉庫の中へ。これを4時間ほど繰り返しました。これが苦しいかと思ったらそうでもない。ラジオはずっと流れているし、農家のおじさんと話しながらやれる。夏はこの裏の海は穴場なんだぞ、といった軽い話から、これからの農業の話について、みたいな重い話だとか。単純作業なのもあって4時間は一瞬でした。

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汚れを取る手袋で、一つ一つ拭いていく。

終わったら、おうちに戻って給料をいただきます。7:30〜16:30までの勤務で9000円。お土産に紅まどんなもこそっといただいて帰ったので、かなりバイトとしてもお得なだと思います。

「これ、売り物にならんけん〜!!」ってくれました。美味しかったです。

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 「ちょっとスーパーよっていい?」

 一緒にバイトに来ていた仲間に言われ、ボロボロの自動ドアをくぐる。この島唯一のスーパーマーケットはお弁当類は売っていない。正確には、朝のうちに売り切れる。しかし、仲間は腹が減ったのか、カップラーメンを買っていた。
 そういえば。
 今日の業務が一瞬で終わってしまったためか、私も腹が減っていたのに気がついた。自分も彼の後に続き、カップラーメンと、缶コーヒーを買う。船を待つまでの桟橋でタブを引き、同じく船を待つ人の会話に耳を傾ける。日は紅くなり沈みかけ、肌寒くなってきた。仲間は大盛りの豚骨ラーメンを一心不乱にすすっている。

 私は、今日新しい世界を見た。小さな島の、小さな町の、小さなみかん農家。しかし、そこで垣間見たものは、とても大きなエネルギー。もし、これを読んでいる君が興味があるならば。普通の大学生では味わえないこの体験、感覚、そして景色。愛媛だけの経験が、君を待っている。

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愛媛だけの経験が、君を待っている。

今日のPoint

AIagri 様

面接なしでLINEで簡単に申し込める農業バイト。これからの時期はミカンの収穫時期なので激アツです。ここをクリックしてより友だち登録していただくと申し込みができます。(LINEのページに飛びます。)

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