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ハイダメージ毛はどうなる?美容師が告白する実態【髪のダメージ②】

操作イトウです。今回は、【髪のダメージ②】。

①では「バサバサ」と「傷んでいる」の違いについてお話しました。後編は、美容師から見た「ダメージ」についてです。実際に手をかける美容師はダメージに対して、こんなことを意識しています。

※余談ですが、今回のタイトルもChatGPTに作ってもらいました。

【髪のダメージ①】はコチラ↓


■ハイダメージ毛はどうなる?美容師目線だと

僕の体感では、髪の毛について間違った認識をしている一般の方はとても多いです。
傷んだ毛先を見て「髪に栄養が行ってないのね」と嘆いたり、「ハードなカラーやパーマをしたら、将来ハゲになってしまうのでは?」など、美容師からすると「迷信」や「間違った認識」を信じていることもよくあります。

美容師は言わずもがな、髪の毛のプロフェッショナル。自身も様々なヘアスタイルを経験している方が多いので、髪の毛の知識を勉強していることはもちろん、ダメージ毛での生活における経験値も豊富です。
更に、美容師は過度のダメージ状態を知っているので、最悪の状態も知っています。

▼美容師にとって「ダメージ」はシビア

美容師は「お客様の様々なご希望を叶えたい」と考える一方で、ダメージ毛にダメージを重ねることには慎重です。「ブリーチ毛だけど、ストレートパーマがしたい」伸ばしていきたいけど、派手なカラーにしたい」といったオーダーは美容師にとって、とてもシビアです。
なぜなら髪の毛の「ダメージ度合い」は、テレビゲーム上の「ライフゲージ」のように明確ではないからです。

髪の毛は、生えてきた根元からロケットえんぴつの様に次第に“毛先”になります。そのため徐々に“毛先”になる段階で、外からの刺激を受け続けてダメージを負っていきます。

髪の毛はダメージ度合いが増すと、毛先から枝毛になったり、ちぎれるようになります。毛先が勝手にちぎれてしまうと、「伸ばしたいけど、髪が伸びない」といったことになりやすいです。
また、カラーをしても褪色(染めた色が抜けること)しやすくなるので、「長持ちして欲しいけど、色が持たない」などの影響もあります。

これらはお客様も体感できるダメージですが、美容師には、薬剤を扱うことでハイダメージ毛に陥る「最悪の事態」があります。

▼【ダメージのデッドライン】美容師は「ビビる」のだけは絶対に避けたい

髪の毛は薬剤による過度のダメージを負った場合、縮毛のようにチリチリになることがあります。その形状から、業界では「ビビる、ビビり毛」と呼びます。

ビビった髪の毛は、再起不能。こうなってしまったら取り返しがつかない、文字通りライフゲージがゼロになった状態です。トリートメントをしても効果はありません。他の薬剤もほぼ効かなくなるため、切り落とすしか手段がなくなります。

これが美容師にとって「絶対踏み越えたくないデッドライン」です。ダメージを重ねているお客様に対して「このライン」を見誤ることはしてはいけないので、そうならない提案をすることになります。

ビビり毛について、写真と共に語られています↓

■美容師はダメージにどうアプローチしているのか?

美容師はお客様の髪を見ながら、様々な情報を得ています。
まず意識するのは、「ダメージ度合い」によって薬剤の効き具合が変わることです。

▼髪には「ダメージの履歴」が残っている

髪の毛はダメージを負っている方が、薬剤の浸透が早くなります。これは、ダメージを負ってキューティクルが剥がれた髪ほど隙間が多く、薬剤が浸透しやすいからです。そのため、ダメージ毛の方がカラーの色素が入りやすかったり、また、パーマがかかりやすくなる、などの影響があります。

そして髪の毛には、「以前にやった施術」がダメージの履歴として残っています。美容師はそれを目算して、ダメージ度合いを見ながら薬剤を選び取っています。

そのため美容師は、1回目より2回目以降のお客様の方が対応しやすくなります。お客様の髪についてを「自分がやった施術」も含めて履歴として見れるので、目算がしやすくなるのです。

▼パーマが数日で無くなってしまった。「私にパーマは向いてない?」

ちなみに、パーマも1回目より2回目の方がかかりやすくなります。

例えば、「パーマをかけたのに、数日で無くなってしまった」という経験がある方は多いと思います。「私には向いていないんだ」と諦めてしまう方が多いのですが、ほとんどの美容室では、「お直し」できる保証期間が用意されています。

そのまま諦めてしまうとお客様が損してしまうだけなので、期間内に美容室に連絡して「やり直し」してもらうことをオススメします。

■それはどうやって受けたダメージなのか?

ですがお客様の髪は、ダメージが均一ではないことがほとんどです。毛先よりも中間部分のダメージが顕著にあることも、珍しくありません。

これは、お客様が「様々な美容室で施してもらった」ことに起因しています。

▼「前回の美容師さんが、どの薬剤を使ったのか」は見分けられない

美容師は、初めてのお客様の髪の毛を見て「前回の美容師さんが、何の薬剤を使ったのか」を見分けることはできません。数多ある薬剤から、「どう選び取って」「どんな使い方をしたのか」までを明確に判断することはできないのです。

時には、「この状態はなんだろう?」と目算で判断がつかないこともあります。そのためお客様に「前回はどんなカラーをしたんですか?」「前回の美容師さん、何か言ってました?」など質問をすることも多いです。

美容業界でよく使われる図。履歴を表している↑

▼美容師は「浮気」を嫌う?

もちろん、ダメージ度合いが均一な方が、薬剤の「効き」も均一になりやすく、扱いやすくなります。そして美容師は、長い期間で自分の“手にかけた”髪であれば、履歴をしっかり照らし合わせることができるので、髪を良い状態にもっていくことができます。
つまり、常連のお客様の方が、適切にヘアケアできるのです。

業界では、お客様がいつもと違う美容室にお世話になることを、「浮気」と表現することがあります。どこの美容室を利用するのも消費者の自由なはずなのですが、これを嫌がる美容師さんは多い。

それは「売上を上げられなかった」ことに対してではなく、「ダメージ」にあります。別の美容室での「一回の施術」によって、髪の状態が激変してしまうことも珍しくありません。
自分の“手にかけた”髪の毛が不必要にダメージを負ってしまうと、台無しになってしまう。その髪の毛を、また「良い状態」に戻すには、生え変わるのを待つことになるのです。

■美容師がセルフカラーを嫌がる理由も「ダメージ」にある

同じく、多くの美容師はお客様がセルフカラーをすることを嫌います。

その理由もまた、セルフカラーをした際に残る「履歴」に影響があるからです。

①均一に塗れないので、ムラムラのダメージになる

美容師目線でのセルフカラーの一番の弱点は、薬剤を均一に塗ることができないことです。
薬剤の効きは薬の種類だけでなく、塗り方、塗った量なども反映されます。沢山薬が付いている部分はダメージを負いやすく、少ない部分はダメージも少なくなります。

ですがセルフカラーの場合、均一に塗布することは叶いません。自分の髪に自分で塗布するには限界があり、誰かに塗ってもらわないとキレイに塗布できないからです。
そのため、セルフカラーでは「ダメージの履歴」もムラムラになってしまいます。

②毛先が過度にダメージを追ってしまう

更にセルフカラーは、毛先に過度なダメージが加わることも特徴です。

ほとんどのセルフカラーは、2種類の薬剤が梱包されていて混ぜて使うものです。これらは染める「色の薬」と、作用する「力の薬」に分けられます。この2つは混ざった瞬間から薬が作用するため、別々になっています。

同様に、美容室でも2つの薬剤を混ぜているのですが、美容師の場合「ノーダメージの健康な根元」と「ダメージを受けている毛先」に塗布する薬は、必ず「力の薬」を使い分けています。
「健康な根元」には作用するように「力の薬」を強めに設定して、「ダメージを受けている毛先」には「力の薬」を弱めて、ダメージを最小限にしているのです。

美容師は根元と毛先で、薬を変えている

ですがセルフカラーには、根元用の「強い力の薬」だけしか用意されていません。
お客様はその事情を知らずに、「根元用の薬」を毛先にも付けることになります。すると結果、「過度に毛先が傷む」ということが起きてしまうのです。

■美容師は「今回のヘアスタイル」だけではなく「今後」も見ている

ファッショントレンドは派手な方に向かっていて、Instagramなどは見た目がインフレ気味。熱心に見ていると、あれもこれもやりたい!と理想が高まります。
ですが、お客様が「もっともっと」とやりたいヘアスタイルを提示しても、美容師側は「その一線はまずい」と判断することもあります。

美容師は、お客様が「次にどうしたいのか」によって、カットの方法や薬剤も選んでいます。「髪を伸ばしたい」お客様の髪の毛がキレイに伸びるようにアプローチしたり、「今回の完成度」のために次回以降のプランをプレゼンしたりもします。
そのため美容師は常連の方ほど、場当たり的ではない長期的なプランとして提案しやすくなります。

詳しくはコチラ↓

そして前回お話した通り、弱ダメージでも強ダメージでも、傷んだ髪を「傷んで見せない」方法はたくさんあります。そして強ダメージの状態だからといって、お洒落ができないわけでもありません。
美容師はお客様のライフスタイルに合わせて、無理のないところに折り合いをつけることができます。

次に美容室にご来店される際には、「今回」だけでなく、ダメージを考慮した「これから先」も相談してみましょう。


ではまた。

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