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江古田の古本屋


 江古田駅近くの歯医者に通っているので、たいていその帰りにには、古本屋に寄る。日芸前の古本屋、根本書房日芸前店とブックオフ江古田店である。
 ブックオフ江古田店は、出自が古本屋で、それがブックオフになったという店舗なので、いわゆる古書が充実している。
 ブックオフは、出版の古い本は全部、108円で並べていることが多いが、ここはそうではない。古書店相応の価格である。
 つまり需要のある古書の価格は高い。
 店員さんは、見たところ、アルバイトのようだし、誰が値付けをしているのだろうか。気になるところではある。
 また、ここは、武蔵野音大が近くにあるからか、音楽書が充実している。楽譜などもある。

 根本書房(こんげん、と読む)は、いわゆる古本屋である。小さな店舗だが、おそろしく本が積み上がっている。通路が本でふさがれていて、本の壁をとおって、店内を歩くような状態である。客は、一人しか通れない。レジまでいくのが、一苦労である。
 本が客を締め出しているのではないか、というくらいの(本末転倒の)古書店である。
 そういう具合なので、お宝が眠っている感じはする。本は、私が見たところ玉石混交。いずれにしろ、全部見るには、相当時間がかかりそうである。
 私は、たいてい店頭の均一本を見て、数冊購入している。

 ある日、午前中の早い時間に行ったことがある。店主が開店の準備をしているところだった。
 店の前に、100円~500円棚を出している。
 私は出し終わった本棚を眺めながら、待っていた。
「棚を全部、出し終わるまで30分くらいかかりますけれど、いいですか?」
 と店主がいうので、かまいません、と私は答えた。
「毎日これをやっているんですが、なんでこんなことを、やっているんだと思いますよ」
 店主は苦笑していた。

 本が好きすぎるのだろう、と私は思う。

(これがレジまでの通路)


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