美容師が見たダメージ髪の原因と対策!髪を美しく保つための秘訣を公開【髪のダメージ①】
操作イトウです。
日々お客様と接していると、「髪が傷んでいて…」「バサバサするのをなんとかしたい」「こんなに傷んで大丈夫ですか?」と相談されることはとても多いです。
髪の手触りや見た目の違いはお客様にとっても体感しやすく、悩みの種になりがち。ですが美容師からすると、お客様は自分の髪が「バサバサ」しているのと「傷んでいる」のを、間違って解釈しているのでは?と感じることがあります。
ちょっと頓知のように聞こえますが、それって、どういうこと?
■「傷んでいる」と「バサバサ」は、ちょっと違う
髪の毛は、「バサバサ」だから「傷んでいる」とは限りません。
髪質やセットの仕方によっては、健康な髪でもバサバサに見えるし、反対にダメージヘアを艶々に見せることもできます。
▼髪が「傷んでいる」状態とは?
髪の毛は、「海苔巻き」のような3層構造になっています。海苔(キューティクル)、シャリ(コルテックス)、具(メデュラ)は、海苔で守られているのが健康な状態です。
髪の毛一本一本には、「キューティクル」と呼ばれる「鱗」が付いていて、鎧の役割をしています。
キューティクルは鱗のように折り重なっていて、ダメージを負うとめくれて剥がれてしまいます。そして、それは自然治癒することがありません。ダメージを負って剥がれると、隙間からシャリ(コルテックス)と具(メデュラ)は抜けていってしまい、髪の毛は弱ってしまいます。
つまり髪の毛にとってのダメージは、
①キューティクルが傷付き、剥がれること
②キューティクルが開いた隙間から、コルテックスとメデュラが抜けること
この2つです。
①キューティクルが剥がれることで一本一本が“凸凹”になります。すると手触りが悪くなり、また艶も失われます。
②コルテックスとメデュラが抜けていくと、ハリがなくなったり、薬剤の効果が弱まったり、また定着しにくくなったりします。ヘアカラーの色がすぐ落ちしてしまうのは、このためです。
■「バサバサ」とは、艶のない状態のこと
バサバサの髪は、お手入れをしていない様に見えてしまいがち。だからこそ、髪は「艶」があるように見える方が好印象になります。
例えば、艶やかで柔らかい生地の洋服からは、「ドレープ」と呼ばれる“波打つような艶”が生まれ、フォーマルなドレスに用いられます。ドレスやアクセサリーなど「艶感」はキレイで「高級」な印象を与えることができます。
それは髪の毛も同様です。髪の毛においても、一本一本がツルツルな状態であれば、ウェーブのあるヘアスタイルでも「艶」っぽく見え、「ドレープ」を演出することができます。
▼髪は、傷んでなくてもバサバサに見える
この通り、髪のバサバサは「艶」に関係しています。そのため健康な髪の毛だったとしても、光が反射しにくい状態だと「艶っぽく」見えないのです。
「艶」とは、「反射して見える光」のことです。「光」は、当たった“面”に反射して光ります。真っ直ぐな“面”であるほど跳ね返って明るく光りますが、“凸凹する”ほど、乱反射して光って見えません。
同じように、髪の毛においても“直毛”であるほど髪の毛は反射して光り、“ウェーブ”があるほど光は失われます。アジアンビューティーな黒髪ストレートは、東洋人特有の“ウェーブの無い”髪質によって艶やかに見えています。
このことから、髪はダメージ度合いに関わらず、ウェーブがあるほど艶っぽく見えなくなるとも言えます。
▼髪を「すき」過ぎると、バサバサになる
長さのあるヘアスタイルをしている方の中には、髪の毛の表面に「モケモケした毛」が出てくることを悩んでいる方も多いと思います。髪を艶っぽくキレイに見せたいのに「モケモケの毛」があると、バサバサに見えてしまう。
これは、長い毛の中に「短い毛」が混じっているからなのですが、この原因の一つは、「髪をすいている」ことです。ロングヘアになるにつれて毛量が増えると扱いにくいため、美容師さんに「すいてください」とオーダーする方も多いと思います。
髪の毛は、長い方が真っ直ぐに落ちやすくなります。これは髪の毛にウェーブがあっても、毛先が“重り”の役割をして、ウェーブを引っ張っているからです。
しかしセニングで切ると、髪の毛には「短い毛」がたくさん作られ、短くなった毛には長さの“重り”が無くなり、表面にウェーブが出やすくなります。
つまり、過剰に髪を「すく」と「モケモケの毛」が増えて、結果的にバサバサに見えてしまうのです。
■傷むと手触りがゴワゴワするのはなぜ?
髪の毛において一番感じ取りやすいダメージは、手触りの「ゴワゴワ感」です。
バージン毛(一度も薬剤に触れていない髪のこと)にカラーをすると、少なからず体感することになります。これは、キューティクルが外からの刺激によって傷んだり剥がれたりしたことで、凸凹しているからです。
さらに、キューティクルが凸凹になっていることで、光が乱反射しやすくなります。つまり、艶も出にくくなるのです。
▼ダメージを負うと、髪色が明るくなるのはなぜ?
髪はダメージを負うと、髪色は明るくなることがあります。これは、キューティクルの隙間からシャリ(コルテックス)にある色素が流出している状態です。
パーマやヘアカラーをしていなくても、毛先が黒髪から茶髪に褪色(色が抜けること)することは珍しくありません。同じように、髪にダメージがあるほど、染めたヘアカラーは抜けやすくなります。
また、ダメージが重なった髪は、毛先の先端部分がキラキラすることがあります。これは、キューティクルの剥がれた部分が乱反射しているからです。よく見ないとわからない程度ですが、毛先が枝毛になるほどのダメージがあると起きやすい現象です。
■髪が傷む原因は、2つ。そのダメージ度合いは?
髪が傷む原因は、「外的刺激」によるものです。そもそも、頭に髪の毛が生える理由も「繊細な頭部を守るため」と言われています。
「外的刺激」は具体的に2つに分類されます。
①日常生活での「外的刺激」は弱、中ダメージ
髪の毛は「紫外線、強い日差し」「摩擦」「プールの塩素」「海水」「シャンプー」など、様々な外的刺激からダメージを追います。
そして、これらは「弱ダメージ」なので体感しにくく、徐々に蓄積されていきます。そのため、気付いたらダメージを受けていた、ということになりやすいです。
比べて、「中ダメージ」にあたるのが「ドライヤー、ブロー」の熱風や、「コテ、アイロン」の熱による刺激です。
髪はブローやアイロンで適度に熱をあてると、艶髪にすることができます。これは、キューティクルは「熱に反応して閉じる」習性があり、凸凹がおさまるからです。
そのため、一見ツヤツヤになったように感じますが、毎日積み重なると、ダメージが蓄積されます。
②美容室の薬剤での「外的刺激」は強ダメージ
ヘアカラー、ブリーチ、ストレートパーマ(縮毛矯正)、パーマ、などの薬剤は、必ず髪の毛のダメージを伴います。日常生活の刺激と比べると、「強ダメージ」にあたります。
特に、ブリーチを要するハイトーンカラーなどは、強ダメージを受けることが前提の施術なので、その後のヘアケア次第では、髪の毛のライフゲージは大きく変わります。
■【ヘアケアの概念】髪の毛はロケットえんぴつのように伸びる
とはいえ、お洒落をするためにはヘアカラーやパーマ、コテやアイロンを使うことは必然です。ヘアケアは、そのダメージとうまく付き合いながら、「いかに髪を保護して生活を送れるか」が大事です。
髪の毛は、根元から生えています。一番健康な状態である“根元の毛”は、ロケットえんぴつの様に次第に“毛先”になります。そのため何年もかけて徐々に“毛先”になる段階で、外からの刺激を受け続けてダメージを負っていきます。
お肌の場合、古い部分は循環されていきますが、髪の毛は切らない限り古くなった髪が一番先端に鎮座し続けます。
つまり一番健康な根元の毛が、そのまま毛先まで伸びれば、ダメージのない髪の毛になるのです。
▼トリートメントは「万能薬」ではない
更に、髪の毛は「補修」したトリートメント成分を保っておくことができません。髪の中に入ったトリートメント成分は、中で定着することなく、徐々に抜けていってしまうのです。
これは、システムトリートメント(美容室で行うトリートメントのこと)であっても同様です。どんなに優秀なトリートメントも、「髪の毛の中にずっと定着する」ということはできません。
つまりトリートメントの機能は、傷みをカバーする「補修」であって、元通りに治す「修復」ではないのです。
トリートメントは、超回復する「万能薬」ではありません。
このことから、ヘアケアは「傷んでるから、いいトリートメント使ってみよう」とするより、「傷まないためのアプローチ」の方が重要です。
トリートメントやヘアケアの詳しい話はコチラ↓
■傷んでいる髪が「傷んで見えない」方法もある
髪の毛が傷んでいるからといって、ゲームオーバーではありません。
髪の毛はスタイリング次第で、傷んでいる髪が「傷んで見えない」方法もあります。
▼ヘアオイル・バームで艶っぽくすると、ダメージには見えない
髪の毛は、艶髪にするとダメージ毛に見えにくくなります。
「ヘアオイル」「バーム」は付けるだけで濡れたような質感になり、艶感が出るので、雰囲気が一変するアイテムです。
濡れた髪は、光を反射しやすい「ミラーボール」をくっ付けているイメージです。「オイルの油膜」を張ることも、同じように艶っぽくなるので、ブリーチ毛でも傷んで見えにくくなる上、油分の重さによってバサバサも抑えられる、最強アイテムです。
▼ブローやストレートアイロンで、髪の面を整える
先述した通り、髪の毛はウェーブがあるほど艶が出にくくなります。対して、髪をストレートにスタイリングすると、光は反射しやすくなります。
そのため「面を整える」ようにブローをする、ストレートアイロンをするのが効果的です。特に、ストレートアイロンは「面を整え」つつ熱を与えるため、圧倒的に艶感が出ます。
更に、髪は真っ直ぐな方が「手触りも良くなる」といったプラスもあります。
▼暗めにカラーすれば、ダメージに見えない
ダメージを負った髪は、髪色が明るくなります。そのため、人は「髪が明るい=ダメージ」と認識していて、無意識的に毛先の明るい部分は傷んでいるもの、と考えています。
これを逆手にとって、ヘアカラーを暗めに落ち着かせると、ダメージ毛を「傷んでないように見せる」ことができます。
明るい髪色は、傷んだ毛先が目立ちやすくなりますが、そもそも暗い方が黒く霞んで毛先のダメージが見えにくい、という利点もあります。
そのためブリーチ毛であっても黒染めをすると、傷んでいるように見えにくくなります。
【髪の毛のダメージその②】もやります
いかがでしたか。
髪の毛のダメージについて、少し理解が深まったのではないでしょうか?
「ダメージ」についてはまだまだ語ることがあるので、その②では、美容師目線でのダメージについてお話しします。
ではまた。
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