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【今月のトークテーマ】幕張シティで2077年の未来を見てきた

 仕事のついでにTGS会場を回って、ブースの感想を語っているだけの記事なので、有料設定をしているものの、最後まで全文を読むことができます。

 前回に続いて、東京ゲームショウ(TGS)2019の会場レポートをお届けします。時間に追われてバタバタと会場を巡っているなかで、オレがどうしても見たかったのが『サイバーパンク2077』ブース。

 もともとがアナログゲーム好きなので、本作の原作となるテーブルトークRPGは、『2020』がつく前の『Cyberpunk』英語版初版を、今は無き書泉ブックマートで買っている(古参アピール)ぐらい、この作品には思い入れがあります。

 でもそれだけではなくて、オレとしてはこのゲームは間違いなく、現在のビデオゲームの最前線の1つだと思っているので。それにしても、ほぼ個人出版に近いTRPG(原作版元のR.Talsorian Gamesは、作者であるマイク・ポンスミス氏の会社)と、ポーランドの企業が世界のゲームの最先端をひた走るなんて、なんとも痛快じゃないですか。

 さて、ビジネスデイ2日目の閉幕直前に並ぶこと数十分。ようやくシアターに入場して、本作のリアルタイムデモを見ることができました。といっても、こちらのデモについては、いろんなライターさんがいろんなサイトで、関係者のインタビューを交えたハイクオリティな記事を公開されています。以下の文は、ロートルのゲームライターによる単なる感想で、情報的な価値は特にありませんので、念のため。

 今回のデモで最大の注目点はやはり、日本語吹替を含めたローカライズがどのようなものになっているかでしょう。もちろん、今回のローカライズはあくまでデモ用のもので、製品版では変更が加えられるでしょうが、キャストも含めた基本的な方向性は、ここで示されるわけですから。

 自分は他のゲームや映画も含めて、個人的に日本語吹替のキャストについては特にこだわりがないため、その点に関してアレコレ言うつもりはありません。そのあたりが気になる人は、上の日本語吹替版トレイラーをぜひチェックしてみてください。ただ、本作のローカライズに関しては『ウィッチャー3』同様、ものすごく手間をかけて丁寧に行われていることが、今回のデモからはっきりと伝わってきました。

 一例を挙げると、デモの中で主人公V(ヴィー)がハイチ人ギャングに会いに行く場面があるのですが、ハイチ人ギャングは外国語(※ハイチ・クレオールと呼ばれる、フランス語と西アフリカの言葉が混合された言語)を話します。この際、音声は外国語のままで、画面にはまず外国語のテキストが表示されてから、それが少しずつ日本語の文字に変換されていくという描写が行われているのです。おそらく英語版に実装されているであろう、こんな面倒くさい表現が完全に日本語に移植されているのは、日本語文化圏の人間として有り難い限りです。

 ところで、この表現からも分かるように、本作では会話する相手や街ですれ違う通行人のセリフが、一人称視点で描かれる画面上にテキストで表示されます。それだけでなく、会話の人物や通行人の名前も文字で表示されます

 これらはおそらく、単なるゲームとしてのUIではないはずです。これらは人体改造によって視覚がエンハンスドされた主人公の目が見ている、AR的な機能の表現でしょう。つまり本作ではゲームのUIそのものが、人体改造が当たり前になっている作品の世界観と一体化しているわけです。

 ここで思い出されるのが、ちょうどTGSの開催直前に話題となった、本作のカットシーンが「没入感」の点から、一人称視点中心で描かれると発表されたことです。

 そもそも一人称視点による主人公の視覚そのものが、2077年の世界観と一体化しているのであれば、それがカットシーンの演出からも切り離せないのは当然です。たしかに『ウィッチャー3』のような三人称視点のダイナミックなカットバックを見てみたい気もしますが、この発表はきちんと理由のあるものだと確認できただけに、個人的にはどのような表現を見せてくれるのか、大いに期待しています。

 40分以上に渡るリアルタイムデモを見ていて、なによりも感じたのは、本作はやっぱり「RPG」なんだなということです。こうしてデモを見るだけでなく、自分自身で主人公を操作して世界の中を歩き回り、自分自身で行動を選択して、その結果を良くも悪くも受け入れる。これを何時間も繰り返すことで初めて見えてくるものがきっとあるはずだと、今回のデモを見て強く感じました。そんなゲームプレイを体験できる日が、今は待ち遠しくて仕方ありません! 

▲こちらの映像には、TGSで公開されたデモ映像に相当するパートが、英語版の映像で公開されています。

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