そうしてまた戦うのだ

 暗に既存の女性像・母親像を押し付けられてるんだろうなぁ、と思いながら祖母に叱られていた。しかし私は抗いがたい眠気と戦ってそれどころではなかったし、何なら眠っていた。ダメな人間である。多分月のものの前だからだろう。そういうことがよくある。眠くて眠くて寝てしまう。
 あとラムレーズン入りのアイスを食べる時にうっかりアルコールの含有量のことが頭の中からすっぽ抜けていたのもあるのかもしれない。なおアイスは美味しかった。ダックワーズに挟まれたラムレーズンアイス、カロリーは脅威の128キロカロリー。ありがとうメーカーさん、ありがとうローソン。個人的にローソンとセブンイレブンはダイエッターに優しい気がする。
 なんで昼から酒飲むんだと叱られた。いや私も浮かれてラムレーズンアイスを食べていたのは悪いが、女が昼から酒を飲むなとか言われても……となる。タクシーがあるだろ、と言い返そうかと思ったが、眠くてむにゃむにゃと言ってた記憶しかない。緑茶数杯でもこの始末なので笑って欲しい。
 いや、確かに私は自堕落だし眠気に勝てないしと色々な欠点はあるが、欠点は認めてもらえないのだろうなぁ。祖母はボケてないし元気だし週一にダンスに行くし、春になったら農家として活動している。年に何度も鍋を焦がしてダメにしていることも、同じことを日に何度も繰り返されても私は言わない。だって私も物忘れがひどいから。
 しかしなんで忘れるんだとかなんだとか、よく叱られる。母親には言わないんだもんなぁ、もうすっかり慣れたが、私はいつまで経ってもダメ孫なのだろう。まあ学歴もないし引きこもりもしたし精神科に行ってたりととてもやんちゃな十代を過ごしていたので仕方ないのだろうが。
 ここまで言われて衣更はおばあちゃんが嫌いなの? と思われそうだが、これでもおばあちゃんっ子である。出産時に世話になったものの大喧嘩をしたりした。それでもである。私が出産予定日になっても息子が生まれず神経質になってた時に、気晴らしにとお産の神様を祀ってる寺(こういうと神仏混合だな。今度詳しく調べます)に連れていってくれた。なおその帰りに陣痛が始まっているので、偶然だろうがご利益だろうが面白い。
 料理の楽しさだとか農家の豆知識を教えてくれたのも祖母だ。何やかんやで中学まで祖母の家に行ってたし、高学年まで一緒に寝ていた。
 どうせまた何かにつけてねちねち言うのだ。そういうところは母親そっくりで嫌いだ。それでも私は祖母のことが好きだと言いきれるのだよなぁ。口は悪い割に心配性で、面倒見がいい、そんな祖母なので。
 ずっと元気でいてくれよ、ばーちゃん。

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