心が自由じゃなかった時
常に私の心の中には監視役がいた。
あまり遅くまで出歩いてちゃダメ。夜遊びしちゃいけません。
いい年した大人になって、誰かに叱られるわけじゃないのに、私の中の監視役が家路へと急かした。
だから、楽しい飲み会に参加してても、ふと脳裏に「この時間は家にいないといけない」という考えがよぎる。
さっきまで夢中で味わっていた楽しむという感情が、罪悪感に変わって、私に襲いかかる。
もうそこから、私の注意は時計に持っていかれる。
帰らなきゃ、帰らなきゃ。
結局、「いい子」でいたかったからなんだけど。
私の中の「いい子」は夜遊びなんてしないのだ。
しかし、一方で、恐ろしく夜遊びに興味があるのだ。本当は夜の蝶にものすごく憧れがあているのだ。だからこそ、その欲求を抑えつつけていたのだ。
でも、そんな勇気のない私は、ほんの少しだけ秘密のにおいがする夜のカフェで、約束を破った感を楽しんでいる。
ひとり客ばかりのこの空間で、きっとこんな背徳感を味わっているのは、私だけかもしれないけど。
こんな自由の感じ方もあるのだ。
私は今、自由なのだ。
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