はじめての海外旅行
かくして大槻ケンヂさん関係のCDを聞き、本を読み漁りはじめ、本の中や歌詞で登場した本にも手を出しました。
その中の一冊沢木耕太郎さんの「深夜特急」もかなり心動かされた1冊。
1巻は香港・マカオ編。26歳で会社を辞めて、インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗合いバスで行くという旅本。
もともとひとり国内旅行は好きでしたが国内で満足していた自分にとって海外はかなりハードルが高く感じていました。
気が変わったのは巻末に載っている対談で「旅立ちの適齢期は26歳、遅くても30歳まで」と書かれていた出発適齢期を見てかなり焦ったからです。
当時30歳を迎える2ヶ月前だったので「まだ間に合う!」と思い、すぐパスポートを取り、香港について調べまくりました。翌月には飛行機に。
本を読んで
・マカオでカジノをする事
・出会った人と筆談なりで会話する事
・スターフェリーに乗る事
を目標にブラブラしました。沢木さんの深夜特急は時代の風景がそうなのかもしれませんが水墨画のような情景描写が多い反面、カジノのシーンだけはとても色鮮やかに感じました。
カジノは30年経った今でもマカオにあるリスボアカジノ。
香港へ着いてすぐマカオに船で入国。近くにバスターミナルがあるので、そこで色んなカジノ(ホテル)へ無料で連れて行ってくれるバスに乗車しました。
バスが出発してすぐ、声がカスカスのおじいさんが乗って来ました。
村松利史さん似のおじいさんでしたが、なんだか運転手と揉めている様に見えたので「私の隣に座りませんように」と祈りました。
横に座りました。
おじいさんはご機嫌に話しかけてきました。
「sh◎△$♪×¥○&%#〜」
驚きました。大滝秀治さんを50回ダビングした様なかすれ声でした。
「ソーリー、アイムジャパニーズ」と言った後も何度か話してくれたのですが、全く聞き取れないので後半笑いが止まらず。
(ハッ今こそ筆談のチャンス!)
そう思って筆談しました。
バスが揺れるので字も揺れる
(ひとりでグランドリズボアに行くのか?)
(今日どこに泊まるんだ?)
(ご飯食べに行くか?)
(1週間後、一緒に北京に帰ろう)
tommy自称58歳北京出身のマシンガントーク(ダビング声)に笑いながら
(いや、今日中に香港戻ってホテルチェックインするんで行けないです)
(仕事があるから日本に帰ります)
(街ブラもしたいんですいません)
と答えるもののtommyはバスが停まった瞬間、肘を鷲掴んでズンズンと降車。ホテルの前に立っているボーイさんにご飯が食べれる所を聞いている隙に、さりげなく掴まれていた肘をほどき
「tommyほな!帰りますね!(日本語)」
ジェスチャーで通じました。メアドも聞かれたけど「いやぁ」と濁したら握手してくれました。なんだかんだ紳士のtommy。
汗だくでマカオ名物の出来立てエッグタルトをほうばりながらホテル周辺を探検したら迷子になりました。
建物が予想以上に汚い上に、カラフルすぎる電光掲示板が目にチカチカ飛び込んできて…いい…!と思っていたら道を見失ってしまいました。
色んな人に会いましたが、一番最初に出会ったtommyが一番鮮烈でした。
広東語しか喋らない人、英語ペラペラの中学生くらいの少年、小雨の中歩いてたら傘をくれた青年、お皿を買った時に「お金たりない」と言ったらまけてくれたおばちゃん、英語しゃべれなくてもごもごしてたら「喋れないんだったら友達と来なさい!おじさんは独学で勉強したんだぞ!」と言った直後にラジオから流れて来たアナ雪を熱唱しはじめたおじさん…etc
英語しゃべれる人が多かったのに、全く喋れないのが惜しまれました。でも最初ビクビクしていた割に案外なんとかなりました。
治安もよかったし大阪の人っぽくて親しみやすい雰囲気です。
今思うとAKIRAの世界はネオ香港だったのかもしれません。
ちょっと行きにくくなってますが、機会があればまたあの安っぽいプラスチックカップに入った美味しいロイヤルミルクティーを頂きたい。
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