飢餓の村で考えたこと 45.46

劇的効果の抗生物質軟膏とサルファ剤

 

私たちは病気の時に備えて抗生物質の軟膏とサルファ剤の錠剤をポイラ村に持って行っていた。ある時近所のお母さんが幼い娘の顔が大やけどしたと言ってきた。

事情を聴くと料理をしている時、つまずいた娘が煮えたぎった鍋の中に顔が入ってしまったとのことだった。娘は顔全体が焼けただれ、映画に出てくる四谷怪談のおゆわのような顔になっていた。

私たちは抗生物質の軟膏を患部に塗った後、サルファ剤の錠剤をつぶして粉にしてその軟膏にふりかけた。それを何回かしてあげた。やったのはそれだけだったが、焼けただれた顔が劇的に回復し普通の顔に戻ったのだ。

またある時顔見知りの中学生位の男の子が自転車でやってきた。自転車でこけて片足のかかとの側面が6㎝×4㎝位が深さ2㎝位えぐれていた。彼にも女の子と同じようにしてあげると彼もすぐ治ってしまった。

私は製薬会社時代に医者から「クロマイ(昔はどこの医院でも使われていた抗生物質の略称)は発売当初は本当に特効薬で劇的に効いたのに今じゃ全然効かなくなった」と聞いたことがある。抗生物質が殆ど使われていないポイラ村では抗生物質は劇的に効いたのだった。

 

嫉妬心から歴史をみる

 

ショミティ会員の女性たちのむき出しの嫉妬心の様子を書いた。彼女たちは滑稽に思えるほど嫉妬心を隠さない。これは日本人にはありえない反応だと思う。大部分の日本人はたとえ嫉妬心が起こったとしてもそれを直接表現しようとはしない。

私たちの心の中には嫉妬心を直接出さないようにする自動ブレーキ装置が組み込まれているに違いない。日本人に嫉妬心の制御装置を組み込んだ歴史を私は数十年の間考えてきた。

これを人類史のなかの哲学の歴史として考えてみた。彼女たちは嫉妬心をそのままに出す。それに比べ日本人は自分の中で嫉妬心が湧き上がってきても直接的にあらわしてはいけないとする抑制が働く。

この抑制が働くことはどんな哲学の歴史が原因だったのだろうか。哲学好きな私は大いなる興味がわく事柄なのだ。私はブッダに始まる仏教と孔子に始まる儒教などの影響がこの制御装置を私たち日本人に植え付けていったのではないかと想像している。読者のみなさんはこれをどのように考えられるだろう。

 

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