CP+2018で一番気になったルミカ。

 
今わたしはすごく急いでいる。
早くこの原稿を書き上げて作業に戻らないと出張に間に合わない。
新幹線は何本もあるが早割飛行機に次は無いのだ。
ならこんなブログほっといて早よ仕事を聖闘士星矢☆

そうもいかない。

「CP+」ふり返り記事で各メディアが出している記事を見たが
おしなべてスルーなところが多いのだ。
彼らは業界メディアであると同時に広告発信媒体なのだ。
広告出稿してくれるスポンサーの宣伝をするのも
お金を出さない企業の相手をしないのも彼らの自由なのだ。

だから口コミが信頼される。
好き勝手な個人ブログはおもしろい。
広告料も宣伝料も入ってくるわけじゃないのに
自分が気に入ったものをアツく語る。

近頃そこにも広告代理店が入って来て
影響力のある芸能人やブロガーを巻き込んで
バズマーケティングを狙ってくる。

でもそんなの口ぶり見たらわかるじゃないか!
アツく語る口調を見れば本物かどうかわかるじゃないか!

すでに前説でアツくなってしまった。



CP+というのは毎年、パシフィコ横浜で行われる「カメラとその周辺の愉快な仲間たち」を集めた展示会だ。
むかしは「カメラショー」「写真用品ショー」「IPPF(国際プロフォトフェア)」があって、サンシャインとか都内あちこち行ったりしたものだ。

それがひとつにまとまって、プロアマ問わず、「カメラオタ」も「ゆるふわカメラ女子」も混じって混沌としたのが「CP+」である。

各ブースが「オレの所の製品を買ってくれぇぇっ!」心の中で絶叫しながら表面上にこやかにカタログ配ったり、「オマエなに撮ってんだよ!」心の中でツッコミ入れつつ表面上にこやかにローアングルからミニスカートの奥を守るオネエサンが居たりする。

「にこやかに殺伐としている」会場だ。



(すでにお気付きかと思いますが、本稿は独断と偏見により一部表現に誇張や歪みが観測されることがあります。用法・用量を守ってお楽しみ下さい)



行きたくない。そんな人ごみ、できれば行きたくないのだ。

メロスは悩んだ。

しかし行かなければならぬ。
行かねば最新情報がゲットできない。

カメラはスペックだけではない。触り心地も大事なのだ。
シャッターを押す軽さはストローク値ではわからないし
高速動体のピント追従性や側背面の人認識の精度など
実際ふれてみないとわからないのだ。

メロスは初日を狙った。
10時から12時まではプレス向けの時間である。
直後に行けば比較的すいているであろう、そう考えたのだ。

早めに着いて登録を済ませ別棟で油を売っていると
いつのまにか12時を過ぎていた。

「しまった!」

メロスは慌てて展示会場に向かった。
が、すでにそこは黒山の人だかり。
プレスも居残って撮影を続けている。
たしかに賑わっている絵を撮るならそうなるわな...
メロスは己の想像力の無さを恨んだ。


会場では背広服のお辞儀イベントが各所で行われていた。
お得意様なのか取引先なのか、重役なのか開発担当なのか
上下左右が見分けられないまま

「ご紹介します、こちら...」

行司の一言で取り組みが宣言されると
双方慌てて胸元をまさぐり武器を握りしめる。
その武器を相手方と交換することで
「私はあなたに敵意はありません」と示すのだ。

そんな中、いち早くカメコの姿も確認できた。
毎年のようにチェックしているが
今年も厳しい冬を乗り越えて、多くのカメコが元気に動いていた。

カメコと呼ばれる「カメラ小僧」は
女性をメインターゲットにしている。
「やっぱりキャンギャル、ひゃくにん声かけても大丈夫」
免罪符なのか旗印なのか口々に唱えながら
あらゆる薄着・白・ボディコン・ミニスカ・胸元に
フォーカスロックオンして自慢のイチモツ見せびらかして撮る。
最近は「ネーチャンフォトグラファー」と呼ばれるようだ。


情景描写が多くなりすぎた。

ともかくも混沌とした空気は感じていただけたと思う。


メロスは会場を歩きながら辟易していた。

いくつセミナーブースを覗いただろう。
どこも黒山の人だかり。
何時から何をやるのか見回すがタイムテーブルが見あたらない。
「ここに立ち止まらないで下さい」
若い兄ちゃんに言われたのでスケジュールを聞いた。
兄ちゃんは困ってしまった。
なんだ持ってないのかよ。
「あそこに書いてあるんですが...」
標識は人の山の中にあった。
大手ブースでさえ段取り悪い初日あるあるである。


「もう帰ろう。帰ってプレスがまとめた記事読もう」

ずぅえーったいそのほうが楽だもの!

あきらめて帰ろうとしたそのとき
メロスの目にとても不思議な光景が飛び込んできた。

「えっ?...なんだあれ??」

それは空に向かって大きく伸びた、いくつもの棒だった。



【一幕終わり】


※ただいまより15分間休憩します。お席を離れる際には貴重品をお持ち下さい

※引き続き、まもなく二幕の開演でございます。

(ちなみにここで鳴るのを「(二幕)1ベル」と呼びます)





「えっ?」

空に向かって大きく伸びた、ではいささか語弊がある。

パシィフィコ横浜の高い天井に向かって伸びた、いくつもの棒。



目を水平に戻す。
三脚や一脚がいくつも並んでいる。
しかしそこには
「スリック」も「ベルボン」も「ジッツオ」の文字も無い。

(それにしては棒が長すぎる...)

ロミオは、はっ!と気付いた。

それはロミオがかつて経験したことだった。

カメラマンとして撮影に行くと
あと一段が欲しくて現場で椅子を借りることがある。
ちょっとした高さの違いで写真が変わるの?
実はスゲー大きく変わるのである。
特に群衆の中を24ミリとか20ミリとか広角で撮ってごらんなさい。
もう全っ然、変わってくるから!

だから報道各社は二段三段の脚立を持ち歩く。
ほんとうにね、あれ一段上っただけで全然違う。

しかし。
社旗をはためかせたハイヤーで行く写真記者はいいよ。
歩きや電車で行くフリーランスはどうよ。
おまけに屋外だけじゃなく建物内の撮影もあったりして。

由緒正しい洋館だったりすると
「壁面に絶対に傷を付けないで下さいねッ!」
短い脚立でも持ち運びに神経すり減らしてしまう。
要らないときは邪魔なのだ。


すぐそばにいてほしいときもあれば
黙って近くにいてほしいときもあれば
いなくなってほしいときもある
でも呼んだらすぐ現れてほしい

そんなひと、いないわよ!

いない。
断言する。ずぅえったいいない。

しかししかししかし歯科医師!

今日びの撮影現場では
時としてこの矛盾あふれる要求がまかり通る。
世は不景気なのだ。
カメラも写真もあふれてる。
色をいじれば誰でも格段に鮮やかな写真ができてしまう。

でもポジションは。
撮影ポジションの選択と実行こそ
残された創意工夫の中心地ではないのか!


ロミオは初めて声を掛けた。

これほど長い時間、製品を凝視しているにもかかわらず
先方から声を掛けてこないのはタカビー戦略なのか。
それとも夢中で睨みすぎて近付き難かったのか。

コナンに似た説明員の彼は関西弁だった。
ロミオはひとまず安堵した。
関西の企業には安心感がある。
「三方良し」商いの心があるのだ。


「釣具でケミホタルってあるの知ってます?」

あ、ぽきんと折ったら液体が混じって発光するやつ。使ってたよ。

「ほんまですか?それ作ってる会社です!」

たしかに釣具に似てるけど、それは直接関係あるの?

「こっち行っちゃったんですわー」

予想通り自虐ネタも織り交ぜながら相手を喜ばせる。
好印象を持たない理由がない。



ケミホタルは釣具屋で売っているが、よく劇場で使っていた。

Canon NewF-1 は内部データ表示に外光を使う。ボディ部とペンタ部それぞれ細い乳白色の部分があり、そこから外光を採り入れて、絞りとシャッター速度をファインダー周辺に表示するしくみだった。


劇場での舞台撮影。舞台上は明るいが客席はもちろん真っ暗。当然、設定している数値が読めない。カンで行ったとしても露出計が示す数値さえ見えない。ポジフィルム撮影でこれはキツイ。カメラには表示を読むためのLIGHTボタンがあるが、常用すればバッテリが消耗する。

そんな環境で舞台カメラマンの間でケミホタルが流行った。ゲネプロ開始前にぽきんと折ってカメラの乳白色部分に貼り付ける。ファインダー表示が緑色に光って格段に見やすい。もっとも、しっかり貼っていないとゲネプロが終わった時点で「客席の前のほうでほたるが飛んで気になった」と言われてしまう。黒パーマセルで光漏れを消すのも必要なテクニックだった。



カメラは便利になり、いつしか使わなくなったけど、
実は今もケミホタルは劇場で使われている。
正確には電池式だったりして昔のケミホタルじゃないかもしれないけど。


客席から舞台を見ていると、すごい速さで立ち去る場面がある。
「もうっ、あんたないか知らないっっ!」
みたいなセリフで舞台袖に駆け込んだりする。

あれって客席からなんともなく普通に見えるけれど
ほんとうは命がけに近いことが舞台袖で行われていて。

考えるとわかると思うけど
明るい場所から暗い場所って目が慣れるまでしばらく時間かかる。
舞台上なんてたくさん照明浴びてすごく明るい場所。
そこから暗い舞台袖に駆け込んでいく。
はっきり見えない状態のままで。

そのため袖の内側に目印が付けてある。
ここは通ってOK、このラインで入って来て、ここは進入禁止...
夜の空港みたいに、色の付いた小さな明かりがついて。
そこをめがけて舞台から袖に飛び込んで来る。


うまく止まればいいけど
役になりきって感情そのまま飛び込んできて
なかなか止まれない場合、数人で止めることも。
それでもだめな場合
航空母艦の着艦システムを応用した装置があって
大きなネットで一気に捕獲後、減速停止させるが
この存在は機密事項になっているので
おそらくどの関係者に聞いても
「そんなもの存在しない、デマだよ」笑って答えると思う。
なのでデマということにしておきたい。

同様に、袖から舞台に飛び出すシーンも良くある。
追われていたり、急を知らせるシーン。
この場合、かなり長い距離から助走つける人もいる。
かと思えば短距離で全力になる人もいる。
離陸に必要な滑走路の長さみたいで興味深い。
それでも速度に納得しない場合
航空母艦の射出システムを応用した装置があって
カタパルトで一気に全速で舞台に飛び出すのだが
やはりこの装置は世界機密になっているので
設置してある劇場はおろか装置の存在自体
聞いても誰も認めないだろう。
これもデマということで御理解いただきたい。


さて、これだけ脱線すれば、筆者がこれから紹介する会社となんら関係ないことが納得いただけたと思う。なんら金銭的、物品的援助もサポートも受けていない。むしろこんだけ書いたんだからなんか欲しいぞ的な気持ちは持つものの、西の会社は一切そんなことしないのは知ってるし、今気付いたけどほとんど製品についてまだ何も書いてないじゃないか。

そう。ここまでが「前ふり」なのだ。




【二幕終わり】



※ただいまより10分間休憩します。本日2階男性用トイレは女性用になっています。そちらも御利用下さい。

※引き続き、まもなく三幕の開演でございます。




たいてい、このへんで空席が目立ってくる。
海外なんかとくに激しい。休憩をはさむごとに人が減る。

「おもろない」とか「ようわからん」て思ったら...
「もう少し見たらわかるかも」「せっかくお金を払ったんだし」
これが日本人。

海外だと
「この時間もったいない」「もっと楽しいことしたいな」
せや、お茶飲みに行こ!

「もったいない」の基準がお金と時間で分かれるのが面白いですね。





脚立に1段2段登るだけで撮影アングルが大きく変わる。

それを手軽にしたのがドローンだろう。
鳥の目のようなダイナミックな視覚効果。
ドローンに対象を認識させれば、追い続けてくれる機能とか
戦争にも使えそうだぞと思うと、ちょっとぞっとする。


しかし国内でドローンを飛ばすのは少し厄介。
届出をしたり、飛ばせない地域があったり。
今後ますます厳しくなりそう。


「じゃあ棒の先にカメラ付けて伸ばせばええですやん!」



目からうろこが落ちた。

え、ちょっと待って!そのカメラどうやって覗くの!?

「スマホとWi-Fi接続で見れますし、スマホでシャッター切れますし」

なんて!?...そ、そんなことが...

「これなんかお祭り撮ったんですけども...」


そこで初めて、壁一面に貼られた写真に気付いた。
大きなパネルは、どの写真も空中から撮影されていた。


まさかこの写真全部、この棒を伸ばして撮ったの...!?

「もちろんそうです」

得意そうな顔だ。
わかる。もっと自慢したっていい。


4.5メートルから7.5メートル。
小さいものなら2メートルのものもある。
これなら折りたたんで杖のかわりに山に持ち込めそう。
2メートルだって僕が持てば3.5メートル程度になってしまう。


高さを稼ぐアングルなんて、ほんとうは実はそんなに高さは必要ない。
子供の頃、おんぶしてもらった経験があるだろう。
せいぜい30から50センチ高ければ、
見え方が、ぐんと変わってくる。
まさにそれが脚立の1段〜2段ぶんなのだ!


カタログを渡された。
他社のA4縦と異なり
持ち歩きに手頃なA5横開きだ。

同時に何か手渡された。
「うまい棒」
存在は聞いていたが初めて手にした。
なんでも、うまい棒60何個ぶんの長さになるらしい。
65個だか67個だか、たしかそんな数字だったと思う。
数字はべつにいい。


それは長いのか短いのか
さっぱりわからへんやん!


...はっ。

もしかしてこの宣伝、
そうツッコんでくる人を狙ったマーケティングなのか!?

深い、深いぞルミカ。


「会社名はルミカですが、ビーアイロッドと言いまして...」

ちゃんとブランド分けてるのか、それは商品名なのか
いずれにせよ本気度を感じる。


「材質がグラスファイバーとカーボンがありまして...」

そんなん普通にカーボン一択でしょ?

「それがカーボンは値段が高いんです...ほら」

あらホント。けっこう違うのねえ。

「2メートルなら正直グラスファイバーでもそんな変わらん思います」

そっか...。(買うなら2mだなと思ってること、なぜわかったんだ!?)

これヨドバシに売ってるの?

「それが自社ネットがほとんどで、あと釣具のオンライン...」

まあ自社で扱うぶんだけ安くできるわなあ。

「そうなんです。...ちょっと見てみましょ」

そう言うと彼は自分のスマホで自社サイトを表示させて見せた。

「こんな感じのサイトで」

ほほう。

「レンタルもあります。やっぱ使っていただかないとわかんないですし」

だよねえ。

「14日間以内返品もできます」

ほおおーー。

どこまでもユーザーメリット考えてるじゃないの!



気付くと完全に相手のペースだった。

もしここで売っていたら間違いなく買ってしまったと思う。
もしくは
「このクーポンコードを入力すると少しお得です」
みたいなことがあると、勢いよく買っちゃったかもしれない。

しかしさすがナニワの会社。
いつもニコニコ現金取引が基本。
西の企業ってそういうところがいいよねー♪

注:カタログ見てわかったけど本社は福岡でした。



それにしても。

いくつもの展示ブースの中で
上に伸びる展示って、かなり目立つ割に面積取らない。
自分なら先っぽに旗でも立てたくなるけれど
黙って静かに全部伸ばして立て掛けるシンプルな展示
逆に「なんだろう?」と目をひいた。


自分はCP+2018の中で印象的なブースを1つ挙げるとしたら
まちがいなくこの「Bi Rod」のルミカブースを挙げる。

製品アイデアといい展示プランといい案内人のスキルといい
まずなにより楽しかったし、よくわかった。
製品のみならず会社の雰囲気まで感じさせる良いひとときで、
たいへん満足してCP+の会場を後にしたのでした。




110's eye
劇場での舞台撮影で「一階席中央上空2メートルあたりにカメラ置きたい...」そう思うことがときどきあります。
劇場内だからドローン飛ばしても良いけど、各種連絡や機器制御の電波が飛び交う中で撮影用に一波占有するのは避けたい。
でもこれなら棒を真上に伸ばすだけ。すごく簡単。
劇場内で新たなアングルが見つかりそう。試してみる価値はありそうだ。



ロミオだったら、バルコニーまで伸ばせば
愛しいジュリエットの姿が見えるかな。




【幕】




※カーテンコール


「これ、上だけじゃなく下にも行けるんです」

下って?

「水中でも行けるんです!」

たしかに!...でも水中ってWi-Fi飛ぶの?

「飛びません。そこでこのケーブルを開発したんです!」
「このケーブルをスマホのイヤホンのところに挿して...」

ああ結局有線でコントロールするのね...

「もう一方をカメラの側面に貼り付ければ...」

え、待って?...カメラに貼り付ける?

「こうすれば水中でもWi-Fi電波が届くようになるんです!」

お、おお...なんかそれ、いろいろすごい...



ちなみに、カタログを今しっかり見たら
なぜか表紙が岡山後楽園の幻想庭園。
きれいに撮れてるなー。

このバージョンは去年じゃなく、もう少し前のやつですね。
中の作例にも岡山城前庭の夜景が出てきて。
こちらは「mt」とコラボした時の岡山城ね。

岡山の人って、この製品に反応する人が多いのかしら。


【END】




超長文をお読みいただきありがとうございました。

よろしければお手元のパンフレットに挟んであるアンケートにご記入お願いします。もしくはコメント欄、TwitterやFacebookコメントでもお待ちしています。お忙しい方は連絡先だけご記入いただきますと、次回公演の案内が問答無用で届きます。本日はご来場ありがとうございました。



110が勝手に選ぶ「CP+2018」コロンブスの卵・最優秀賞(ブースデザイン賞・製品アイデア賞・説明ホスピタリティ賞・ノベルティ開発賞・パンフデザイン賞)

「Bi Rod(ルミカ)」

ブースデザイン賞:経費をかけず上空に視線を集めた
製品アイデア賞:ニッチに見えて潜在需要は大きい
説明ホスピタリティ賞:好奇心をわくわくさせる面白さ
ノベルティ開発賞:わかりやすさと意外性とウケ狙い
パンフデザイン賞:縦横使い分け32Pデザイン印刷見応えあり
 


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なにげない日常に、ふと感じる瞬間。表現とは...
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