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社交辞令

 妻くんの話である。

 その人とは、共通の趣味を持っていた。アニメヲタクなのである。職場で知り合ったが、その人は、辞めていった。その後、妻くんもその職場を辞めたが、ぽつぽつとメールでのつきあいはつづいていた。

 半年前のことである。
「この春、****の映画化が公開されるから行きましょう」
 その人からメールがきた。妻くんより、年下である。
「いいよ~」と返事をした。
 この春とは、いまである。映画も公開される。メールを送信した。宛先不明でメールが返ってきた。
「あ。メールアドレスを変えられちゃった!」
 と妻くんがいう。
「ふーん。その約束ってさ、社交辞令だったんじゃないの?」
 社交辞令を真に受けて、相手に連絡して、「あ、あれ、本気にしたの? 社交辞令というやつなんだけれどさ~」と、実際にはそうはいわないが、そのような雰囲気の気まずい空感をかもしだされ、そっけなく、断られた経験が、みなさんには、ないだろうか。私には、ある。
「わざわざメールしてきたのに?」
 妻くんがいう。
 たしかに、趣味でつながったヲタクは、あまり社交辞令はいわない気はするけれど。
「その約束って半年前でしょう? 忘れたのでは」と私。
「そうかなあ」
「メールアドレスを変更した時点で、お知らせのメールを送ってこなかったのは、それだけの関係だったってことなのでは」

人の心というものは、いまだに未知であり、謎である。


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傷は癒えず血が流れている(「スズキ」)
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緒 真坂 itoguchi masaka

小説を書いています。「アラフォー女子の厄災」「極北」「スズキ」「アナログガール」ほか、アマゾン、中野ブロードウエイ3Fタコシェ、ネット書店、めがね書林にて発売中。めがね書林では、手作り本等も発売中。新作は、郵便小説シリーズ(めがね書林)です。よろしくお願いします<(_ _)>

コメント10件

緒さま 一々解ります宗教の勧誘というか私は外国人のクリスチャンに昔教会に誘われ元来関心が深かった為(学校もミッション系とかだったし)一緒に行く時間彼女が指定した時刻、彼女が指定した場所で二時間待っていました、が結局来ず…後から偶然彼女に別の所で出逢いその事を言うと『待ってたの?日本人は誘っても来ない人が多いしどうせ来ないだろうと思って私自身も忘れていたわ』と青い目を見張ってケロリ…ウッソー…二時間待っててんで~(泣)と思いましたが…これは社交辞令とはまた違うかもですが…。その後通うようになった別の教会でも映画大好きな友達から○○○観に行かない?』と誘われ私も映画大好きでちょうど観たかった映画でもあったから『行く行く♪』と日にち時間全て約束し当日彼女に突然『あの映画ね○○さんに誘われて先行っちゃったの、だから○ちゃん独りで行ってきて』とこれまたケロリ、本人さんいわく『私は沖縄の人だから、こういうのって沖縄では普通だょ京都に来てからよく○子は非常識だってみんなから叱られるようになった』って…(^_^;)ほんまか?みたいな…これも社交辞令とは違うかな…
それと痛いほど解るのは本についてです。1度だけ共同出版をした事があります。数年位前ある事情で逢ったそこそこ有名なある方に普段noteの事もですが本についても言わない癖に何故かその時はいろんな話の流れで過去本についてポツリと言ってしまい『あら?私は本“ちゃんと‘’出してるけどあなた障害者なのによく出せたわね偉かったね』とムッとするお言葉『見せて』と言われてお見せすると『綺麗な表紙ね』と表紙だけ一瞥しoneページすら開かれる事も無く…何故か裏返して机の端っこにポンと置かれ こんなモンなぁ~~も関心も無いワという雰囲気が痛い程伝わってきて危うく落涙しそうになり珈琲を淹れに立ちました似た事例が後別人で三回程あり二度と以降言わなくなりした。その方は今から撮影なのと番宣と本の宣伝を散々して滋賀県へとお帰りになられました(作家でも役者さんでも宗教家でもないローカル色の強い方でした。滋賀県でも知らない人のほうが多いそうです)(T^T)
佳作を取ったこともあるキャリアの緒さんど同系列に書いたつもりはありませんが失礼であったならお許しください
翼猫(Tsubasa-neko)様

 いえ、いえ、私も、翼猫さんとまったく同じですよ。世間にとっては、「へぇ~。本当に本、出していたんだ~(興味ないけれど)」です。
 以前テレビで、芥川賞を受賞したばかりの作家が出ていて「職場で、これでやっと小説家と認められた感じ(大意)」と言っていました。
 その人は、文芸誌の新人賞を取り、数回芥川賞の候補にもなり、今回受賞、という経歴の人でしたが、それでも芥川賞を取って、ようやっと職場に(世間に)認知される感じらしいです。
 世間とは、しょせん、そんなものだと思っています。

 ご自愛ください。
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